2016年1月26日火曜日

バブルのツケは誰が払うのか:「住宅が余りすぎだから農民に買わせてしまえ」、在庫消化だけでも5年かかる

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 中国ではバブルが弾け始めている。
 昨年あたりから株式市場が、製造生産市場が、そして住宅バブルがそれを追っている。
 とするとそのツケを払うのは誰か?
 日本でもバブルの時は言われたものだ
 「弾ける前に逃げろ、遅れたヤツがババを引く」
 住宅バbツルのババをひくのは誰か。
 貸し込んだ銀行の倒産か、あるいは地域の農民か


JB Press 2016.1.26(火)  姫田 小夏
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45846

バブルのツケを農民に押し付ける見当違いの収拾策

 経済の失速に歯止めがかからない中国で、
 2016年の最大の課題となりそうなのが住宅在庫の処理だ
 1級都市を中心とする沿海部のいくつかの大都市では活発な住宅需要が見られるが、規模の小さい3~4級都市ではすっかり停滞している。

 積み上がる住宅在庫は国家統計局の数字を見ても明らかだ。
 昨年(2015年)11月末、分譲住宅の在庫は6億9637平米に達した。
 2014年同期における分譲住宅の在庫は5億9695万平米だったから、この1年で在庫は約1億平米も増えたことになる。
 昨年9月末からの1カ月間には2122万平米が増え、過去最高の増加数を記録した。

 こうした状況に対し、中央政府は強い危機感を抱いている。
 昨年末に翌年の経済政策の方向性を決める「中央経済工作会議」が開かれたが、この会議で初めて住宅の在庫問題が取り上げられた。
政府は、どのようにして在庫処理を進めるのか?
 会議で出た“妙案”というのが、「農民に買わせる」というものだ。

 会議に先立つ11月に、李克強首相は「『戸籍制度』の改革こそが住宅需要を喚起する」と述べた。
中国の都市部には常住人口が7.5億人いると言われるが、
 その3分の1にあたる2.5億人が、都市戸籍を持たない農村出身者だ。
 彼らは「民工」として都市部に集まり、都市部の発展を支えた貴重な働き手である。
 だが、中国には「戸籍制度」が存在するため、都市戸籍保持者と同様の教育や医療といった公共サービスを受けられない。
 都市部で住宅を購入することもできなかった。
 そこで中央政府は、農村出身者も都市部で住宅を購入できるようにすれば在庫を処理できると考えたのである。

◆農民も住宅を持て余している

 しかし、その施策への批判が高まっている。
 まず、中央政府は
 「農民がまだ住宅を持っていない」
 「都市部の住宅に憧れている」
と見ているが、見当違いの可能性がある。

 農民は住宅を持っていないわけではない。
 確かにぎりぎりの生活をしている“貧農”もいるが、その一方で、農村では多くの農民が2~3階建ての戸建てに居住している。
 農村の住民は自分たちの手で住宅を建てる習慣があり、
 都心部の集合住宅よりはるかに広い家に住むケースも珍しくはない。

 不動産ブームが中国全土を席巻すると、地方政府と不動産業者が結託し、農民を立ち退かせて農地をどんどん宅地に転用させた。
 その際、それまで住んでいた家を手放して近代的な集合住宅に移転した農民も少なくない。
 全国的な宅地化の結果、農民もそれなりの家に住むようになったのである。

 中には家を持て余している農民も存在する。
 筆者は、湖南省出身の中国人女性に話を聞く機会を得た。
 この女性は次のように語る。
 「私の両親は数年前、湖南省のある町に分譲マンションを買いました。
 高齢の祖父を農村から呼び寄せ、家族で都市の郊外に居住しようと計画したのです。
 ところが今、その部屋には誰も住んでいません」

 時間が経つにつれ、家族の誰にとっても必要ではないことが分かってきたのだという。
 女性はこう続ける。
 「祖父は生まれ育った農村での生活を望んでいます。
 両親は商売のために省都に近い郊外で生活しています。
 私と弟も海外での生活に憧れており、そんな中途半端な町には住みたくありません。
 だから誰も住まないのです」

 購入した部屋は、打ち放しのコンクリーが剥き出しのまま、内装も施されず放置されているという。
 「この住宅を借りたいという人もいません。
 価格は下がる一方ですが、売るにも売れない。
 まったく無駄な買い物だったというわけです」

 同様の話は中国各地で枚挙にいとまがない。
 中国紙「経済視察報」は、こんな記事を掲載した。
 ある地権者が農地再開発に際して6戸の住宅を手に入れた。
 1戸目は自宅に使い、2戸目を犬小屋に使い、3戸目はハトの養殖に使っている。
 残りの3戸は空き家のままだ――。

 また、そもそも農民に経済的な余力があるのかという問題が立ちふさがる。
 前出の中国人女性は、
 「農民に不動産を買わせるなら、価格を下げなければ無理だ」
と訴える。
 不動産バブルによって、地方都市でも住宅価格が吊り上がった。
 農民の平均的な年収は1万元(約18万円)と言われている。
 その年収で都市部の住宅を購入できるのかという根本的な問いは避けて通れない。
 現実的には政府が補助金を支給し、農地を売り払わせ、住宅ローンを組ませることになるのだろう。
 だが、当然こんな反発が沸き起こる。
 「農民はようやく『小康(まずまずの暮らし向きの意)』になった。
 その農民に新たに住宅を買わせれば、再び貧困に逆戻りだ」
 こんな状況の中で農民が都市部の住宅を欲しがるとは、とても思えないのである。

◆解決には価格を下げるしかない

 「農民による在庫処理」をたくらむ中央政府だが、それ以前に着手すべきことがある。
 例えば、住宅の保有に関する課税の見直しや、住宅価格の正常化などだ。
 中国の不動産事情に詳しい日系企業の経営者はこう述べる。
 「中国では依然として住宅需要はありますが、価格があまりに高いので誰も買いません。
 市場を正常に戻すには、不動産業者が損を覚悟で価格を下げるしかないでしょう」
 中国の「証券時報」も、
 「農民に含み損を抱えさせていいのか」
 「(不動産市場を正常化させる)唯一の方法は価格を下げることだ。
 不動産業者が損失を被るのは当たり前だ」
と訴える。

「住宅を建てることが経済発展」という地方政府の勘違いで、中国の住宅バブルは膨れ上がった。
 今度は中央政府の見当違いで、バブルのツケが農民に回されようとしている。
 結局、農民に「トランプのババを引かせればいい」ということなのだろうか。



レコードチャイナ 配信日時:2016年1月26日(火) 7時40分
http://www.recordchina.co.jp/a127384.html

中国の大都市の不動産価格、あと20年上昇し続ける?
=「これはみんなが認めたくない本当の話」
「一生を不動産の奴隷として生きるのか」―中国ネット

  2016年1月19日、中国メディア・財経網によると、万達集団の王健林(ワン・ジエンリン)会長が中国の大都市での不動産価格はこの先20年は上昇し続けると発言した。

 王氏は、中国の不動産市場は分化しており、
★.1線級都市(北京、上海、広州、深センなどの大都市)では、あと20年は不動作価格が上昇する
との見解を示した。
★.その理由として、土地の供給に限りがあり、人口が流入し続けていること
を挙げた。



レコードチャイナ 配信日時:2016年1月28日(木) 5時40分  
http://www.recordchina.co.jp/a126539.html

中国の不動産は著しい不均衡、
在庫消化だけでも5年かかる
=政府の解決案に専門家は悲観的―SP華字メディア

 2016年1月26日、中国の不動産市場は長年の急速成長で多くの在庫を抱えた。在庫をいかに消化するかが今後のポイントとなるが、この問題は企業だけでなく地方政府にとっても悩みの種となっている。
 シンガポール華字メディア・聯合早報網が伝えた。

 中国国家統計局のデータによると、
 2015年11月現在、中国の販売中の不動産は約6億9600万平米で、建設中や建設予定を含めると全体で約63億平米。
 過去3年間の平均販売量を基準に計算すると、
 在庫を全て消化するためには5年の時間が必要となる。 

 中国の地方政府は財政収入を得るために不動産の供給を拡大しているが、需要が伸び悩んでいるために在庫が増えている。
 一方で北京や上海といった主要都市では供給が需要に追い付かず不動産価格が高騰するなど、不動産市場の不均衡が深刻となっている。

 2015年12月に開かれた中央経済活動会議では、2016年の中国経済の5大課題に不動産の在庫消化が挙げられており、不動産市場の発展が中国経済の成長にとって重要な要素であることがわかる。
 在庫消化の措置として、出稼ぎ労働者の定住化や不動産購入の支援などの提案が政府から出ているが、需要が低迷している地方都市では期待できないと専門家は指摘する。

 専門家は、
 「在庫消化は短期間で解決できる問題ではない。
 根本的に解決するのなら、地方都市で雇用を創出し、定住人口を増やすべき。
 地方政府の不動産供給を抑えることも必須条件となる」
と述べている。




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