2016年1月25日月曜日

世界異常気象の時代へ:2015年の世界気温が過去最高に、異常気象が常態化していく

_
●BBCニュース 2015年の世界気温が過去最高に 相次いだ異常気象


BBCニュース 2016年01月21日
http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-35369027

2015年の世界平均気温 過去最高を大幅更新
マット・マグラス 環境担当編集委員


●2015年には世界各地で平均値を大幅に上回る気温が観測された。(図は平均値からの変動幅を色で示した。赤が大きく上昇した地域)Image copyrightMet Office
Image caption

 米英の気象専門家によると、2015年の世界の平均気温は過去最高を更新した。
 エルニーニョ現象と人間の活動が気温上昇の主な要因だという。
 英気象庁によると、2015年の世界の平均気温は、1961年~1990年の平均値を0.75度上回った。
 また、米航空宇宙局(NASA)と米海洋大気局(NOAA)によると、過去最高値だった2014年の値を0.13度上回った。
 NOAAによると、2014年から2015年にかけての地表と海面の温度上昇幅は、過去最大だったという。

◆急上昇

 2015年の気温が過去最高になることは、世界中の研究機関が予想していた。
 英気象庁は2015年の気温が長期的な平均値を0.52度~0.76度上回ると予想していたが、実際の上昇幅は予想していた最大値に近かった。
 英気象庁ハドリー・センターのピーター・ストット博士は、
 「今後については2016年も暖かい年になりそうだ。
 温室効果ガスによって人間活動が気候に与える影響の程度が、かつてないレベルに達したことと関係がある」
と語った。
 博士はさらに、
 「過去に比べてずっと暖かくなっているのに加え、太平洋のエルニーニョ現象による影響も続いている」
と指摘した。


●気温が長期的な平均からどの程度かい離したかを示す図(出典:英気象庁など)Image copyrightMet Office
Image caption

 米国の専門家も、2015年の気温が過去最高となった背景には、主に化石燃料の使用による長期的な温暖化傾向と、エルニーニョ現象があると指摘している。
 テキサス工科大学キャサリン・ヘイホー教授はBBCの取材に対し、
 「2015年の気温が過去最高の更新にとどまらず大幅に上昇したのは、気温変化の長期的傾向と、近年最強のエルニーニョが合わさったことによる、相互作用が理由だ」
と語った。

 さらに、2015年は1年の気温が初めて産業革命前の水準を1度以上上回った年になった。
 昨年12月にパリで開かれた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)では、危険な気候変動を回避するため、産業革命前の水準からの気温上昇を2度より「かなり低く」抑えることで合意している。

 NASAによると、これまでの気温上昇の大部分は過去35年間で起きている。
 過去最高を更新した16年のうち15年は2001年以降だ。
 2015年の12カ月のうち10カ月は平均気温が過去最高を更新し、5カ月はその上昇幅が過去で最も大きかった。

 米国の環境情報センターのトーマス・カール博士は、現在の状況では2016年も2015年と同じか、それ以上に温暖化が進む可能性が高いという。
 博士は、
 「秋の数カ月と12月には、これまでの記録が大幅に塗り替えられており、2015年前半よりもずっと加速している。
 特に海水温度がとても高いので、少なくとも来年の前半までこの傾向が続くと思われる」
と説明した。

 2015年は年間を通じて世界各地で異常気象が見られた。
 これについて専門家は、温暖化で予想される影響に一致すると指摘する。
 アフリカの一部やインド、パキスタンが厳しい干ばつに見舞われ、年後半には欧州や米国の各地で洪水が起きた。

 ストット博士は、
 「2015年の年末はさまざまな面でとても異常だった。
 ここイギリスでは12月が1910年以来の降雨量と高温となり、世界的にもそうだった」、
 「シベリアやロシア北部、北米の東海岸でも気温が非常に高かった」
と語った。
 同博士はさらに、
 「世界的にエルニーニョが理由の一部だが、俯瞰すれば、進行する温暖化を裏付ける現象だと分かる。
 熱波や干ばつのリスクが高まっている」
と述べた。
 気候変動を疑問視する人々は、世界気温の上昇が1998年に止まったようだと強調する。
 しかし今回のデータは、気温上昇の小休止がもう終わったことを示している。
 ヘイホー教授は、
 「温暖化が止まったという見方は科学者の間では完全に否定されている」
と述べた。
 「気候変動は少なくとも20~30年の期間で考える必要がある。
 自然界の動きには変動要因があるからだ。
 20~30年かもっと長期でみれば、世界の温暖化は続いている」。
 NASAゴダード宇宙飛行センターのギャビン・シュミット博士もそれに同意する。
 同氏は記者団に対し、
 「これほど記録的に暖かい年になったのは、長期的な温暖化傾向のためだ。
 過去数十年間で、気温上昇の傾向が弱まったとか止まったとか、または小休止していると示す証拠はない」
と語った。

(英語記事 Climate change: 2015 'shattered' global temperature record by wide margin)





_