2016年2月10日水曜日

「 MRJ」テスト飛行再開へ:問題点の洗い出しへ

_


朝日新聞デジタル 2月10日(水)11時21分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160210-00000026-asahi-bus_all

MRJ、2カ月半ぶりに飛行試験再開 名古屋空港

 国産初のジェット旅客機MRJを開発している三菱航空機は10日、機体の改修のために中断していた飛行試験を2カ月半ぶりに再開した。
 2018年半ばの納入をめざし、今後日米での試験を加速させる。

 午前9時45分ごろ、愛知県豊山町の県営名古屋空港を飛び立った。
 遠州灘沖の試験空域で1時間ほど、上昇・下降や旋回などの基本性能を確かめた。

 飛行試験は昨年11月末まで3回行っていたが、その後、機体の強度不足などが判明し、試験を中断。主翼の付け根に厚さ2ミリ程度のプレートを貼り付けるなどの補強や、ソフトウェアの改修をしていた。

 今後は国内に加えて、米国でも16年冬から17年春ごろに飛行試験を始める。
 結果を機体に反映させる改修を続け、完成度を高める。
 また来月上旬には、名古屋空港そばで建設中の量産工場も完成する予定だ。



【続報】

サーチナニュース 2016-03-14 07:09
http://news.searchina.net/id/1604701?page=1

欧米では販売できない中国のARJ21、
MRJのライバルと呼べるか?

 国産初のジェット旅客機MRJが2015年11月、愛知県豊山町の県営名古屋空港で初飛行を行ったことは日本国内で大々的に報じられた。
 中国が開発中の旅客機ARJ21と規格が近いMRJは中国国内でも大きな注目を集めている。

 中国サイト寧夏在線はこのほど、MRJはARJ21の「ライバル」であるとしたうえで、性能や価格を比較する記事を掲載した。

 中国のARJ21は中国商用飛機有限公司が開発した地域路線用ジェット旅客機で、08年に試験飛行を行い、現在は中国国内での就航を目指して最終的なテストが行われている。
 開発自体はARJ21のほうがMRJを先行していると言える。

 記事は、戦後日本の民間航空機開発の経緯を説明。
 第2次世界大戦終結からの7年間は全面的に航空機の開発が禁止されていたことや、その後、YS-21が生産されたものの、事業としては失敗に終わったと指摘。
 一方、それから約半世紀が経過した今、日本企業はすでに「世界クラスの民間航空機の部品サプライヤーになっている」と紹介した。

 MRJの研究開発費は約1800億円で、既に国内外の企業から223機の受注を獲得しているが、記事は
 「MRJは燃費が良く、騒音も少ないという技術的に優位性がある」
と紹介している。

 しかし価格面ではARJ21が優位に立っており、MRJが3-4000万ドルに対し、ARJ21は3000万ドルであると指摘。
 MRJは米国やヨーロッパの市場を念頭に置いて開発されているが、ARJ21は基本的に中国の国内市場向けに開発されており、欧米市場を土俵とするMRJよりARJ21がいくら安くとも、
 ARJ21は欧米では販売できない
のだから比較の意味はないだろう。

 航空機の飛行においては、安全性が基準を満たしていることを証明する「型式証明」を取得する必要がある。
 自国以外の空港を使用するには相手国でも別途、型式証明を得る必要があるが、
 ARJ21は中国国内での型式証明は取得できたが、
 米国などでは取得できておらず、
 米国、欧州、日本国内では飛行することができず、販売することも不可能だ。
 開発状況ではARJ21がMRJを先行するが、市場の大きさではMRJのほうが分があると言える。
 MRJには世界に誇る名機となり、世界各地で活躍してもらいたいものだ。



サーチナニュース 2016-04-14 07:25
http://news.searchina.net/id/1607329?page=1

MRJが挑むリージョナルジェット市場、
中国のARJ21はすでに「取り残された?」

 世界の小型ジェット機(リージョナルジェット)市場の拡大が見込まれるなか、国産初のジェット旅客機である三菱リージョナルジェット(MRJ)は2015年11月、愛知県豊山町の県営名古屋空港で初飛行を行った。
 MRJは今後、リージョナルジェット市場でほぼ独占状態にあるカナダとブラジルのメーカーに挑戦することになる。

 将来有望なリージョナルジェット市場を狙うのは日本だけではなく、中国も同様だ。
 中国ではARJ21と呼ばれるリージョナルジェットの開発が進められており、2015年11月29日に中国の成都航空に引き渡しも行われている。
 リージョナルジェットの開発の「進捗度合い」に関しては中国が日本をリードしていると言える。

 中国メディアの中国経済網はこのほど、カナダのボンバルディアおよびブラジルのエンブラエルの2強だったリージョナルジェット市場の競争が激化しつつあると伝え、生き残りのためには競争力の強化が必須であると論じた。

 記事は、リージョナルジェット市場には新たに日本や中国のほか、ロシアの企業も参入したとしたほか、ウクライナやスウェーデン、スペイン、ポーランド、インドなどの企業も高い研究開発力を持つことから、市場はさらに混沌とする恐れがあると主張。
 さらに、大型旅客機市場を独占するボーイングとエアバスも将来的にリージョナルジェット市場に参入する可能性もあるとしたうえで、ボーイングなどが参入すれば現在のリージョナルジェット市場がひっくり返される可能性があると論じた。

 こうした競争を背景に、各社は省エネ化や高速化などに取り組み、自社の旅客機の競争力強化に取り組んでいることを伝える一方、
 「中国の民間航空機は世界最先端の技術力と大きな差がある」
と指摘。
 技術力の向上なくしては生き残りも難しいとの見方を示している。

 中国のARJ21は中国国内での型式証明は取得できたが、米国などでは取得できておらず、米国、欧州、日本国内では飛行することができず、販売することも不可能だ。
 ARJ21は中国国内では活躍できるかもしれないが、国外の市場を取り込むことはできず、激化するリージョナルジェット市場の競争からはすでに一歩取り残されている
といえるだろう。


サーチナニュース 2016-07-12 07:09
http://news.searchina.net/id/1613952?page=1

MRJの一挙手一投足に関心抱く中国、
「日本経済の光明となるか?」

 国産初のジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」に対し、中国は大きな関心を寄せており、開発状況の一挙手一投足が報じられている。

 中国メディアの一財網はこのほど、日本の一部メディアが「MRJの量産工場が7月上旬に稼働する」と伝えたことを紹介したうえで、MRJが日本経済にとっての「光明となり得るのか」を考察する記事を掲載した。

 記事は、MRJの開発には米ボーイングのサプライヤーでもある日本企業が数多く参画しているとし、日本企業はボーイングとの協業のなかで絶えず学び、吸収し、改善を行うことで、世界レベルの旅客機に求められる部品の生産技術を掌握したと主張。

 さらにボーイング787に採用されている日本企業の部品の割合は全体の35%に達すると指摘する一方で、
 MRJの国産部品の割合はわずか30%ほどだとし、
 「エンジンや油圧系統など、旅客機の基幹部品は国外のメーカーから調達している」と指摘した。

 また記事は、機体に新素材が採用されたMRJは確かに省エネで高品質という「日本の製造業の伝統的な強み」があるとしながらも、日本にはまだ旅客機の基幹技術という点で絶対的な強みがないと主張した。

 近年、新興国を中心にリージョナルジェット市場の競争が激化している。
 MRJは今後、カナダのボンバルディアやブラジルのエンブラエルといった旅客機大手と競争することになる。
 また、中国もすでにリージョナルジェット市場へ参入を果たしており、中国とも市場を争う必要がある。
 記事は、
 「省エネで高品質という強みがあろうとも、
 技術面で絶対的な強みがないMRJが日本経済にとっての光明となれるかどうかは未知数」
と論じている。





_

2016年2月9日火曜日

爆買いは何時終わる(2):訪日旅行もいずれはブームがピークアウトする日がやって来る

_


現代ビジネス 016年02月08日(月) 週刊現代
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47736

中国「爆買い禁止令」の衝撃
〜習近平「日本が潤うのをやめさせろ!」
日本旅行が理由で失脚することも

 中国経済の急減速が、ついに日本経済にも影響を及ぼし始めた。
 春節に起こる「異変」を、東京・北京発で二元レポートする。

■習近平政権が突然の制度変更

 1月27日、東京・銀座の「三越銀座店」8階に、売り場面積約3300m2という巨大な免税店『Japan  Duty Free GINZA』がオープンした。
 三越が改装工事を急いだのは、一にも二にも、2月8日の春節(旧正月)に間に合わせるためだった。
 春節の大型連休中に、中国から押し寄せる「爆買いツアー」を当て込んでいるのである。
 三越伊勢丹ホールディングスの広報担当者が語る。

 「中国人旅行者の買い物客が多い銀座店と新宿店では、外国人売り上げ比率がそれぞれ2割強、約1割と伸びています。
 一昨年10月に、日本で化粧品が免税対象品になったことも大きく、銀座店では売り上げが3・3倍に伸びました。
 春節の中国人旅行者のリピーターには大いに期待しています」

 3月には、銀座の数寄屋橋交差点に面した「東急プラザ銀座」もオープンするが、こちらの目玉も、8階と9階をブチ抜いた巨大な免税店だ。

 思えば、昨年(2015)の春節には、中国人旅行者が銀座通りを「占拠」した。
 本誌記者も、1000万円を超す宝玉や、666万円の福袋などを、次々に「爆買い」していく中国人たちを目撃し、圧倒されたものだ。
 昨年、海外旅行に出かけた中国人は延べ1億3500万人と、日本の総人口を上回った。
 うち日本へは、前年比207%の499万人も訪れている。
 これは日本を訪れた外国人旅行者の25%にあたる。
 日本での消費額で見ると、全外国人の5割近くを占めたという推計もある。

 ところが今年に入って、中国国内を取材すると、「異変」が起こっている。
 習近平政権が「爆買い」を阻止する措置に着手し始めたというのだ。
 在北京ジャーナリストの李大音氏が解説する。

 「中国の出入国管理法は、一般国民にパスポートを支給するようになった'90年代半ばに制定されました。
 それによると、一人5000米ドル以上の海外への持ち出しを禁じていますが、そんな20年も前の法律は、これまで有名無実化していた。
 それをこの1月から、空港で厳格に検査するようになったのです。
 海外での『爆買い』に関しても、帰国時の空港で厳格にチェックし、どんどん課税していく。
 つまり、いくら海外で免税品を買っても、中国に持ち込む際に高額の課税をされる可能性があるわけです。
 習近平政権としては、経済が急速に悪化していく中、もう1元たりとも海外に持ち出してほしくない、海外で消費してほしくないということです」

■日本を誉めるのも許さない

 元安が急激に進み、資本の流出が止まらない。
 そんな中、新たな法律も準備中だという。

 「それは、年間10万元(約180万円)以上の買い物を海外でしてはいけないという法律で、いわば『爆買い禁止令』です。
 早ければ3月の全国人民代表大会に提出されて成立する見込みです」(同・李氏)

 習近平政権が突如として「爆買い禁止令」に踏み切った理由は、他にもあるという。
 中国共産党関係者が解説する。

 「安倍晋三内閣は暮れの12月24日、'16年度予算案を閣議決定したが、防衛予算は前年度比1・5%増の5兆541億円と、初めて5兆円の大台を突破した。
 しかも一番手厚く増やすのが、中国の脅威に対応する島嶼防衛予算だという。
 つまり、中国人が日本で『爆買い』したカネが、わが国への銃砲に使われるということではないか。
 日本軍国主義の復活を、わが国民が手助けしているようなものだ。
 習近平主席は、そのことに怒り心頭で、『中国人なら中国の物を買って使えばいいだろう』と述べている」

 「爆買い」イコール「尖閣防衛費」とは、何とも短絡的な発想だが、これが「中南海」(中国共産党最高幹部の職住地)の空気というものかもしれない。

 北京のある旅行代理店の海外旅行担当者も証言する。

 「当初は、中国で蔓延しているPM2・5の公害が日本にないことから、『洗肺遊、日本藍』(肺を洗う旅、ジャパンブルー)というキャッチフレーズで日本旅行を宣伝していました。
 ところが内部で『敵国を誉めるとは何事か』という批判が出て、『避寒遊、説走就走』(避寒の旅、思い立ったらすぐ行こう)という東南アジア向けの宣伝に変えたのです。
 バリ島があるインドネシアはビザ免除、
 シンガポールは10年ビザ、
 タイとベトナムも昨年11月に、ビザの大幅緩和に踏み切った。
 つまりビザ取得が面倒くさくて寒い日本よりも、温かくてすぐに行ける東南アジアに行こうというわけです。
 実際、日本円のレートが1年前に較べて1割近く悪化していることや、日本のホテル代高騰で、日本ツアーが1万元(約18万円)を超えるようになったことも関係し、春節の書き入れ時に、日本旅行はそれほど伸びていません」

 中国国際航空の関係者も続ける。

 「習近平主席が主催した昨年9月の抗日戦争勝利70周年の軍事パレード以降、テレビの抗日ドラマが全盛で、『日本旅行は素晴らしかった』などと自慢しにくい雰囲気があります。
 中国人は海外の現地から『微信』(WeChat)で友人たちに自慢するのが大好きなので、そうした雰囲気に呑まれて、日本に行く気がしなくなるわけです」

 確かに中国でテレビのチャンネルを捻ると、『殺寇決』(倭寇を殺す決戦)『我的鉄血金戈夢』(我が鉄血の金の戈の夢)……と、ものものしいタイトルの抗日ドラマのオンパレードである。
 そしてそれらのストーリーはと言えば、残忍な日本兵が無辜の中国人たちを惨殺し、最後は中国共産党が悪の日本軍を駆逐するという、ワンパターンの勧善懲悪ドラマだ。

 北京テレビのディレクターが証言する。

 「これまでは『穿越劇』(タイムスリップ・ドラマ)と呼ばれる、主人公が過去と現在とをタイムスリップする冒険ドラマが大人気でしたが、習近平政権の意向で、今年からこの手のドラマが放映禁止となりました。
 その他にも、(習近平政権のキャッチフレーズである)『中国の夢』をドラマのテーマにしろとか、服や小道具は国産品を使えといった制約が多いのですが、抗日ドラマだけは事実上、検閲がない。
 そのため、検閲でお蔵入りになるよりはマシということで、抗日ドラマばかりになってしまうのです。

 わが局では、抗日ドラマ以外のドラマもやろうということで、習近平主席がファンだという女優・孫儷(スンリー)を主役に抜擢した秦朝のドラマ『月伝』を昨年暮れから放映し、大ヒットしました。
 中国人も正直、抗日ドラマを見飽きているということでしょう。

 それでも孫儷(スンリー)は、資生堂のキャンペーンガールをやっていることを気にしてか、ギャラの約1割を、恵まれない人のための施設に寄付したと聞きました」

■もう「並買い」しかしない

 中国では昨年末、習近平主席の命令で、8800万人の共産党員全員が、各支部の党の集会で、一年間の『自己批判』と『他人批判』を行うことを強要された。
 習近平主席は12月28日と29日に党中央政治局会議を招集し、共産党の「トップ25」も批判を展開。
 習近平主席と李克強首相を除く23人が自己批判する様子が、中国中央テレビのニュースで放映された。
 まるで1960年代の文化大革命を髣髴させるような嵐が吹き荒れているのである。

 中国のある大手国有企業の幹部が、昨年末に社内で起こった「内部事情」を吐露する。

 「わが社の共産党の集会では、
 『私は贅沢な日本旅行を楽しんでしまいました』
 『○○さんは日本旅行で買ってきた高価な物を自慢していました』
などと、日本に関する批判が相次ぎました。
 そして、今後の反省として、
 『これからは日本ではなく、中国共産党の革命の聖地を旅行します』
 『日本へ行って高価なショッピングを楽しむという人が周囲にいたら注意します』
などと決意表明したのです。

 かくいう私も、実は2月に、家族でさっぽろ雪まつりツアーを予約していましたが、キャンセルして、実家に戻ることにしました。
 子供には怒られましたが、日本旅行が理由で失脚するのは嫌なので、仕方ありません」

 習近平主席は'12年暮れに、「八項規定」という贅沢禁止令を発令。
 「トラもハエも同時に叩く」として、大々的な腐敗防止キャンペーンを始めた。
 今年1月12日には6回目の党中央紀律検査委員会全体会議を開き、「鉄を打つには自らも硬くないといけない」として、腐敗防止キャンペーンの継続を宣言した。
 1月19日に、世界が注視した「'15年の中国の経済成長」を発表したばかりの王保安国家統計局長も26日、「重大な汚職の嫌疑」で摘発されてしまった。
 こうした厳しい引き締め策も、やはり経済の悪化と無関係ではない。

 「今年は、破綻した国有企業や民営企業を淘汰する『1000万人リストラの年』になるでしょう。
 これまで国民は株で収入を補?してきましたが、いまや上海総合指数は、危険ラインの3000ポイントを大きく下回って2700台に突入。
 生活が逼迫して、海外旅行を楽しんでいる場合ではなくなってきているのです」(前出・李氏)

 昨年、中国人の「爆買い」で最も儲けたと言われた総合免税店「ラオックス」本社経営企画部のIR広報担当者も語る。

 「今年の春節には、昨年のような高額の福袋は置きません。
 中国人のお客様が高価なものより、安価な日用品を好む傾向が強まっているからです」

 「爆買い」から「並買い」へ。
 それでも日本に来てくれるだけありがたい。
 ショッピングに加えて、「一度訪日した中国人は親日派になる」と言われるからだ。

 だが習近平政権の強烈な引き締めによって、そんな中国人は減り、日本に落ちる「爆買いマネー」も激減することが予想される。
 習近平の「爆買い禁止令」が日本経済に与える影響の大きさについては、回を改めて述べよう。


<<続き>>

現代ビジネス 2016年02月09日(火) 週刊現代
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47738

中国経済の急減速に、原油安…
世界経済「同時株安」の正しい読み方
下げて上がって下げて下がる

■3兆円がふっとぶ

 「中国経済の急減速は、爆買い需要をあてにしてきたインバウンド業界はもちろんのこと、他の様々な日本企業、そして世界経済全体に大きな重しになっています」
 こう語るのはS&Sインベストメントの岡村聡代表。
 世界経済が中国に振り回されている。

 「年初来の金融市場の混乱の主因は、やはり中国。
 たとえば、1月4日に過度な株価の崩落を防ぐために、上海市場でサーキットブレーカーが発動しました。
 これは市場が7%以上下落したら、取引を停止するという制度。
 それがかえって市場の不安を煽り、初日から下落が止まらなくなった。
 中国の市場管理能力の甘さに愛想をつかせた機関投資家たちは、資金をどんどん引き上げています」(岡村氏)

 その結果、中国の株安・元安が進み、爆買い需要が収縮しつつある。
 日本総研の副理事長・湯元健治氏は、元安の進行が日本経済に与える影響は非常に大きなものがあると分析する。
 「中国人が日本で爆買い消費する額は、昨年1年間で3兆円を突破しました。
 この調子でいけば今年は4兆円だという見方もあったのですが、ここに来て風向きが変わってきた。
 中国人観光客によって日本のGDPは0.3~0.4%くらい押し上げられていると思われますが、その分が無くなってしまうと、GDPの実質成長率('15年度は1.2%程度)は1%を切ってしまうかもしれません」
 そうなると、日銀の黒田東彦総裁が掲げてきた2%の物価上昇目標は、ますます実現性のうすい「画餅」になる。
 なんとしてもアベノミクスを成功させるため、政府は今年度の補正予算を総額で3兆3000億円組んでいる。
 だが、中国人のインバウンド消費が激減すれば、補正予算の効果はすべてチャラになってしまうのだ。

株式市場の反応は早い。

昨夏より中国人観光客をあてにしたインバウンド関連銘柄は大きく値を落としている。例えば、観光客の爆買いで潤ってきたラオックス。昨年9月には410円をつけていた株価が、今年1月には半値以下の160円台まで下げた。

■6~7月が危ない

 証券アナリストの植木靖男氏が語る。
 「インバウンド関連銘柄は総じて難しい状況にあります。
 三越などのデパートを始め、マツモトキヨシ、ドンキホーテといった小売、資生堂やコーセーといった化粧品、日本航空、JR東海といった運輸関係にHISといった旅行業界。実に幅広い銘柄が売られている」
 インバウンド関連銘柄の多くは日経225に組み込まれていないため、日経平均への影響は直接にはない。
 しかし、訪日観光客が減少したというニュースが流れると、市場に与える心理的ダメージは大きいものがある。

 「日経平均は当面は上昇して1万9000円くらいまで戻す可能性もありますが、参院選前の6月から7月にかけて、訪日客減少といったニュースが取り上げられ、海外市場も冴えないとなると、1万4000円くらいまで下落する可能性があります」(植木氏)
 「1ドル=115円を割り込むまで円高が進めば、日経平均が1万5000円近辺まで急落する。
 爆買いストップが顕著になれば、さらに500円くらい下落してもおかしくない」(湯元氏)

 シグマ・キャピタルのチーフ・エコノミスト、田代秀敏氏は、
 「証券会社アナリストたちは、中国関連銘柄というだけで株式見通しをネガティブにしている」
と語る。
 「少し前までは中国関連はプラスの評価要因だったのに、今ではその真逆。
 中国に進出している企業の中には、四川省の成都でイトーヨーカドーが大成功しているセブン&アイ・ホールディングスのようなところもあるのですが、そういう会社も、ネガティブにしか報じられないので『中国関連』での取材を断っています」
 ことほど左様に、
 中国経済は世界経済のブレーキ役になっている。

 中国経済の減速は、日本のみならず世界の経済情勢、そして政治情勢までをも恐ろしく不安定化させている。 
 混乱に拍車をかけているのは、原油安だ。
 原油価格の先物指標WTIは1月20日に1バレル=26・55ドルをつけ、リーマンショック後につけた32ドルを大幅に下回った。
 原油安の原因は、需要サイドと供給サイドの両方にある。
 需要サイドの主たる原因が中国経済の失速である。
 いままで「世界の工場」として膨大な石油を消費してきた中国。
 その生産活動が停滞することで、需要が大幅に鈍化している。
 日本と中国に事務所を置く弁護士事務所の関係者が語る。

 「中国の製造業の落ち込みには、目を覆うものがあります。
 この一年、日中をまたがる仕事の大半が、『いかに中国の工場や会社をたたむか』という話ばかりです。
 ジョイントベンチャーの解消であったり、なかには夜逃げ同然で逃げ帰ってくる日本企業も多い。
 昨年、北京のリチウム電池工場を閉鎖したパナソニックが典型例です。
 製造業が落ち込めば当然、石油の消費量も細ります」

 その一方で、経済制裁解除でイランが石油を増産することになったにもかかわらず、サウジアラビアなどの産油国が減産しないという供給サイドの問題もある。
 原油安は、長い目で見れば資源を輸入している国の経済にとってプラスの材料だが、短期的には世界的混乱の要因となる。
 これまで資源ブームに支えられてきた資源国の経済はボロボロで、政治的混乱も引き起こしている。

 昨年12月にジルマ・ルセフ大統領の弾劾を求めるデモが拡大したブラジル。
 今年は南米初の開催となるリオ・オリンピックをひかえてお祭りムードになるはずだったにもかかわらず、あまりに経済状況が悪いので、国民の間では新年のあいさつを「'17年、おめでとう」と交わすのが流行しているという。
 経済的に悲惨な状況にある'16年をすっ飛ばしたいというブラック・ユーモアだ。
 国営石油企業ペトロブラスの汚職問題が明るみに出るなか、財務大臣が退任するなど、混乱が収まる気配はない。

 輪をかけて危ないのが中東情勢だ。
 GDPの43%を石油部門に頼るサウジは、長期化する原油安に耐え切れず、国営石油企業サウジアラムコの新規株式公開(IPO)を進めている。
 外資系投資銀行の関係者が語る。
 「実現すれば時価数兆ドル(数百兆円)の世界最大の企業が誕生することになり、株式公開に関わる投資銀行にとっては垂涎物の案件です。
 それにしても、国営石油企業をIPOせざるを得ないほど、サウジの財政状況が追い込まれているという事実は、想定外でした。
 サウジを始め石油産出国の国営ファンドは次々と市場から資金を引き上げています」

■アメリカのリスク要因

 加えてイランとの宗教的対立も高まっており、今まで比較的安定していると見られていたサウジ情勢が流動的になれば、イスラム国(IS)の勢力拡大も相まって中東で「火薬」が一気に破裂する可能性もある。

 新興国がこのようなありさまだから、リスクを嫌うマネーが行き着く先は決まっている。
 米国だ。
 「市場関係者は米国経済がバラ色でないことは承知していますが、比較的安全な場所として、消去法的に米国に資金を流しています。
 にもかかわらず、ニューヨークダウは年初から一時2000ドル近くも下落しており、米国市場自体も動揺していることは明らか。
 リスク回避としてのドル買いが進んでいること、そして昨年末に利上げがあったことでドル高基調が続いており、とりわけ製造業、エネルギー産業を中心に悪影響を及ぼし始めています」(前出の岡村氏)

 米インテルが1月14日に発表した'15年10~12月四半期の決算では純利益が1・3%のマイナス。
 S&P500を構成する500社の一株当たり利益も、同四半期に7%マイナスになる見込みだ(前年同期比)。
 昨年末、利上げに踏み切ったFRB(連邦準備制度理事会)のジャネット・イエレン議長は、年内に1~2回の再利上げを行うと見られている。
 前回の利上げで、明らかに動揺が広がっている世界経済に、さらなる利上げショックが走ったとしたら……。

 「次回の利上げは6月と見られています。
  イエレン氏の性格からいって、慎重を期すと思いますが、さらに新興国通貨安が進み、世界経済が不安定化する可能性もあります」(岡村氏)

 日経平均は下げて上がってを繰り返しているが、最終的には「下げて下がる」のが、今年の世界経済の正しい読み方なのだ。

「週刊現代」2016年2月13日号より




JB Press 2016.2.9(火)  姫田 小夏
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45991

ボーナス出なくて涙目、それでも爆買いは続くのか
中国人旅行客の買い物に頼り切るのは危険

 「春節」が2月8日に到来した。
 中国の春節が日本経済にこれほど大きな影響をもたらすとは、以前は考えられないことだった。今年も「爆買い」が日本各地を席巻するのだろうか。

◆「ボーナスなし」の企業が続出

 だが、日本では中国経済の失速を背景に、爆買いは「終止符を打つのではないか」という声が聞かれる。
 中国企業の業績が悪化して国民の財布のヒモがきつくなれば、当然、旅行消費も影響を受けるだろうという見方だ。
 春節前に支給されるボーナスはどうだったのか。
 昨年(2015年)後半から中国では、春節前のボーナスの支給動向が注視されてきた。
 今年は出るのか出ないのか?
 出るとすればいくらなのか?
 中国人の間ではそんな話題で持ちきりだった。

 そして、蓋を開けてみれば案の定「支給されなかった」ホワイトカラーが続出した。
 筆者の友人で中国企業の中間管理職に就くL氏もその1人。
 「ボーナスが出ないなんて初めてのことだ」と電話口で憤慨する。
 中国の経済紙「21世紀経済報道」の調査によれば、
 2015年のボーナスが「支給されなかった」と回答したホワイトカラーは、実に66%にものぼった。
 工場で働く労働者にとっては、ボーナス支給どころか各地で工場閉鎖が相次ぎ仕事がなくなった。
 昨年12月には「1億7000万人が早々と帰省の途についた」というニュースも伝えられた。

◆人民元切り下げの直撃を受ける「代購」

 為替の動きも無縁ではない。
 2015年8月に人民元が米ドルに対して約2%切り下がった。
 中国人の海外での買い物にじわじわと影響が出始めている。
 8月までは、訪日中国人観光客は1元=約20円のレートで買い物ができた。
 つまり1万円の商品を500元程度で買えた。
 だが1元=約18円となった今、支払う金額は555元。
 以前に比べると55元の増加だ。
 およそ10%も割高になった。

 海外で依頼者の代わりに商品を購入する「代購(daigou)」も直撃を受ける。
 爆買いは、自分で使う商品の購入というよりも、むしろ中国のネット販売に出品するための“商品仕入れ”を海外旅行者にやってもらうという側面が強かった。
 ツアーの添乗員が代購の組織から依頼を受け、観光客に買い物をさせることもある。
 言ってみれば中国への密輸行為なのだが、こうしたことが堂々と行われてきた。
 免税ショッピングサービスの大手、グローバルブルーが行った調査によれば、
 海外での中国人観光客の買い物のうち4割がこの「代購」だと言う。
 「元高円安」基調が終われば、日本で化粧品や家電、ゲームソフトなどを代理購入しようという意欲は減退するだろう。
 このまま代購はフェードアウトしてしまうかもしれない。

◆「訪日旅行はやっぱり安い」

 一方で、日本のインバウンドツーリズムの現場からは楽観論が聞こえてくる。
 大手旅行会社のスタッフは次のように話す。
 「すでに昨年同様、宿泊施設は予約でいっぱいです。
 昨年から航空会社が増便しているので今年もまたどっと押し寄せて来るでしょう」
 筆者は「2度目の訪日旅行を計画中」だという上海在住の中国人女性(26歳)に会った。
 この女性は、日本を訪れる理由を次のように話してくれた。
 「私の実家は成都市ですが、上海から成都に行くよりも日本に行くほうがはるかに安いんですよ」
 今回の日本旅行の目的地は愛媛県だ。
 格安航空会社を利用すれば、上海の浦東空港から松山空港までたったの99元(約1780円)で行けてしまう。
 燃油サーチャージを含めても往復で758元(約1万3640円)しかかからない。
 それに対して、成都への帰郷には往復で2460元(約4万4280円)もかかる。
 3倍以上もの開きがあるのだ。

 格安航空会社各社は日本の地方都市にも次々と新規就航や増便を図っている。
 今後もこうした格安運賃のツアーが、中国から“爆買い軍団”を日本へ運び込んでくる可能性は高い。
 中国の物価は依然として上昇を続けている。
 上海市内を走るタクシーの初乗り料金も最近14元から16元に上がった。
 外食や食品の値上がりもとどまるところを知らない。
 それに比べると、多くの中国人にとって「訪日旅行はやっぱり安い」のである。

◆2015年が異常だった?

 日本の観光庁の統計によれば、2015年の訪日外国人旅行者数は前年比47.1%増の1973万7400人となった。
 このうち、中国からの訪日客は4分の1を占める499万人で、前年の240万人から倍増した。
 訪日外国人旅行者の旅行消費総額は3兆4771億円に達し、その約4割が中国人による消費だったという。
 この「爆買い」は、まだしばらく続くのだろうか。
 旅行業界の専門家は次のように指摘している。
 「2015年は、円安効果や免税枠の広がり、クルーズ船の寄港や航空路線の拡大、観光地日本の人気拡散などがあり、日本を訪れる中国人が一気に増加しました。
 けれども、それはある意味『異常』ともいえる特別な1年でした。
 2016年は昨年のような急増が続くとは考えにくい。
 おだやかな成長になると見込んでいます。
 また、団体旅行の売れ筋価格が落ちてきています。
 7000~9000元台(約12万6000~16万2000万円)の高額ツアーが売れなくなってきました」

 観光庁の統計からも、2015年第3四半期まで右肩上がりで推移してきた旅行支出が、第4四半期に落ち込みに転じていることが分かる(下のグラフ)。
 今後これがどのように推移するのか気になるところだ。
 前出の専門家も
 「2015年の盛り上がりをベースに戦略を立てるのは危険」
だと警鐘を鳴らしている。


●訪日外国人1人当たりの旅行支出の推移
1人当たり旅行支出は中国が他の国籍・地域に比べて高い。2015年第3四半期から減少しているのが気になる。(出所:観光庁)

 中国人による大量の買い物は日本経済に大きな影響力を持つようになった。
 しかし、これに依存していていいのだろうか。
 かつて福島原発が事故を起こした際は、風評被害であらゆる日本の食品が敬遠された。
 「爆買い」の主は良くも悪くも口コミに踊らされやすい人々である。
 訪日旅行もいずれはブームがピークアウトする日がやって来る。
 爆買いへの過剰な期待は禁物である。

2016年2月8日月曜日

習近平の鉄槌(3):絶対王政に逆戻り?特権階級がのさばる中国、中国がどうなるかは、おそらく中国の指導者も分からない

_


JB Press 2016.2.8(月)  柯 隆
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45977

絶対王政に逆戻り?特権階級がのさばる中国
「改革・開放」路線で豊かになった国民はごく一部

中国で何が起きているのか、誰にも分からない。
 中国がどうなるかは、おそらく中国の指導者も分からないはずである。
 だからこそ「新常態」という意味不明の言葉が発明されたのだ。

 今、中国社会を覆っているのは「不安」の空気である。
 たとえてみれば、濃霧で前が見えない高速道路を時速100キロ以上で走っているようなものである。
 衝突したりひっく返たりするかもしれないリスクを孕みながら、スピードを落とさないのはなぜなのだろうか。
 最大の理由は、早いスピードで走れることが「いい車」の証明だと考えているからである。
 スピードが落ちて「やはりダメな車だ」と批判されてはならないのだ。

 共産党幹部は経済政策や経済成長のスピードの速さこそが自分の業績として評価されると考えている。
 確かにスピードが速ければ、大きな利益を享受することもできる。
 経済成長の理想的なスピードは巡航速度で安定して走ることだろう。
 無理にアクセルを踏まずに本来の実力で、安全に、安定的に走ることである。
 しかし今までの35年を振り返れば、中国経済はおそらく一度も安定した巡航速度で走ったことはなかった。
 常に無理して高成長を実現しようとしてきたのである。

■勝ち組になれたのは一部だけ

今までの35年間の経済高成長は、農民の生活を犠牲にして実現したものだったと言って過言ではない。
 否、今までの35年間だけでなく毛沢東時代も農民が犠牲になった。

 「改革・開放」以降の経済成長率は年平均で10%近くに達している。
 仮に大半の中国人の年収が毎年同じように増えたとすれば、中国社会はもっと安定しているはずだ。
 ところが農民は経済成長の恩恵にあずかれなかった。
 結局、勝ち組になったのは共産党幹部および彼らとコネを持つビジネスマンである。
短期的にGDPが急拡大しても、一部の勝ち組しかその恩恵を享受できなければ、社会は極端に不安定化する。
 それがまさに今の中国社会である。

 毛沢東時代の中国は地獄だったが、「人間は平等でなければならない」という理念は社会で徹底されていた。
 その理念を信じてきた中国人は今どのような思いで政府を見ているのか。
 習近平政権の腐敗撲滅キャンペーンで摘発された腐敗幹部の「実績」、すなわち腐敗ぶりを見て、負け組の人たち(労働者と農民)は言葉を失い、怒りに震えているに違いない。
 不満が募るのは何も負け組の人たちだけではない。
 共産党幹部でさえもが不満と怒りを覚えている。

 1月26日の午後、中国国家統計局長・王保安氏は経済情勢分析に関する記者会見で記者の質問に答えていた。
 だが、その1時間後に、共産党中央規律委員会に拘束された。
 厳重な規律違反があったからだという。
 詳細は発表されていないが、おそらく金銭に絡む腐敗だろうと推察される。
 今の中国に清廉潔白の幹部が一体どれほどいるのだろうか。

■長らく王政だった中国

 これから中国社会がどうなるかを占うために、まず、中国社会の特性を明らかにしておく必要がある。
 中国共産党は、現在の社会体制を社会主義と定義する。
 社会主義の基本的な要素は平等公有制である。
 しかし、この2つの条件はいずれも崩れている。
 中国は平等の社会であるとは言えないし、公有制も「改革・開放」とともに崩れてしまった。
 中国は明らかに社会主義ではない。
 では、中国は資本主義なのだろうか。
 資本主義的な要素は確かにあるが、資本主義でもない。

 歴史を振り返ると中国は数千年にわたって絶対王政を続けてきた。
 今の中国社会にはかつての王政の要素が多数残っている。
 たとえば、指導者への個人崇拝はまさに王制の負の遺産である。
 かつて毛沢東は国共内戦で蒋介石に打ち勝って北京に入ったとき、清王朝の皇帝たちの住居だった紫禁城(故宮)に住居を構えようとしたといわれている。
 そして、ある日、北京の中心部に位置する北海公園で側近たちとボードを漕いでいたとき、「俺も側室(妾)が欲しい」ともらした。
 農民一揆の王だった毛沢東は近代的な中国を作ることよりも、まずは皇帝になろうと思ったのだ。
 また、これまでの35年間、中国社会では王政時代に戻るかのように特権階級が急速に形成され、勢力を伸ばしている。

■配慮されていない富の分配

民主主義の社会では、政治と社会を安定させるために国民の間でコンセンサスを形成することが前提となる。
 権力者の政策が国民によって支持されなければ、政治も社会も安定しない。
 では、国民はどのような政策を求めるのか。
 それは抽象的な経済成長ではなく、そこから得られる恩恵を自らどれだけ享受できるかである。

 このことを踏まえると、中国の「改革・開放」政策の落とし穴が見えてくる。
 つまり、共産党は抽象的な経済発展を実現しようとしてきたが、国民の大多数にどれだけ恩恵をもたらしたかについては十分に配慮していない。
 これまでの35年間で経済は確かに成長したが、富の分配については、共産党幹部を中心とした限られた者同士の奪い合いだった。

 習近平政権の反腐敗キャンペーンは何を目的にしているのだろうか。
 もし共産党幹部の「特権」の打破が目的ならば、習近平国家主席は中国の歴史に残る名君になるだろう。
 だが、政敵を倒すためのパワーゲームに過ぎないのならば、中国社会は極端に不安定化する恐れがある。

 最近の中国の政治情勢をみると、共産党は習近平国家主席を中核とする共産党中央への団結を呼びかけている。
 団結の呼びかけは毛沢東の時代も鄧小平の時代も繰り返し行われたが、
 党中央に対して反抗的な言動がみられるから団結を呼びかけるのである。

 今の中国社会は、民主主義と市場経済への過渡期に差し掛かっている、とは言えない。
 むしろ、民主主義的な市場経済にまい進するか、王政の社会主義国家へ逆戻りするか、の分水嶺に差し掛かっている。







_

中国GDPは25年ぶり低水準(6):中国資金流出、中国外貨準備は380兆円、金準備は635億7000万ドル

_


ロイター 2月7日(日)14時4分配信
http://jp.reuters.com/article/china-economy-reserves-idJPKCN0VG07W

1月末の中国外貨準備は3.23兆ドル、
12年5月以来の低水準

[北京 7日 ロイター] -
 中国人民銀行(中央銀行)が7日発表した1月末時点の外貨準備高は3兆2300億ドルと、前月から995億ドル減少し、2012年5月以来の低水準となった。
 減少幅は、過去最大だった昨年12月の1079億ドルに次ぐ規模。

 前月比でマイナスとなったのは3カ月連続で、人民元の下落と資金流出を食い止めるために中銀がドル売りを出していたとみられる。
 ただ外貨準備高は、ロイターのまとめた市場予想の3兆2000億ドルは上回った。

 外準は最近の6カ月で4200億ドル程度減少したが、依然として世界最大規模にある。
 昨年1年間では5130億ドル減少し、年間の減少幅としては過去最大となった。
 外為当局は4日、昨年の準備高減少のうち
 貿易や投資による分は3423億ドル
 為替や資産価値の変化に伴う分は1703億ドル
に上ったとしていた。

 政府高官によると、国内企業による外貨建て債務の返済が急増したことや、元安に伴う国内での元売り/ドル買いが拡大したことも拍車をかけたという。

 中国からの資金流出は、昨年8月の人民元切り下げ以来増加。
 同国経済の鈍化懸念や米利上げ観測が背景にある。

 独コメルツ銀行(シンガポール)の新興国市場シニアエコノミストは、今回の統計についてリポートで
 
 「中国の経済成長は鈍化しており、金融緩和の必要性は非常に高い。
 だが資金流出は必然的に金融引き締め状態となる」
と指摘。
 「その一方、元の急落を防ぐために人民銀は外貨準備の売却を迫られるとみられ、流動性のタイト化につながるだろう」
と述べた。

 金準備は635億7000万ドルとなり、
 昨年末時点の601億9000万ドルから増加した。

 国際通貨基金(IMF)リサーブポジションは37億6000万ドルで、昨年末の45億5000万ドルから減少した。
 IMF特別引き出し権(SDR)は102億7000万ドル。
 昨年末は102億8000万ドルだった。



朝日新聞デジタル 2月7日(日)21時9分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160207-00000034-asahi-int

中国の外貨準備高、
大幅減続く ピーク時より2割減

 中国の中央銀行、中国人民銀行は7日、1月末時点の外貨準備高が前月末より995億ドル(約11・6兆円)減って3兆2309億ドル(約378兆円)になったと発表した。
 市場で続く元売り圧力に当局が元買い介入で対抗したことで、大幅な減少が続いている。

 1月の減少幅は、過去最大だった昨年12月の1079億ドルよりはわずかに縮まったが、依然として異例の高水準だ。

 年明けの外国為替市場では元売りが加速し、香港などの本国外(オフショア)市場では一時、1ドル=6・7元台半ばまで元安ドル高が進んだ。
 中国当局は投機筋が元売りを仕掛けているとみて、オフショア市場でも大規模な元買いドル売り介入を繰り返し、元安を食い止めている。
 この資金に使われたことで、外貨準備高が減っている。

 中国の外貨準備高は世界最大だが、
 ピークだった2014年6月末から比べると1年7カ月で約2割も減った。
 元安を見込んで中国の企業や個人が資産を外貨に置き換える動きが止まらず、政府は為替介入を迫られている。
 ただ、介入で外貨準備高が大幅に減っていること自体が、市場の元売りをさらに誘っている面もある。



サーチナニュース 2016-02-08 18:48
http://biz.searchina.net/id/1601948

外貨準備高、市場操作など影響で12兆円減

 中国1月の外貨準備高は2016年12月と比較して、およそ994億米ドル(約11兆6200億円)減の約3兆2309億米ドルとなった。
  過去最大の下落幅である2015年12月の前月比約1079億元減に次ぐ減少。

 2015年末の外貨準備高は前年同期比約5127億米ドル減(13%減)の約3兆3000万米ドル。下落した約5127億米ドルのうち、国際貿易収支によるものが約3423億米ドル、為替レート、資産価格の変動によるものが約1703億米ドル。
 一部の市場関係者が資本流出に歯止めがかからないとして悲観的にとらえている一方で、中国政府・国家外貨管理局総合司(政策法規司)司長は、外貨準備の増減は中央銀行が行った市場操作の影響など、マクロ政策の結果で正常な現象であると説明。
 そのほか投資資産にも影響を与えたとした。

 外貨準備高が減少する一方で、金の保有量が増加したという。
 2015年1月との比較では、外貨保有高は6000億米ドル減少し、金が約70%増の5718万オンスとなった。


ロイター 2016年 02月 8日 13:37 JST
http://jp.reuters.com/article/china-economy-breakingviews-idJPKCN0VH02Z?sp=true

コラム:中国資金流出めぐる一問一答、当局は阻止できるか

[北京 5日 ロイター BREAKINGVIEWS] -
 中国からかつてないほど急速なペースで資金が流出している。
 昨年の外貨準備高は5130億ドル減って3兆3300億ドルと、
 20年にわたる外貨準備の増大の流れが逆転した。
 これが人民元の下げ圧力となり、金融市場を動揺させ、さらなる資金流出を促している。

 BREAKINGVIEWSは資金流出の背後にあるさまざまな要素に目を向け、次に何か起こりそうかについてQ&A方式で以下に記した。

Q:西側諸国はかつて中国の外貨準備増大に不満を表明していたのに、なぜ縮小に懸念を抱くのか。

A::これまでずっと、中国の外貨準備の蓄積は人民元が人為的に低く抑えられていた結果だった。
 2012年まで国際通貨基金(IMF)は人民元が過小評価されていると主張していた。
 しかし実際には14年半ばまでの10年間に、人民元はドルに対して25%上昇している。
 通貨高と高成長、相対的に高い金利水準が相まって、海外投資家の資金を引き寄せていたのだ。
 同じ理由から中国企業は海外での借り入れを積極化した。

 ところが今、このプロセスが逆流している。
 中国企業や投資家が人民元をドルに転換するにつれて、国内の流動性が低下した。
 資金流出によって当局は、減速を続ける経済をてこ入れするために利下げをしたり、銀行預金準備率を引き下げることが難しくなっている面もある。

 一方で外国投資家は、急激な通貨切り下げが各国間の通貨安競争を招くのではないかと心配している。

Q:外貨準備の減少を見れば、中国からどのぐらいの規模で資金が出て行ったかが分かるか。

A::正確には分からない。
 外貨準備減少の一部はユーロ安など保有通貨の減価によるものだ。
 株安や債券価格下落も外貨準備を目減りさせる。
 中国国家外為管理局(SAFE)によると、この2つの要因で昨年の外貨準備は1700億ドル減少した。
 中国は依然として大幅な貿易黒字を計上しており、これは逆に外貨準備を押し上げた。

 資金流出については、4つの要因が働いている。
 それは
(1):中国企業による海外での買収
(2):外貨建て借り入れの返済
(3):外国投資家の資金引き揚げ
(4):中国人による旅行や海外資産投資のための人民元売り
──だ。

 いずれも先進国なら冷静な動きができるが、
 中国の場合はパニック的な資金流出へとつながる恐れがある。

Q:中国政府が事態は全面的にコントロールされていると表明しているのに、何が資金流出に拍車を掛けているのか。

A::人民銀行(中央銀行)が昨年8月、人民元の対ドル相場の2%下落を容認した切り下げを実施したことが、不安を巻き起こした。
 これは人民元をより市場メカニズムに基づいた値動きにしていく政策の一環とみなされていたが、実は8月以降、人民銀行が元下支えのために4050億ドルも費やしてたというのが国際金融協会(IIF)の見積もりだ。
 外貨準備は12月だけで1100億ドル減少している。
 今年1月はもっと急激に減少したかもしれない。
 国営メディアはジョージ・ソロス氏のような国際的な投資家に対して、緊張を高めるだけの役割しか持っていないと批判している。

 本当のところ、
 中国の外貨準備をこれまで減らしてきた最大の要素は、
 企業によるドル建て債の返済だ。
 国際決済銀行(BIS)によると、昨年9月末時点で期間1年以内の対外借り入れ額は6260億ドルで、14年半ばの8580億ドルから減った。
 対外融資は7─9月期だけで1190億ドル減少した。

Q:それでは中国の外貨建て債務返済が一段落して、外貨準備が安定化するのはいつになるのか。

A::まだドル建て債務の残高はかなり大きい。
 短期のローンは最大で5000億ドルに上るかもしれない。
 そして海外からの投資という別の要素もある。
 IIFの推定では、昨年の中国に対する外国直接投資(FDI)は2290億ドルで、依然として流出額の1170億ドルを上回っている。
 もっともFDIが鈍化する一方、中国企業の海外投資は活発化しつつある。
 中国化工集団(ケムチャイナ)がスイスのシンジェンタを430億ドルで買収する提案をしたのはその一例だ。

 HSBCによると、中国では企業と家計の資産に占める海外比率は2%弱と、韓国の14%前後などと比べると非常に低く、資産を分散化させる動きが強まっている。
 共産党が汚職取り締まりを続けているため、
 富裕層はより安全な海外に資金を移そうという心理が一層高まっている。

Q:外貨準備はどのぐらいで枯渇するのか。

A::中国の外貨準備高はなお3兆ドル余りと世界最大で、人民銀行が通貨防衛のために毎月1000億ドルを使い続けても、すべてなくなるには3年近くかかる。
 だが外貨準備における流動性の高い資産の割合ははっきりしていない。
 いずれにしても当局は取引フローを規制し、通貨の急変動を避けるためのバッファーを必要としている。
 つまり外貨準備が消え失せる時期はずっと早くなるだろう。

Q:海外への資金流出防止に向け当局は何ができるか

A::相当多くの手がある。
 人民銀行は国境を越える資本取引の規制を幾分緩めたとはいえ、まだ多くの規制が残っている。
 かつては規制の適用も手ぬるかったが、今は変わりつつある。
 規制当局は沿海地方の銀行に対して、外為取引のチェックを厳しく行うよう命じている。
 一部外銀はオンショア外為取引を禁止され、香港では投機筋の人民元売りを抑えるために人民元の借り入れ金利が押し上げられた。

 為替管理自体を厳格化するのは難しいだろう。
 例えば当局は、国民が海外に持ち出す外貨上限額を現行の毎年5万ドルから下げようと思えば下げられるが、国民の不安感を助長するだけになる。
 外国投資家の資金引き揚げを制限すれば、新規投資を遠ざけてしまう。

Q:人民元のコントロールは有効か。

A::最終的には機能しない。
 当局は海外への資金移転手続きをより面倒にすることで資金流出のスピードを遅くすることは可能でも、あらゆる経路で資金流出を止めようとすれば、貿易に打撃を与えたり、自ら経済の先行きに自信がないと認めることになる。

 貿易業者はこれまで輸出入のインボイスを水増しすることで、資本規制をすり抜けてきた。
 個人もマカオにギャンブルに行くか、国内の口座とリンクしているクレジットカードで海外の製品を買ったり、もっと単純に人民元紙幣を詰め込んだスーツケースを持ち出せば、海外に資金を移動できる。

Q:中国当局はほかに何ができるか。

A::1回で大幅な切り下げを実施すれば、人民元が過大評価されているとの懸念には対処できる。
 しかしこれは多額の対外債務を抱える中国企業を苦しめ、世界の市場を大混乱に陥らせる。
 ともかく政策担当者にとって自分たちの信認と人民元の安定が一蓮托生である以上、切り下げは人民元のコントロールをより困難にしてしまいかねない。

 代わりの手段は、人民元の緩やかな下落を誘導し、投資家がさらなる下落を予想するのに合わせる形で、外貨準備を使うことだ。
 資金流出が主に
1).中国企業の外貨建て債務返済と
2).国内から海外への投資増加に起因する限りは、
人民元の下げ圧力は許容できる。
 ただし、
★.国民が自らの手元資金を大量に海外に移し始めると、すべての想定は崩れ去ってしまう
だろう。

●背景となるニュース

*SAFEは4日、昨年の外貨準備高の減少額5130億ドルの約3分の1は、通貨と資産の価格変動によって説明できるとの見方を示した。
 それによると3423億ドルの減少は貿易・投資面の取引が原因だったが、1703億ドルの減少は通貨・資産の価格変動がもたらした。
 保有外貨のバスケットの価値は、ドル高に伴って低下した。

*SAFEが発表した昨年の経常収支(速報値)は2930億ドルの黒字、資本・金融収支は1610億ドルの赤字だった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。



サーチナニュース 2016-02-10 06:32
http://biz.searchina.net/id/1602015?page=1

まるでバブル当時の日本だ
・・・中国企業が積極的にM&Aを展開

 1980年代、日本経済がバブルに沸いていたころ、日本企業は米国をはじめとする国々で企業買収を積極的に行った。
 当時、割高な金額で企業を買収し、バブル崩壊後に割安な金額で買収先を手放した日本企業は少なくない。

 中国企業がシカゴ証券取引所を買収するとして大きな注目を集めたとおり、現在は中国企業がかつての日本企業のように企業の買収を積極的に行っている。
 中国メディアの華爾街見聞はこのほど、現在の中国企業のM&Aは80年代の日本を彷彿とさせると主張する一方、
 中国企業の買収には明確な目的がある
と論じた。

 調査会社ディールロジックによれば、
 2016年が始まってわずか1カ月あまりの期間に中国企業は国外で82件のM&Aを行った。
 記事は、M&A総額は730億ドル(約8兆5119億円)に達した。
 15年の同期間における件数は55件、金額は62億ドル(約7229億円)だったため、
 金額でみれば10倍以上も増えている
ことになる。

 世界4大会計事務所の1つに数えられるアーンスト・アンド・ヤングによれば、
 15年に中資集団有限公司はドイツの36の企業を買収した。
 09年の買収はわずか2社だったため、M&A件数の増加ペースは異常とも言えるほどだ。
 中国企業のM&Aが異常に増えている理由として、一部では
★.「中国企業が多額の資金を持て余していること」
のほかに、
★.「中国企業が構造改革の必要に迫られている」
との分析もある。

 記事は、こうした中国企業による異常に活発な海外M&Aは80年代後期の日本を彷彿させると指摘。
 しかし、当時の日本企業と異なる点は、80年代後期の日本がバブルの真っ只中でM&Aを活発に行ったのに対し、
★.現在の中国は経済成長の速度が落ちている状態でM&Aを行っている
点にあると主張。
★.中国企業は海外M&Aを「自らを成長させるために必要不可欠な手段」と見ている
と論じた。

 また、80年代後期の日本企業によるM&Aは海外から企業売却の話があっただけでなく、金融機関も積極的に資金を貸し出すという風潮のもとで行われたと主張し、「戦略的M&A」とはまったく異なるものであり、後々に元手を割った価格で手放す無意味なM&Aも数多く存在したと主張した。
 一方で、
★.現在の中国企業は構造改革という明確な目的のもとにM&Aを実施している
とし、現在の中国企業のM&Aはバブル当時の日本とはまったく意味合いが違うと主張した。



産経新聞 2月10日(水)11時5分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160209-00000504-san-cn

中国の資本流出が止まらない
…1年間で1兆ドル!ソロス発言でさらに加速か?

 中国から前代未聞のペースで資本が流出している。
 ブルームバーグの集計によると、
 2015年の流出額は「過去最悪」の1兆ドル(約121兆円)と14年の「7倍」余りに達した。
 人民元に対する弱気心理の広がりから、中国国民の間で人民元売りドル買いの動きが強まっていることが大きい。
 さらに外資企業が中国投資を控える動きが出ていることも影響しているようだ。
 中国当局は流出に歯止めをかけようと指導を強化しているが、目立った成果も見えておらず、今年の流出額はさらに増えるとの観測も広がっている。

 ブルームバーグによると、
 14年の流出額は1343億ドルだったが、15年は1兆ドルに達し、06年からのデータ推計以降、過去最悪になったという。

 中国人民銀行(中央銀行)は15年8月に突然、人民元の切り下げに踏み切り、同国に対する不信感が強まった。
 このため、市民が人民元を売ってドルに替えたり、輸出企業がドルを人民元に替えずに保有を続けるといった動きが加速している。

 先月開かれた世界経済フォーラム年次総会では(ダボス会議)では、
 富豪で世界的投資家のジョージ・ソロス氏が
 「中国経済のハードランディングは不可避で、世界的なデフレに陥る危険性がある」
と述べ、中国などアジア通貨売りを宣言した。

 このソロス氏の発言に猛然と食ってかかったのは、中国共産党機関紙の人民日報や、国営新華社通信だ。
 「中国経済は絶対にハードランディングしない。
 人民元売りは失敗する」
と反論した。

 人民日報などが強行に反論するのは、ソロス氏が過去に市場を大きく動かした“実績”があるからだ。
 1992年に英国の通貨ポンドを大量に売り浴びせて巨額の利益を上げ、「イングランド銀行(中央銀行)を打ち負かした男」と呼ばれた。
 1997年にタイのバーツなど東南アジアの通貨を売って、アジア通貨危機の引き金を引いたことでも知られる。

 今回懸念されるのは、巨大になった中国経済と、その対外債務の大きさから、人民元売りによって簡単に世界金融恐慌が巻き起こる危険があることだ。
 それを心得ているであろう中国側が反論してくるのは至極当然ともいえる。
 ただ、中国当局が、資本流出と表裏一体である人民元不安を止めることは容易ではない。

 外資が中国投資から手を引く動きも鮮明になりつつある。
 中国商務省の統計によると、15年通年の世界全体から中国への直接投資の実行額は、前年比5.6%増の1262億7000万ドルとプラスを維持したが、日本からの対中投資額は25.2%減の32億1000万ドルと3年連続で減少した。

 ただ、12月の世界全体からの直接投資は8.2%減122億3000万ドル(約1兆4000億円)とマイナスとなり、このうち日本からは34.5%減の1億6000万ドルと激減し、中国を見限る海外企業が相次いでいる格好だ。

 かつては「世界の工場」と呼ばれ、多くの外資企業が生産拠点を中国に移したが、人件費の高騰や景気失速を受け、投資の失速をよんでいる。

 昨年末の投資減について、中国商務省の沈丹陽報道官は1月20日の記者会見で「人民元市場の変動の影響もあった」と述べた。
 人民元の先安観が強いことが、海外企業の中国投資を抑制する要因になっているのだ。

 ブルームバーグによると、中国当局は昨年から資金流出に歯止めをかけようと、行政・窓口指導の強化に取り組んでいる。
 その一環として、海外での銀行口座からの引出額に上限を設定。さらに、親類や友人の割り当て分を利用した複数取引で資金の海外移転を警戒するよう、金融機関に呼びかけている。

 ただ、政府のこうした努力も市民の自国経済に対する悲観的な見方を変えるに至っていないようだ。

 公的な規制では、中国国民1人の現金持ち出しは年5万ドルまでだが、地下銀行など、上限規制をすり抜ける手口はいくつもあり、事実上“ザル”になっているという。

 ブルームバーグによると、JPモルガン・チェースのアナリストらはリポートで、中国の対外直接投資拡大や中国株・債権投資から撤退する外国人投資家などがいることを例に挙げ、「中国からの資金流出は実質的に無限」との見方を示している。



2016.2.18(木)  Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46101
(2016年2月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

人民元安に賭ける投資家、重要なのはタイミング
中国に極めて悲観的なヘッジファンド

 映画「マネー・ショート:華麗なる大逆転」は、住宅バブルの資金供給に使われた債務証券の値下がりに賭けるヘッジファンド・マネジャーを中心に展開する物語だ。
 その主人公が抱えるジレンマが、香港の同業者の心の琴線に触れている。
 2008年の世界金融危機に至った実際の出来事をベースにしたこの映画に、中国の人民元が今後数カ月でどこまで下落するかを予測しているヘッジファンド・マネジャーたちが共感を覚えているのだ。

 2月初めにゴールドマン・サックスが開いたマクロ・コンファレンスの会場の片隅で、顧客であるヘッジファンドの社員とゴールドマンのトレーダーたちが人民元相場について意見交換をしていた。
 現在は1ドル=約6.57人民元だが、これが同8人民元に下がるまでどれぐらい時間がかかりそうか、というテーマだ。

 また、多くのプライベート・エクイティ会社幹部が人民元のヘッジを始めている。
 以前は、投資先の中国企業の人民元建て売上高をわざわざヘッジしたりはしなかったが、今日では高いコストを払ってでもやろうとしているのだ。

 オルタナティブ投資の運用責任者はほぼ全員、中国の経済と株式市場の今後について容赦ないほどに弱気である。
 人民元については、それに輪をかけて悲観的だ。
 しかし彼らは、最高に優れたファンダメンタル分析を手にした投資家であっても、売買のタイミングを間違えれば破産しかねないということも承知している。

■中国人民銀行の意図は何か?

 ゴールドマンのコンファレンスにおける会話の大半は、中国人民銀行の意図についてのものだった。
 投資家の間では、輸出業者は比較的早い時期にオフショアのドル建ての売り上げを国内に持ち込まざるを得なくなるとの予想が非常に多い。
 中国の貿易黒字は膨らみ続けているが、その一方で外貨準備高は減ってきており、
 輸出業者は明らかにドルを外国で蓄えているからだ。

中国の銀行は法人顧客に対し、顧客が今年受け取るドルは前年よりも減る見通しだと伝えている。
 金利がいよいよ高くなるドル建ての借り入れを返済するためのドルについても同様だという。

 中国の外貨準備高は1月だけで995億ドル減少した。
 2014年6月のピークから累計で7700億ドル減った計算だ。
 昨年12月の実績と合わせれば、2カ月間で2074億ドルが流出したことになる。

 「現在の外貨準備高は3兆2300億ドルだから、まだかなりの軍資金が残っているとはいえ、ここ数カ月間の外貨準備高の急激な減少ペースは、たとえ短期間でもとにかく持続不可能だ」。
 IHSグローバル・インサイトのアジア太平洋地域担当チーフエコノミスト、ラジブ・ビスワス氏はそう語る。

 資本流出を区分けするのは難しい。
 一部は、まだ続いているキャリートレードの巻き戻しだし、一部は中国企業の対外債務の返済に回っている。

 思慮深い多角化を、資本逃避と区別するのも難しい。

 それから、新たに手に入れた「おもちゃ」を管理する能力の有無にかかわらず、中国の民間企業、国有企業が海外でますます大規模な買収を行っている論理的な根拠を、一体どう理解すればいいのだろうか。

 資本投資を食い止めるために人民銀行にできることは、もっとたくさんある。1つは、大半の元売りが集中し、金利が上昇した結果、オンショア市場よりはるかに高くなっているオフショア市場を廃止することだ。国がひとたび通貨の自由化に動いたら、通貨統制を再び敷くのは難しいが、不可能ではない。

■日本にも大きな影響

 中国などへの投資は、いよいよ最終的には中央銀行を先読みすることになりつつある。
 それも通貨のポジションに関してだけではない。日本株を例にとってみよう。
 ドル建ての投資家にとっては、日本株は素晴らしい成績を上げたかもしれないが、円をヘッジしていなければ、昨年のリターンはマイナスだった。

 また、人民元の描く軌道は、中国の国境を大きく越えたところにまで影響を及ぼす。
 人民元の弱さは、日銀がマイナス金利導入を決断した1つの要因だったと言える。
 その過程で円が一時的に下落した。

 この決断は、日本国内の輸出業者を支えるために通貨安を誘導する日本の政策を元安が脅かしていることから、日銀総裁が中国に資本規制を導入するよう提言した後に続いたものだ。

 昔は、中央銀行は最後まで自国通貨の下落を望まない存在だった。
 それが今では、通貨安の最大の応援団のように見える。また、貯蓄から生じる所得の減少に沿って生活水準が低下した人々にかかるコストなど気にしてもいない。

 申年の今年、こと中央銀行に関しては、「言わざる」を貫くのが次第に難しくなっている。

By Henny Sender






_


東日本大震災から5年:復興は「スピード」と「コミュニティー重視」

_


レコードチャイナ 配信日時:2016年2月7日(日) 19時23分
http://www.recordchina.co.jp/a128461.html

<東日本大震災から間もなく5年>
復興は「スピード」と「コミュニティー重視」で
―被災地の3市長が明かした“本音“とは?


●東日本大震災が発生した2011年3月11日から間もなく5年になるのを前に、被災地の3市長が、復興に賭ける思いを率直に語った。写真は菊地啓夫・岩沼市長。

 未曽有の東日本大震災が発生した2011年3月11日から間もなく5年になるのを前に、被災地の3市長が日本記者クラブで個別に会見した。
 復興が最も進んでいるとされる宮城県岩沼市の菊地啓夫市長は「スピードを重視し、集落単位で計画を進めたことがよかった」と言明。
 宮城県気仙沼市の菅原茂市長も「元の集落を生かし、なりわいとコミュニティーを大切にする復興に取り組んでいる」と明かした。
 岩手県釜石市の野田武則市長は「三陸沿岸は将来的に大幅な人口減少が想定されており、各自治体が連携して三陸全体の振興策に取り組むことが重要だ」語った。

■<宮城県岩沼市・菊地啓夫市長> 

 被災から1カ月後の4月下旬に市の復興方針を決め、スピード感を持って対応しようと心がけた。
 津波により市域の48%が浸水し、死者181人、家損壊5428戸。
 人口4万4000人のうち、6700人が避難所に入ったが、避難所を被災自治体で初めて閉鎖することができた。
 仮設住宅に希望者全員がコミュニティーごとに入居してもらうようにした。
 避難所も仮設住宅も、小学校、中学校の学区を基本とする集落単位としたのがよかった。

 集団移転に当たっては、被災した各集落の方々から意見を聞いて6集落を1カ所にして新しい街を作り、災害公営住宅を建てた。
 それぞれ徒歩圏内のコンパクトシティとし、集団移転した農家に代替農地20ヘクタールを貸し出し、ホウレンソウ、チンゲンサイなどの野菜畑となっている。
 仮設住宅は今年4月28日に使命を終える。
 仙台市に近いこともあって、人口は被災前より増えている。

 11メートルにかさ上げした津波退避所「千年希望の丘」も数カ所完成、これを10キロにも及ぶ堤防道路が連結する。
 計画したインフラの7割が完成、あと2年間で残る3割を完成させたい。

 今後も被災者に寄り沿い、生きがい対策を推進したい。
 仙台空港周辺の整備と企業誘致、雇用の確保にも力を入れ、通常の3倍予算を組んだ。
 震災からの脱却が可能となる。

■<宮城県気仙沼市・菅原茂市長>

 太平洋に面した気仙沼市は、市全体が最大で1メートル以上も地盤沈下した。
 死者1042人、行方不明220人。
 大震災直前の人口7万4247人は昨年12月末で6万6733人と7514人減少した。

 大震災の半年後の10月に気仙沼市がまとめた復興計画は「海と生きる」と題した。
 過去に何度も津波に襲われながら、海を敵視せず、人間は自然の一部であると対等の関係を築いて海と生活して再起を果たしてきたという意味だ。
 
 基幹産業は水産業である。
 気仙沼市の製造業出荷額の8割を水産加工品が占めるが、ほとんどの事業所がリアス式海岸にあるため被災した。
 気仙沼ではコンパクトシティーはできない。
 元の集落を生かし、なりわいとコミュニティーを大切にする復興に取り組んでいる

 水産業は消費者の魚離れ、資源の減少、就業者の減少など逆風下にあるが、観光と水産を融合する魚市場の建設、津波対応型造船施設の整備などを推進したい。

■<岩手県釜石市・野田武則市長>

 釜石市の死者・行方不明者は1千人を超えた。
 釜石市では16年度中に復興公営住宅は約9割、自立再建を目指す被災者のためのかさ上げ工事も約8割は完成する見通し。今年は復興の歩みを実感できる年にしたい。

 課題はこうした生活基盤が整った後、新たな釜石をどう作り上げるのか。
 地元企業の再建や新たな企業の立ち上げ、「橋野鉄鉱山・高炉跡」の世界文化遺産登録をテコにした観光振興、企業誘致を積極化したい。
 中国の太陽光パネル製造販売企業が物流拠点を建設中だ。

 2019年のラグビーワールドカップ日本大会では、釜石市でも開催され、スタジアムが建設される。
 大会終了後はサッカーなど他のスポーツやコンサートにも利用できるようにし、スタジアムを起爆剤として三陸地域の底上げにつなげたい。
 三陸沿岸は将来的に大幅な人口減少が想定されており、各自治体が連携して三陸全体の振興策に取り組むことが重要だ。



サーチナニュース 2016-02-26 14:43
http://news.searchina.net/id/1603458?page=1

どうして日本人は「負け続ける者」を愛し、尊敬するのか
・・・その理由に心が震えた! =中国メディア

 まだ「名のみの風の寒さや」といった感はあるが、暦の上ではもう春。
 「春」といえば、レースで113連敗を記録して「負け組の星」とムーブメントを巻き起こした競走馬「ハルウララ」が競走馬から引退してすでに10年が経つ。
 「ああ、そんな馬がいたね」といった印象になりつつあるが、中国では近ごろ「ハルウララ」の物語が紹介され、そこから「日本人の特殊性」を見出した人もいたようだ。

 中国メディア・新浪体育は25日、中国中央テレビ(CCTV)の番組で紹介された「ハルウララ」のエピソードを見て「心が震えた」とする記事を掲載した。

 記事は、番組では戦えど戦えど勝てない「ハルウララ」に日本の人びとが注目し、多くの人がわざわざ競馬場にその姿を見に訪れるうえ、「当たらないことが分かっているような馬券を購入して、友だちにプレゼントし」さえする、「夢はいつかかなう」などといった歌まで作られるといった話が紹介されたと説明。
 「最初は、日本人がどうして連戦連敗の馬を愛するのかが分からなかった」
とした。

 そのうえで、司会者による
 「日本人はその弛みない努力を重く見ているのだ。
 勝ったことのない馬が、怠けることなく毎回全力で走るという点に、多くの日本人は感動したのだ」
という解説があったと紹介。
 「日本人は決して単純に弱者に同情しているのではなかった。
 奮闘する姿を愛し、励まし、崇拝するのだ。
 彼らにとって、努力こそ尊敬の対象であり、結果は重要ではないのだ」
ということに気づき、「見終わった時には心の中が震えていた」との感想を伝えた。

 そして
 「社会の大多数はハルウララ同様、努力しても栄冠を勝ち取れないということはみんなよく分かっている。
 日本人は失敗者からパワーをもらい、自己を奮い立たせることで、全体の向上につながっていくのだ。
 これは経済的な奇跡よりももっとすごいことではないか」
と評価するとともに、中国と日本との間には「軽視されがちな価値観の違い」が存在し、実は
 「それこそわれわれが留意するに値するものなのだ」
と論じている。

 「ハルウララ」のブームについてはいささか「やり過ぎ」といった印象が否めない部分もあったと思われるが、
 確かに日本には「いくら頑張っても勝てない、弱い者」に対して愛着を持ち、応援する傾向がある
のではないだろうか。
 記事は
 「単なる同情ではなく、努力する者をリスペクトする」
という解釈をしている。
 もちろんそれもあるが、同時に「判官びいき」という言葉が日本に存在することも是非知ってもらいたいところである。









_

2016年2月7日日曜日

北朝鮮ミサイル:人工衛星打ち上げ成功、9分29秒後に地球周回軌道に、韓国二股コウモリ外交の終焉か?

_




レコードチャイナ 配信日時:2016年2月7日(日) 12時20分
http://www.recordchina.co.jp/a128634.html

北朝鮮ミサイル発射
=韓国ネット「韓国政府は安全保障を叫ぶだけで何も行動しない」
「北は厳しい制裁を受けることになる」


<<記事がない>>





レコードチャイナ 配信日時:2016年2月5日(金) 18時30分
http://www.recordchina.co.jp/a126962.html

韓国軍「北朝鮮のミサイルを迎撃する」と発表も、
今の軍備ではほぼ無理
=韓国ネット「恥ずかしくて倒れそう」
「口で戦争してるみたい」

 2016年2月4日、北朝鮮の長距離ミサイルが韓国の領土・領海に侵入した場合は迎撃するとの方針を韓国国防部が発表したが、
 韓国軍の現在の設備では迎撃はほとんど不可能だと、
韓国・ニューシスなど複数のメディアが報じた。

 不可能とされる理由はこうだ。
 北朝鮮が予告する範囲にミサイルが発射された場合、
 韓国西岸の黄海上で、その高度は上空150〜180キロに達するとみられる。
 しかし韓国軍が保有する地対空ミサイル・パトリオット(PAC−2)の迎撃可能高度は15キロ
 北朝鮮のミサイル高度にはまったく届きそうにないのだ。
 「迎撃する」と発表した国防部ももちろんこの不都合を認識しており、会見では
 「限定された範囲にはなるが最大限の努力をしている」
とし、
 高度が低かった場合に限り迎撃が可能と事実上認めている。 

この報道に、韓国のネットユーザーから次のようなコメントが寄せられた。

「口を開けばうそばかり」 
「恥ずかしくて倒れそう」 
「落ちてくるミサイルの殻を、その高価なミサイルで撃墜するということか。
 政府にはずいぶんお金が余っているみたいだ」 
「迎撃できると切に祈れば、迎撃できます」 

「軍首脳部の皆さん、もうちょっと考えて仕事して」 
「いつも非現実的なことしか言わない。
 理性でなく感情でしか対応できないみたいだ。
 だから国民に見捨てられるんだよ」 
「朴槿恵(パク・クネ)大統領:拡声器の出力をウルトラ最大限にして空に向ければ、撃墜できます」 

「拳銃の弾を空気銃で撃つようなもの」 
「大きな口をたたくことにおいては、たぶん世界一だね」 
「口で戦争してるみたい。
 こんなアマチュア軍人の国防なんて、とうてい信じられない。
 とにかく戦争が起こらないことを願うしかない」



聯合ニュース 2016年 02月 07日(日)
http://japanese.yonhapnews.co.kr/northkorea/2016/02/07/0300000000AJP20160207003000882.HTML

韓国軍「北の発射体、軌道進入と推定」=発射成功か

【ソウル聯合ニュース】
 韓国軍は7日、北朝鮮が発射した事実上の長距離弾道ミサイルの発射体が軌道に進入したと分析した。
 軌道進入したとすれば、今回の発射が成功した可能性が高くなるとみられる。
 軍関係者は「発射体の機能が正常に働くかはさらなる分析が必要」と説明した。



聯ニュース 2016年 02月 07日(日)
http://japanese.yonhapnews.co.kr/northkorea/2016/02/07/0300000000AJP20160207003600882.HTML

北朝鮮「光明星4号、軌道進入に完全成功」

【ソウル聯合ニュース】
 北朝鮮の国家宇宙開発局は7日、「地球観測衛星の光明星4号を打ち上げることに成功した」と発表した。
 軌道進入に完全成功したという。


●北朝鮮が2009年に打ち上げた「光明星2号」=(聯合ニュース)



聯合ニュース 2016年 02月 07日(日)
http://japanese.yonhapnews.co.kr/northkorea/2016/02/07/0300000000AJP20160207003700882.HTML

北朝鮮ミサイル 射程5500キロ以上のICBM級か

【ソウル聯合ニュース】
 韓国の国会国防委員会の野党幹事を務める「共に民主党」の尹厚徳(ユン・フドク)議員は7日、北朝鮮がこの日衛星打ち上げを称し事実上の長距離ミサイルを発射したことについて、
 韓国軍は衛星運搬ロケット「銀河3号」級の大陸間弾道ミサイル(ICBM)と判断している
と伝えた。
 国会で開かれた同党の緊急会議で、合同参謀本部から報告を受けたとして明らかにした。

 尹氏は3段ミサイルと推定されると説明。
 1段目は北朝鮮に近い黄海の白ニョン島付近、
 2段目は済州島の西南方、
 3段目はレーダーから消えて確認できず、米国側と確認を進めているとした。
 射程距離は5500キロから1万キロとされ、銀河3号級と推定されるという。

 また、航空機との衝突や残骸の落下による被害はなく、ミサイルは韓国の領海と領空を飛行していないと判断しているという。



フジテレビ系(FNN) 2月7日(日)13時2分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20160207-00000661-fnn-int

北朝鮮「ミサイル」発射 
米政府「宇宙空間に到達したとみられる」

 北朝鮮は、7日午前9時31分、事実上の弾道ミサイルを南の方向へ発射した。
 アメリカ政府は、ミサイルが宇宙空間に到達したとみられると明らかにした。
 アメリカ国防総省は、北朝鮮のミサイルが、宇宙空間に到達したとみられるとし、今後、ミサイルの弾頭や、打ち上げ能力などをくわしく分析する方針。
 また、ライス大統領補佐官は声明で、
 「地域を不安定にさせる挑発行為であり、国連安保理決議への明らかな違反だ」
と強く非難したうえで、日本などの同盟国を守るために、あらゆる手段をとると述べた。



ロイター 2016年 02月 7日
http://jp.reuters.com/article/nk-missile-idJPKCN0VG00J?sp=true

北朝鮮ミサイルが沖縄上空通過、
5つに分離後1つは飛行継続

[東京 7日 ロイター] -
 北朝鮮は7日午前、北朝鮮西岸から南の方向にロケットを発射した。
 日本政府によると、ロケットは5つに分離し、4つが洋上に落下、1つが南に向かって飛行を続けたという。

 北朝鮮の予告通りに沖縄県上空を通過したものの、部品などが日本に落下する恐れはないとして、自衛隊が破壊措置を実施することはなかった。

 安倍晋三首相は官邸で記者団に
 「北朝鮮に対しては、繰り返し自制を求めてきたが、今回のミサイル発射は断じて容認できない。
 核実験に続き、明白な国連決議違反であり、国際社会と連携して、毅然として対応する」
と述べた。

 日本政府は国家安全保障会議を招集。
 菅義偉官房長官は会見で、北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に抗議したことを明らかにした。
 中谷元防衛相は防衛省内で幹部会議を開き、日本領域内の落下物や被害の有無を確認するとともに、警戒監視を継続するよう指示を出した。

 日本政府によると、
 北朝鮮は午前9時31分ごろに西岸から沖縄県地方の方向にロケットを発射。
 約10分後に沖縄県上空を通過して太平洋に抜けた。
  飛行ルートは、2012年12月に打ち上げた3段ロケットのテポドン2改良型(射程距離1万キロ以上)とほぼ同じコースをたどった。

 発射されたロケットは5つに分離。
 これまでに4つの落下物が確認されている。
 1つ目は午前9時37分ごろに朝鮮半島の西150キロの黄海上、
 2つ目と3つ目は午前9時39分ごろに朝鮮半島の南西250キロの東シナ海上、
 4つ目が日本の南約2000キロの太平洋。
 4つ目のみ予告範囲外に落下したとみられるという。
 5つ目の物体は南に向けて飛行を続けた。

 米政府関係者によると、ロケットの一部は宇宙空間に到達したようだという。
 北朝鮮が狙いどおりに「人工衛星」を周回軌道上に投入できたかは不明。

 日米韓政府が事実上の弾道ミサイルとみなす北朝鮮のロケット発射は、2012年12月にテポドン2改良型を打ち上げて以来。
 国連決議違反として、国際社会が厳しい制裁に動く可能性がある。

 北朝鮮北西部の打ち上げ施設でロケット発射の兆候がみられた1月末以降、周辺諸国は警戒を強めてきた。
 北朝鮮は2月8日から25日の間に「人工衛星」を発射すると予告していたが、6日になって7日から14日に前倒した。
 日本はイージス艦を東シナ海や日本海に、地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」を沖縄県などに展開して不測の事態に備えていた。

 北朝鮮は1月6日、水爆と称して4回目の核実験を実施した。



日本テレビ系(NNN) 2月7日(日)14時25分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20160207-00000045-nnn-int

北朝鮮が特別重大報道「打ち上げ成功」



 北朝鮮は7日昼過ぎ、朝鮮中央テレビを通じて「特別重大報道」を行い、金正恩第1書記が命令を下し、人工衛星の打ち上げに成功したと発表した。
 朝鮮中央テレビ「地球観測衛星『光明星4号』を軌道に進入させることに完全に成功した」
 朝鮮中央テレビは、日本時間7日午後0時半から「特別重大報道」を行い、金第1書記が書類に署名する様子を写真で報じた。金第1書記の署名が入った書面には、6日の日付で「党中央は衛星発射を承認する」と書かれている。
 発表では、ミサイルの発射について「平和的な宇宙利用の権利を堂々と行使したものだ」と正当化した上で、「今後もさらに多くの衛星を打ち上げる」として、長距離弾道ミサイルの開発を続ける姿勢を明らかにした。

 一方、韓国軍関係者は「ミサイルは軌道に正常に進入したと推定される」との分析を明らかにした。
 ただ、北朝鮮が主張するように人工衛星としての機能を持っているかどうかについてはまだ判断できないとして、軌道に進入した物体が信号を発信しているかどうか確認を進めている。



産経新聞 2月8日(月)10時22分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160208-00000509-san-kr

北ミサイル発射 打ち上げ成功か? 
2つの物体が地球の周回軌道上に
…米国防総省がCNNに明かす



 【ワシントン=青木伸行】
  米CNN(電子版)によると、米国防当局者は8日までに、北朝鮮が発射した長距離弾道ミサイルの何らかの2つの物体が、地球の周回軌道に乗っていることを明らかにした。

 2つの物体が、北朝鮮が主張する「衛星」なのか、ミサイルの残骸などであるかは不明。
 米コロラド州の北米航空宇宙防衛司令部(NORADO)は、2つの物体の軌道傾斜角は97・5度だとしており、それぞれに「41332」と「41333」の衛星カタログ番号を付けた。



ニューズウイーク 2016年2月8日(月)19時00分
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/02/post-4489.php

北朝鮮のミサイル発射は、
アメリカのアジア防衛網構築の弾みに
金正恩の放った矢はアジアの軍事バランスにきしみを生み出した

 北朝鮮が7日、事実上の長距離弾道ミサイル打ち上げを強行したことをきっかけに、米国のアジアでのミサイル防衛構築が加速する可能性があることが、米政府高官やミサイル防衛専門家の話で分かった。
 米軍のアジアプレゼンスが拡大すれば中国との関係が一段と緊迫化しかねない。

 先月の核実験に続いてのミサイル発射を受けて、米政府は同盟国の日本と韓国に対して、両国防衛へのコミットメントをあらためて確認。

 北朝鮮のミサイル発射から数時間後、米韓は共同声明を発表し、最新鋭の地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の朝鮮半島への配備問題について、公式協議を開始する、と発表した。

 韓国はこれまで、最大の貿易相手国である中国を怒らせることを懸念、THAAD配備の可能性を公式に議論することは差し控えていた。

 米韓共同声明を受けて、南シナ海での人工島造営をめぐって米国との関係がぎくしゃくしている中国は、さっそく「深刻な懸念の意」を表明。
 THAADのレーダーが自国領内に及ぶ可能性があることに、警戒感を露わにした。
 中国外務省の華春瑩報道官は「安全保障を追求する場合には、他国の安全保障上の利益を損なうべきではない」と述べた。

■THAAD配備に追い風

 ある米政府高官は、北朝鮮のミサイル打ち上げを受けて危機感が高まった結果、これまでTHAADに慎重だった韓国政府の一部勢力も折れる可能性があり、
 韓国にとって大きな転機となる
との見方を示した。

 日本では、菅義偉官房長官が8日、記者団に対して、THAADの配備に関する具体的な計画はないと述べた。
 ただ、新たな軍備の導入は日本の能力増強につながると防衛省は認識している、とも付け加えた。

 米ロビー団体「ミサイル防衛擁護同盟(MDAA)」の創設者であるリキ・エリソン氏は、北朝鮮のミサイル打ち上げを受けて、日本のTHAAD配備気運が高まる可能性がある、との見方を示している。

■威力には疑問符、象徴的意味合いか

 ただ専門家からは、北朝鮮が発射したような長距離ミサイルに対して、THAADがどの程度有用なのか疑問視する声もある。
 短・中距離弾道ミサイルに対する威力はすでに確認されているが、米国防総省も、長距離ミサイルに対する効果はまだ実験していないと認めている。

 「憂慮する科学者同盟」のミサイル専門家、デイビッド・ライト氏は、THAADは7日発射されたようなロケットは迎撃できないが、配備すれば韓国国民を安心させる効果がある、と指摘。
 「ミサイル防衛とは、同盟国とその国民に安心感を与える意味合いが大きい」
と語った。


 (Andrea Shalal記者、David Brunnstrom記者 翻訳:吉川彩 編集:吉瀬邦彦)

毎日新聞 2月9日(火)11時33分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160209-00000031-mai-int

<北朝鮮「ミサイル」>分離後の1段目は回収恐れて自爆

 【ソウル米村耕一】韓国国防省は9日、北朝鮮が強行した事実上の長距離弾道ミサイル発射に関する分析結果を発表した。ロケットの長さや直径などの形状は、2012年12月に発射したものと一致したという。
 1段目が分離後に約270個に分かれて落下したのは、韓国軍などによって回収されるのを防ぐため、自爆装置が作動したとみている。聯合ニュースが伝えた。

 分析によると、1段目、2段目、搭載された衛星と全てが正常に分離され、
 衛星は発射から9分29秒後に地球周回軌道に乗った
 打ち上げから衛星を軌道に乗せるまでの軌跡も12年の発射とほぼ一致しているという。
 射程は1万2000キロほどの能力を持つと推定している





_

2016年2月6日土曜日

日中開戦の可能性(3):ステルス戦闘機「F-35」は「劣化版ラプターF-22」なのか

_

乗りものニュース 2015年2月6日(土)10時35分配信

ステルス機F-35、今夏にも空自受領へ 
劣化版F-22は誤った認識

◆愛知県内の工場で組み立てた機体も来年度に

 2016年1月28日(木)、ロッキード・マーティン・ジャパン社のチャールズ・ジョーンズ社長は、日本向けとなるF-35A「ライトニングII」戦闘機AX-1(初号機)が、アメリカ会計年度第4四半期中(2016年7~9月)にも完成し、航空自衛隊への引き渡しを行える予定であることを明らかにしました。
 初号機の引き渡しは、ロッキード・マーティン社の米・フォートワース工場にて行われるとのことです。

 日本は現在、この最新鋭の
 第5世代ステルス戦闘機F-35Aを42機調達する計画であり、
今年度中(2016年3月)に4機(AX-1~4)の引き渡しを受ける予定です。
 日本への輸送時期やその方法については明らかにされていませんが、まずアメリカ本土において最低限の日本人操縦者の育成を行ったのちに、恐らく来年以降に自力でのフェリーフライト(回送飛行)が行われるとみられます。

 また、三菱重工の小牧南工場(愛知県)でF-35の最終組立・検査工場(FACO)が稼働したことに伴い、部品を船便によって逐次輸送していることも明らかにしました。
 小牧において組み立てが開始されたAX-5(5号機)以降の機体は、来年度に引き渡される予定です。

◆高性能なF-22を売ってもらえず、仕方なく導入したF-35?

 F-35Aは航空自衛隊が配備するF-4EJ改「ファントムII」の後継となる次期主力戦闘機であり、レーダーなどのセンサーに捉えられにくい超低視認性を特徴とする、いわゆる「ステルス機」です。

 航空自衛隊は当初、F-4EJ改の後継機選定において、
 「世界最強」ともいわれるロッキード・マーティンF-22「ラプター」を希望
していました。
 しかし、アメリカ政府が難色を示し導入が不可能になり、その後にF-35Aの導入が決定された経緯から、一部に「F-35はF-22の性能低下型」という認識があるようですが、それは事実と大きく異なります。

 F-35Aの情報収集および処理能力については、既存の戦闘機をはるかに凌駕する高性能レーダーや赤外線など各種センサー、ソフトウェアを有しています。
 また複数のデジタルデータリンクを活用した情報共有能力によって、自身の得た情報を友軍に分配。
 F-15J「イーグル」やF-2Aといった旧型の戦闘機にも、F-35Aに準ずる状況認識力を与えることが可能です。
 さらに弾道ミサイルの監視能力まで備えています。

◆災害発生時にも活躍できる戦闘機

 空中戦のみならず地上の様子を映像で取得し、準リアルタイムで地上に送信することもできます。
 現在、航空自衛隊はRF-4E「ファントムII」偵察機を保有していますが、RF-4Eの主要なカメラはいまどき珍しい「フィルム」を使っており、地上に持ち帰って現像・印刷したのちに、必要な場所へ写真を運ばねばなりません。

 震度5弱以上の地震が発生した場合、自衛隊は自主的に情報収集を行うことができます。
 対領空侵犯措置のためにアラート待機中の戦闘機もスクランブルさせますが、F-15JやF-2Aはパイロットによる目視確認と音声による被害状況の伝達のみ可能で、特に夜間は何も見えずに帰還し、後続のヘリの到着を待たねばなりません。
 しかしF-35Aならば、初動の段階で素早く映像を取得できます。

 F-22は空中戦に特化しており高い機動性を持ちますが、F-35Aのような多様な情報収集は不可能であり、またレーダーを使って得た情報はF-22の編隊間でしか共有できず、コミュニケーション能力に欠けています。
 F-35Aによって自衛隊の情報収集能力が大きく改善し、ほかの戦闘機の能力も引き上げられることを考えれば、F-35Aの導入は正しい選択であったといえるかもしれません。

 F-35Aは、今年度中にアメリカ空軍でIOC(初期作戦能力)が宣言されるーー簡単にいえば実用化される見込みであり、すでに垂直離着陸戦闘機型のF-35Bは実働体制に入っています。
 そして
 航空自衛隊はF-35Aを今年度中に引き渡されますが、
実用化までにもう3~4年は必要となる見込み
です。

Writer: 関 賢太郎
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

乗りものニュース 2015.12.27 関 賢太郎

光速度兵器、ステルス破り 
見えてきた第6世代戦闘機

 戦闘機の「第6世代」への進化が、少しずつ具体的になってきました。
 この「第6世代」では、何が実現されるのでしょうか。
 「SFの世界」が近づいているのは、確かなのかもしれません。

◆“商戦略”だった戦闘機の「世代」

 今年2015年、ロッキード・マーティン社(米)の最新鋭戦闘機で自衛隊も導入予定のF-35「ライトニングII」が、初期作戦能力を獲得。
 米海兵隊において実用化されました。
 F-35は「第5世代戦闘機」と呼ばれる区分の機種であり、
 同じく第5世代戦闘機としてはロッキード・マーティンF-22「ラプター」があります。

 現在、中国やロシアでは第5世代戦闘機と推測される成都J-20やスホーイT-50の開発が進んでおり、これらの戦闘機も数年のうちに実用化される見込みとなっています。もうまもなく、第5世代戦闘機はありふれた存在となるでしょう。

 こうしたなかにあって、いよいよ次世代の「第6世代戦闘機」のコンセプトも相次ぎ公表されるようになってきました。
 去る12月12日(土)にもノースロップ・グラマン社(米)は、2035年頃の初期作戦能力獲得を見込んだ、F-22やF-15、F/A-18E/Fの後継機となる第6世代戦闘機の構想図を発表しました。

 そもそも戦闘機の「世代」とは、なんなのでしょうか。
 実は20世紀以前の航空雑誌などにおいては、「第〇世代」という用語はまず見かけることはありませんでした。
 これはロッキード・マーティン社が自社の新製品であるF-22やF-35を「第5世代」と呼称し、他社の競合機を「第4世代」とすることで差別化を図る“商戦略”として登場した言葉なのです。

 ですから競合他社、例えばボーイング社はF/A-18E/F「スーパーホーネット」を「第4世代」と呼ばれることに不快感を露わにしています。
 とはいえ、直感的に理解しやすい区分けだったこともあり、戦闘機の「世代」なる用語はロッキード・マーティン社の思惑通り、世界的に定着してしまいました。

◆「第6世代」は光の速さで

 現在、「第4世代戦闘機」の主流は自衛隊機ならばF-15、F-2といった機種が該当し、
 「ほぼ進化の限界に達した機動性」
 「高性能なレーダーによる視程外距離交戦能力」
 「高い命中精度を誇るミサイル」
の搭載などを特徴とします。

 そして「第5世代戦闘機」は
 「ネットワーク中心戦闘能力」
 「さらに高性能なAESAレーダー」
 「センサー融合」
 「ステルス性」
などが特徴です。
 また第4世代戦闘機のうち、第5世代戦闘機の能力を一部取り込んだ機種を「第4.5世代機」などと呼ぶこともあります。
 例えば先述のF-2は第4世代戦闘機ですが、AESAレーダーを搭載しているほか、ネットワーク中心戦闘能力の付加も行われる予定です。

 それではいったい、「第6世代戦闘機」ではどのような能力が実現するのでしょうか。
 ノースロップ・グラマン社のコンセプト図や、過去にボーイング社が公表した「F/A-XX」、ロッキード・マーティン社の「ミスフェブラリー」、防衛省技術研究本部の「i3ファイター」などからその未来を探ってみます。

  ノースロップ・グラマン社によるコンセプト図を見て目につくのは、なんといっても「レーザー兵器」です。

 強力な赤外線によって対象を焼き切る「赤外線レーザー」は、エネルギー効率の問題を抱えており、放熱システムや熱効率の向上によって解決を見込みます。
 しかし電波で対象の電子回路を破壊する「高出力マイクロ波」は、すでに実用されつつあります。
 これらの“光速度兵器”は「指向性エネルギー兵器」とも呼称され、接近するミサイルを迎撃する「バリアー」を実現します。

◆戦闘も「クラウド」へ

 第6世代戦闘機の機体には、電波を吸収しレーダーに対して不可視となる「メタマテリアル」が多く用いられ、ステルス性はさらに高まるでしょう。

 ただし、「ステルス破り」もまた同時に進化します。
 そのキモとなるのが、さらに高度化されたネットワークです。

 「ステルス」とは、あくまでも発見される確率を下げる技術。
 複数の戦闘機や早期警戒機のレーダーなどをネットワーク上においてひとつに統合することで、誰かのレーダーで見えている敵機を自分で見えているのと同様に扱えるようにしてしまえば、敵ステルス機の発見確率を大幅に高めることが可能です。
 これは「クラウドシューティング」「統合火器管制」などと呼ばれています。

●防衛省が発表した第6世代戦闘機「i3ファイター」のイメージ。
 「指向性エネルギー兵器」「統合火器管制」「ロボット僚機」などを実現する(画像出典:防衛省)。

 また、人工知能で自律交戦する無人戦闘機(UCAV)の実用化も行われ、1機の有人戦闘機に5機程度のUCAVがロボット僚機として作戦を支援するようになるでしょう。

 第6世代戦闘機には数兆円の予算を必要とするため国際共同開発が主流とり、単独開発は恐らく中国以外は不可能です。
 また開発には10年以上の歳月が必要ですから、数年のうちには開発がスタートすると推測されます。
 レーザー兵器や無人戦闘機が活躍する「SFの世界」はまもなく、現実のものとなるかもしれません。






_