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ロイター 2月7日(日)14時4分配信
http://jp.reuters.com/article/china-economy-reserves-idJPKCN0VG07W
1月末の中国外貨準備は3.23兆ドル、
12年5月以来の低水準
[北京 7日 ロイター] -
中国人民銀行(中央銀行)が7日発表した1月末時点の外貨準備高は3兆2300億ドルと、前月から995億ドル減少し、2012年5月以来の低水準となった。
減少幅は、過去最大だった昨年12月の1079億ドルに次ぐ規模。
前月比でマイナスとなったのは3カ月連続で、人民元の下落と資金流出を食い止めるために中銀がドル売りを出していたとみられる。
ただ外貨準備高は、ロイターのまとめた市場予想の3兆2000億ドルは上回った。
外準は最近の6カ月で4200億ドル程度減少したが、依然として世界最大規模にある。
昨年1年間では5130億ドル減少し、年間の減少幅としては過去最大となった。
外為当局は4日、昨年の準備高減少のうち
貿易や投資による分は3423億ドル、
為替や資産価値の変化に伴う分は1703億ドル
に上ったとしていた。
政府高官によると、国内企業による外貨建て債務の返済が急増したことや、元安に伴う国内での元売り/ドル買いが拡大したことも拍車をかけたという。
中国からの資金流出は、昨年8月の人民元切り下げ以来増加。
同国経済の鈍化懸念や米利上げ観測が背景にある。
独コメルツ銀行(シンガポール)の新興国市場シニアエコノミストは、今回の統計についてリポートで
「中国の経済成長は鈍化しており、金融緩和の必要性は非常に高い。
だが資金流出は必然的に金融引き締め状態となる」
と指摘。
「その一方、元の急落を防ぐために人民銀は外貨準備の売却を迫られるとみられ、流動性のタイト化につながるだろう」
と述べた。
金準備は635億7000万ドルとなり、
昨年末時点の601億9000万ドルから増加した。
国際通貨基金(IMF)リサーブポジションは37億6000万ドルで、昨年末の45億5000万ドルから減少した。
IMF特別引き出し権(SDR)は102億7000万ドル。
昨年末は102億8000万ドルだった。
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朝日新聞デジタル 2月7日(日)21時9分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160207-00000034-asahi-int
中国の外貨準備高、
大幅減続く ピーク時より2割減
中国の中央銀行、中国人民銀行は7日、1月末時点の外貨準備高が前月末より995億ドル(約11・6兆円)減って3兆2309億ドル(約378兆円)になったと発表した。
市場で続く元売り圧力に当局が元買い介入で対抗したことで、大幅な減少が続いている。
1月の減少幅は、過去最大だった昨年12月の1079億ドルよりはわずかに縮まったが、依然として異例の高水準だ。
年明けの外国為替市場では元売りが加速し、香港などの本国外(オフショア)市場では一時、1ドル=6・7元台半ばまで元安ドル高が進んだ。
中国当局は投機筋が元売りを仕掛けているとみて、オフショア市場でも大規模な元買いドル売り介入を繰り返し、元安を食い止めている。
この資金に使われたことで、外貨準備高が減っている。
中国の外貨準備高は世界最大だが、
ピークだった2014年6月末から比べると1年7カ月で約2割も減った。
元安を見込んで中国の企業や個人が資産を外貨に置き換える動きが止まらず、政府は為替介入を迫られている。
ただ、介入で外貨準備高が大幅に減っていること自体が、市場の元売りをさらに誘っている面もある。
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サーチナニュース 2016-02-08 18:48
http://biz.searchina.net/id/1601948
外貨準備高、市場操作など影響で12兆円減
中国1月の外貨準備高は2016年12月と比較して、およそ994億米ドル(約11兆6200億円)減の約3兆2309億米ドルとなった。
過去最大の下落幅である2015年12月の前月比約1079億元減に次ぐ減少。
2015年末の外貨準備高は前年同期比約5127億米ドル減(13%減)の約3兆3000万米ドル。下落した約5127億米ドルのうち、国際貿易収支によるものが約3423億米ドル、為替レート、資産価格の変動によるものが約1703億米ドル。
一部の市場関係者が資本流出に歯止めがかからないとして悲観的にとらえている一方で、中国政府・国家外貨管理局総合司(政策法規司)司長は、外貨準備の増減は中央銀行が行った市場操作の影響など、マクロ政策の結果で正常な現象であると説明。
そのほか投資資産にも影響を与えたとした。
外貨準備高が減少する一方で、金の保有量が増加したという。
2015年1月との比較では、外貨保有高は6000億米ドル減少し、金が約70%増の5718万オンスとなった。
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ロイター 2016年 02月 8日 13:37 JST
http://jp.reuters.com/article/china-economy-breakingviews-idJPKCN0VH02Z?sp=true
コラム:中国資金流出めぐる一問一答、当局は阻止できるか
[北京 5日 ロイター BREAKINGVIEWS] -
中国からかつてないほど急速なペースで資金が流出している。
昨年の外貨準備高は5130億ドル減って3兆3300億ドルと、
20年にわたる外貨準備の増大の流れが逆転した。
これが人民元の下げ圧力となり、金融市場を動揺させ、さらなる資金流出を促している。
BREAKINGVIEWSは資金流出の背後にあるさまざまな要素に目を向け、次に何か起こりそうかについてQ&A方式で以下に記した。
Q:─西側諸国はかつて中国の外貨準備増大に不満を表明していたのに、なぜ縮小に懸念を抱くのか。
A::これまでずっと、中国の外貨準備の蓄積は人民元が人為的に低く抑えられていた結果だった。
2012年まで国際通貨基金(IMF)は人民元が過小評価されていると主張していた。
しかし実際には14年半ばまでの10年間に、人民元はドルに対して25%上昇している。
通貨高と高成長、相対的に高い金利水準が相まって、海外投資家の資金を引き寄せていたのだ。
同じ理由から中国企業は海外での借り入れを積極化した。
ところが今、このプロセスが逆流している。
中国企業や投資家が人民元をドルに転換するにつれて、国内の流動性が低下した。
資金流出によって当局は、減速を続ける経済をてこ入れするために利下げをしたり、銀行預金準備率を引き下げることが難しくなっている面もある。
一方で外国投資家は、急激な通貨切り下げが各国間の通貨安競争を招くのではないかと心配している。
Q:─外貨準備の減少を見れば、中国からどのぐらいの規模で資金が出て行ったかが分かるか。
A::正確には分からない。
外貨準備減少の一部はユーロ安など保有通貨の減価によるものだ。
株安や債券価格下落も外貨準備を目減りさせる。
中国国家外為管理局(SAFE)によると、この2つの要因で昨年の外貨準備は1700億ドル減少した。
中国は依然として大幅な貿易黒字を計上しており、これは逆に外貨準備を押し上げた。
資金流出については、4つの要因が働いている。
それは
(1):中国企業による海外での買収
(2):外貨建て借り入れの返済
(3):外国投資家の資金引き揚げ
(4):中国人による旅行や海外資産投資のための人民元売り
──だ。
いずれも先進国なら冷静な動きができるが、
中国の場合はパニック的な資金流出へとつながる恐れがある。
Q:─中国政府が事態は全面的にコントロールされていると表明しているのに、何が資金流出に拍車を掛けているのか。
A::人民銀行(中央銀行)が昨年8月、人民元の対ドル相場の2%下落を容認した切り下げを実施したことが、不安を巻き起こした。
これは人民元をより市場メカニズムに基づいた値動きにしていく政策の一環とみなされていたが、実は8月以降、人民銀行が元下支えのために4050億ドルも費やしてたというのが国際金融協会(IIF)の見積もりだ。
外貨準備は12月だけで1100億ドル減少している。
今年1月はもっと急激に減少したかもしれない。
国営メディアはジョージ・ソロス氏のような国際的な投資家に対して、緊張を高めるだけの役割しか持っていないと批判している。
本当のところ、
中国の外貨準備をこれまで減らしてきた最大の要素は、
企業によるドル建て債の返済だ。
国際決済銀行(BIS)によると、昨年9月末時点で期間1年以内の対外借り入れ額は6260億ドルで、14年半ばの8580億ドルから減った。
対外融資は7─9月期だけで1190億ドル減少した。
Q:─それでは中国の外貨建て債務返済が一段落して、外貨準備が安定化するのはいつになるのか。
A::まだドル建て債務の残高はかなり大きい。
短期のローンは最大で5000億ドルに上るかもしれない。
そして海外からの投資という別の要素もある。
IIFの推定では、昨年の中国に対する外国直接投資(FDI)は2290億ドルで、依然として流出額の1170億ドルを上回っている。
もっともFDIが鈍化する一方、中国企業の海外投資は活発化しつつある。
中国化工集団(ケムチャイナ)がスイスのシンジェンタを430億ドルで買収する提案をしたのはその一例だ。
HSBCによると、中国では企業と家計の資産に占める海外比率は2%弱と、韓国の14%前後などと比べると非常に低く、資産を分散化させる動きが強まっている。
共産党が汚職取り締まりを続けているため、
富裕層はより安全な海外に資金を移そうという心理が一層高まっている。
Q:─外貨準備はどのぐらいで枯渇するのか。
A::中国の外貨準備高はなお3兆ドル余りと世界最大で、人民銀行が通貨防衛のために毎月1000億ドルを使い続けても、すべてなくなるには3年近くかかる。
だが外貨準備における流動性の高い資産の割合ははっきりしていない。
いずれにしても当局は取引フローを規制し、通貨の急変動を避けるためのバッファーを必要としている。
つまり外貨準備が消え失せる時期はずっと早くなるだろう。
Q:─海外への資金流出防止に向け当局は何ができるか。
A::相当多くの手がある。
人民銀行は国境を越える資本取引の規制を幾分緩めたとはいえ、まだ多くの規制が残っている。
かつては規制の適用も手ぬるかったが、今は変わりつつある。
規制当局は沿海地方の銀行に対して、外為取引のチェックを厳しく行うよう命じている。
一部外銀はオンショア外為取引を禁止され、香港では投機筋の人民元売りを抑えるために人民元の借り入れ金利が押し上げられた。
為替管理自体を厳格化するのは難しいだろう。
例えば当局は、国民が海外に持ち出す外貨上限額を現行の毎年5万ドルから下げようと思えば下げられるが、国民の不安感を助長するだけになる。
外国投資家の資金引き揚げを制限すれば、新規投資を遠ざけてしまう。
Q:─人民元のコントロールは有効か。
A::最終的には機能しない。
当局は海外への資金移転手続きをより面倒にすることで資金流出のスピードを遅くすることは可能でも、あらゆる経路で資金流出を止めようとすれば、貿易に打撃を与えたり、自ら経済の先行きに自信がないと認めることになる。
貿易業者はこれまで輸出入のインボイスを水増しすることで、資本規制をすり抜けてきた。
個人もマカオにギャンブルに行くか、国内の口座とリンクしているクレジットカードで海外の製品を買ったり、もっと単純に人民元紙幣を詰め込んだスーツケースを持ち出せば、海外に資金を移動できる。
Q:─中国当局はほかに何ができるか。
A::1回で大幅な切り下げを実施すれば、人民元が過大評価されているとの懸念には対処できる。
しかしこれは多額の対外債務を抱える中国企業を苦しめ、世界の市場を大混乱に陥らせる。
ともかく政策担当者にとって自分たちの信認と人民元の安定が一蓮托生である以上、切り下げは人民元のコントロールをより困難にしてしまいかねない。
代わりの手段は、人民元の緩やかな下落を誘導し、投資家がさらなる下落を予想するのに合わせる形で、外貨準備を使うことだ。
資金流出が主に
1).中国企業の外貨建て債務返済と
2).国内から海外への投資増加に起因する限りは、
人民元の下げ圧力は許容できる。
ただし、
★.国民が自らの手元資金を大量に海外に移し始めると、すべての想定は崩れ去ってしまう
だろう。
●背景となるニュース
*SAFEは4日、昨年の外貨準備高の減少額5130億ドルの約3分の1は、通貨と資産の価格変動によって説明できるとの見方を示した。
それによると3423億ドルの減少は貿易・投資面の取引が原因だったが、1703億ドルの減少は通貨・資産の価格変動がもたらした。
保有外貨のバスケットの価値は、ドル高に伴って低下した。
*SAFEが発表した昨年の経常収支(速報値)は2930億ドルの黒字、資本・金融収支は1610億ドルの赤字だった。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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サーチナニュース 2016-02-10 06:32
http://biz.searchina.net/id/1602015?page=1
まるでバブル当時の日本だ
・・・中国企業が積極的にM&Aを展開
1980年代、日本経済がバブルに沸いていたころ、日本企業は米国をはじめとする国々で企業買収を積極的に行った。
当時、割高な金額で企業を買収し、バブル崩壊後に割安な金額で買収先を手放した日本企業は少なくない。
中国企業がシカゴ証券取引所を買収するとして大きな注目を集めたとおり、現在は中国企業がかつての日本企業のように企業の買収を積極的に行っている。
中国メディアの華爾街見聞はこのほど、現在の中国企業のM&Aは80年代の日本を彷彿とさせると主張する一方、
中国企業の買収には明確な目的がある
と論じた。
調査会社ディールロジックによれば、
2016年が始まってわずか1カ月あまりの期間に中国企業は国外で82件のM&Aを行った。
記事は、M&A総額は730億ドル(約8兆5119億円)に達した。
15年の同期間における件数は55件、金額は62億ドル(約7229億円)だったため、
金額でみれば10倍以上も増えている
ことになる。
世界4大会計事務所の1つに数えられるアーンスト・アンド・ヤングによれば、
15年に中資集団有限公司はドイツの36の企業を買収した。
09年の買収はわずか2社だったため、M&A件数の増加ペースは異常とも言えるほどだ。
中国企業のM&Aが異常に増えている理由として、一部では
★.「中国企業が多額の資金を持て余していること」
のほかに、
★.「中国企業が構造改革の必要に迫られている」
との分析もある。
記事は、こうした中国企業による異常に活発な海外M&Aは80年代後期の日本を彷彿させると指摘。
しかし、当時の日本企業と異なる点は、80年代後期の日本がバブルの真っ只中でM&Aを活発に行ったのに対し、
★.現在の中国は経済成長の速度が落ちている状態でM&Aを行っている
点にあると主張。
★.中国企業は海外M&Aを「自らを成長させるために必要不可欠な手段」と見ている
と論じた。
また、80年代後期の日本企業によるM&Aは海外から企業売却の話があっただけでなく、金融機関も積極的に資金を貸し出すという風潮のもとで行われたと主張し、「戦略的M&A」とはまったく異なるものであり、後々に元手を割った価格で手放す無意味なM&Aも数多く存在したと主張した。
一方で、
★.現在の中国企業は構造改革という明確な目的のもとにM&Aを実施している
とし、現在の中国企業のM&Aはバブル当時の日本とはまったく意味合いが違うと主張した。
』
『
産経新聞 2月10日(水)11時5分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160209-00000504-san-cn
中国の資本流出が止まらない
…1年間で1兆ドル!ソロス発言でさらに加速か?
中国から前代未聞のペースで資本が流出している。
ブルームバーグの集計によると、
2015年の流出額は「過去最悪」の1兆ドル(約121兆円)と14年の「7倍」余りに達した。
人民元に対する弱気心理の広がりから、中国国民の間で人民元売りドル買いの動きが強まっていることが大きい。
さらに外資企業が中国投資を控える動きが出ていることも影響しているようだ。
中国当局は流出に歯止めをかけようと指導を強化しているが、目立った成果も見えておらず、今年の流出額はさらに増えるとの観測も広がっている。
ブルームバーグによると、
14年の流出額は1343億ドルだったが、15年は1兆ドルに達し、06年からのデータ推計以降、過去最悪になったという。
中国人民銀行(中央銀行)は15年8月に突然、人民元の切り下げに踏み切り、同国に対する不信感が強まった。
このため、市民が人民元を売ってドルに替えたり、輸出企業がドルを人民元に替えずに保有を続けるといった動きが加速している。
先月開かれた世界経済フォーラム年次総会では(ダボス会議)では、
富豪で世界的投資家のジョージ・ソロス氏が
「中国経済のハードランディングは不可避で、世界的なデフレに陥る危険性がある」
と述べ、中国などアジア通貨売りを宣言した。
このソロス氏の発言に猛然と食ってかかったのは、中国共産党機関紙の人民日報や、国営新華社通信だ。
「中国経済は絶対にハードランディングしない。
人民元売りは失敗する」
と反論した。
人民日報などが強行に反論するのは、ソロス氏が過去に市場を大きく動かした“実績”があるからだ。
1992年に英国の通貨ポンドを大量に売り浴びせて巨額の利益を上げ、「イングランド銀行(中央銀行)を打ち負かした男」と呼ばれた。
1997年にタイのバーツなど東南アジアの通貨を売って、アジア通貨危機の引き金を引いたことでも知られる。
今回懸念されるのは、巨大になった中国経済と、その対外債務の大きさから、人民元売りによって簡単に世界金融恐慌が巻き起こる危険があることだ。
それを心得ているであろう中国側が反論してくるのは至極当然ともいえる。
ただ、中国当局が、資本流出と表裏一体である人民元不安を止めることは容易ではない。
外資が中国投資から手を引く動きも鮮明になりつつある。
中国商務省の統計によると、15年通年の世界全体から中国への直接投資の実行額は、前年比5.6%増の1262億7000万ドルとプラスを維持したが、日本からの対中投資額は25.2%減の32億1000万ドルと3年連続で減少した。
ただ、12月の世界全体からの直接投資は8.2%減122億3000万ドル(約1兆4000億円)とマイナスとなり、このうち日本からは34.5%減の1億6000万ドルと激減し、中国を見限る海外企業が相次いでいる格好だ。
かつては「世界の工場」と呼ばれ、多くの外資企業が生産拠点を中国に移したが、人件費の高騰や景気失速を受け、投資の失速をよんでいる。
昨年末の投資減について、中国商務省の沈丹陽報道官は1月20日の記者会見で「人民元市場の変動の影響もあった」と述べた。
人民元の先安観が強いことが、海外企業の中国投資を抑制する要因になっているのだ。
ブルームバーグによると、中国当局は昨年から資金流出に歯止めをかけようと、行政・窓口指導の強化に取り組んでいる。
その一環として、海外での銀行口座からの引出額に上限を設定。さらに、親類や友人の割り当て分を利用した複数取引で資金の海外移転を警戒するよう、金融機関に呼びかけている。
ただ、政府のこうした努力も市民の自国経済に対する悲観的な見方を変えるに至っていないようだ。
公的な規制では、中国国民1人の現金持ち出しは年5万ドルまでだが、地下銀行など、上限規制をすり抜ける手口はいくつもあり、事実上“ザル”になっているという。
ブルームバーグによると、JPモルガン・チェースのアナリストらはリポートで、中国の対外直接投資拡大や中国株・債権投資から撤退する外国人投資家などがいることを例に挙げ、「中国からの資金流出は実質的に無限」との見方を示している。
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2016.2.18(木) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46101
(2016年2月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
人民元安に賭ける投資家、重要なのはタイミング
中国に極めて悲観的なヘッジファンド
映画「マネー・ショート:華麗なる大逆転」は、住宅バブルの資金供給に使われた債務証券の値下がりに賭けるヘッジファンド・マネジャーを中心に展開する物語だ。
その主人公が抱えるジレンマが、香港の同業者の心の琴線に触れている。
2008年の世界金融危機に至った実際の出来事をベースにしたこの映画に、中国の人民元が今後数カ月でどこまで下落するかを予測しているヘッジファンド・マネジャーたちが共感を覚えているのだ。
2月初めにゴールドマン・サックスが開いたマクロ・コンファレンスの会場の片隅で、顧客であるヘッジファンドの社員とゴールドマンのトレーダーたちが人民元相場について意見交換をしていた。
現在は1ドル=約6.57人民元だが、これが同8人民元に下がるまでどれぐらい時間がかかりそうか、というテーマだ。
また、多くのプライベート・エクイティ会社幹部が人民元のヘッジを始めている。
以前は、投資先の中国企業の人民元建て売上高をわざわざヘッジしたりはしなかったが、今日では高いコストを払ってでもやろうとしているのだ。
オルタナティブ投資の運用責任者はほぼ全員、中国の経済と株式市場の今後について容赦ないほどに弱気である。
人民元については、それに輪をかけて悲観的だ。
しかし彼らは、最高に優れたファンダメンタル分析を手にした投資家であっても、売買のタイミングを間違えれば破産しかねないということも承知している。
■中国人民銀行の意図は何か?
ゴールドマンのコンファレンスにおける会話の大半は、中国人民銀行の意図についてのものだった。
投資家の間では、輸出業者は比較的早い時期にオフショアのドル建ての売り上げを国内に持ち込まざるを得なくなるとの予想が非常に多い。
中国の貿易黒字は膨らみ続けているが、その一方で外貨準備高は減ってきており、
輸出業者は明らかにドルを外国で蓄えているからだ。
中国の銀行は法人顧客に対し、顧客が今年受け取るドルは前年よりも減る見通しだと伝えている。
金利がいよいよ高くなるドル建ての借り入れを返済するためのドルについても同様だという。
中国の外貨準備高は1月だけで995億ドル減少した。
2014年6月のピークから累計で7700億ドル減った計算だ。
昨年12月の実績と合わせれば、2カ月間で2074億ドルが流出したことになる。
「現在の外貨準備高は3兆2300億ドルだから、まだかなりの軍資金が残っているとはいえ、ここ数カ月間の外貨準備高の急激な減少ペースは、たとえ短期間でもとにかく持続不可能だ」。
IHSグローバル・インサイトのアジア太平洋地域担当チーフエコノミスト、ラジブ・ビスワス氏はそう語る。
資本流出を区分けするのは難しい。
一部は、まだ続いているキャリートレードの巻き戻しだし、一部は中国企業の対外債務の返済に回っている。
思慮深い多角化を、資本逃避と区別するのも難しい。
それから、新たに手に入れた「おもちゃ」を管理する能力の有無にかかわらず、中国の民間企業、国有企業が海外でますます大規模な買収を行っている論理的な根拠を、一体どう理解すればいいのだろうか。
資本投資を食い止めるために人民銀行にできることは、もっとたくさんある。1つは、大半の元売りが集中し、金利が上昇した結果、オンショア市場よりはるかに高くなっているオフショア市場を廃止することだ。国がひとたび通貨の自由化に動いたら、通貨統制を再び敷くのは難しいが、不可能ではない。
■日本にも大きな影響
中国などへの投資は、いよいよ最終的には中央銀行を先読みすることになりつつある。
それも通貨のポジションに関してだけではない。日本株を例にとってみよう。
ドル建ての投資家にとっては、日本株は素晴らしい成績を上げたかもしれないが、円をヘッジしていなければ、昨年のリターンはマイナスだった。
また、人民元の描く軌道は、中国の国境を大きく越えたところにまで影響を及ぼす。
人民元の弱さは、日銀がマイナス金利導入を決断した1つの要因だったと言える。
その過程で円が一時的に下落した。
この決断は、日本国内の輸出業者を支えるために通貨安を誘導する日本の政策を元安が脅かしていることから、日銀総裁が中国に資本規制を導入するよう提言した後に続いたものだ。
昔は、中央銀行は最後まで自国通貨の下落を望まない存在だった。
それが今では、通貨安の最大の応援団のように見える。また、貯蓄から生じる所得の減少に沿って生活水準が低下した人々にかかるコストなど気にしてもいない。
申年の今年、こと中央銀行に関しては、「言わざる」を貫くのが次第に難しくなっている。
By Henny Sender
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サーチナニュース 2016-02-10 06:32
http://biz.searchina.net/id/1602015?page=1
まるでバブル当時の日本だ
・・・中国企業が積極的にM&Aを展開
1980年代、日本経済がバブルに沸いていたころ、日本企業は米国をはじめとする国々で企業買収を積極的に行った。
当時、割高な金額で企業を買収し、バブル崩壊後に割安な金額で買収先を手放した日本企業は少なくない。
中国企業がシカゴ証券取引所を買収するとして大きな注目を集めたとおり、現在は中国企業がかつての日本企業のように企業の買収を積極的に行っている。
中国メディアの華爾街見聞はこのほど、現在の中国企業のM&Aは80年代の日本を彷彿とさせると主張する一方、
中国企業の買収には明確な目的がある
と論じた。
調査会社ディールロジックによれば、
2016年が始まってわずか1カ月あまりの期間に中国企業は国外で82件のM&Aを行った。
記事は、M&A総額は730億ドル(約8兆5119億円)に達した。
15年の同期間における件数は55件、金額は62億ドル(約7229億円)だったため、
金額でみれば10倍以上も増えている
ことになる。
世界4大会計事務所の1つに数えられるアーンスト・アンド・ヤングによれば、
15年に中資集団有限公司はドイツの36の企業を買収した。
09年の買収はわずか2社だったため、M&A件数の増加ペースは異常とも言えるほどだ。
中国企業のM&Aが異常に増えている理由として、一部では
★.「中国企業が多額の資金を持て余していること」
のほかに、
★.「中国企業が構造改革の必要に迫られている」
との分析もある。
記事は、こうした中国企業による異常に活発な海外M&Aは80年代後期の日本を彷彿させると指摘。
しかし、当時の日本企業と異なる点は、80年代後期の日本がバブルの真っ只中でM&Aを活発に行ったのに対し、
★.現在の中国は経済成長の速度が落ちている状態でM&Aを行っている
点にあると主張。
★.中国企業は海外M&Aを「自らを成長させるために必要不可欠な手段」と見ている
と論じた。
また、80年代後期の日本企業によるM&Aは海外から企業売却の話があっただけでなく、金融機関も積極的に資金を貸し出すという風潮のもとで行われたと主張し、「戦略的M&A」とはまったく異なるものであり、後々に元手を割った価格で手放す無意味なM&Aも数多く存在したと主張した。
一方で、
★.現在の中国企業は構造改革という明確な目的のもとにM&Aを実施している
とし、現在の中国企業のM&Aはバブル当時の日本とはまったく意味合いが違うと主張した。
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産経新聞 2月10日(水)11時5分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160209-00000504-san-cn
中国の資本流出が止まらない
…1年間で1兆ドル!ソロス発言でさらに加速か?
中国から前代未聞のペースで資本が流出している。
ブルームバーグの集計によると、
2015年の流出額は「過去最悪」の1兆ドル(約121兆円)と14年の「7倍」余りに達した。
人民元に対する弱気心理の広がりから、中国国民の間で人民元売りドル買いの動きが強まっていることが大きい。
さらに外資企業が中国投資を控える動きが出ていることも影響しているようだ。
中国当局は流出に歯止めをかけようと指導を強化しているが、目立った成果も見えておらず、今年の流出額はさらに増えるとの観測も広がっている。
ブルームバーグによると、
14年の流出額は1343億ドルだったが、15年は1兆ドルに達し、06年からのデータ推計以降、過去最悪になったという。
中国人民銀行(中央銀行)は15年8月に突然、人民元の切り下げに踏み切り、同国に対する不信感が強まった。
このため、市民が人民元を売ってドルに替えたり、輸出企業がドルを人民元に替えずに保有を続けるといった動きが加速している。
先月開かれた世界経済フォーラム年次総会では(ダボス会議)では、
富豪で世界的投資家のジョージ・ソロス氏が
「中国経済のハードランディングは不可避で、世界的なデフレに陥る危険性がある」
と述べ、中国などアジア通貨売りを宣言した。
このソロス氏の発言に猛然と食ってかかったのは、中国共産党機関紙の人民日報や、国営新華社通信だ。
「中国経済は絶対にハードランディングしない。
人民元売りは失敗する」
と反論した。
人民日報などが強行に反論するのは、ソロス氏が過去に市場を大きく動かした“実績”があるからだ。
1992年に英国の通貨ポンドを大量に売り浴びせて巨額の利益を上げ、「イングランド銀行(中央銀行)を打ち負かした男」と呼ばれた。
1997年にタイのバーツなど東南アジアの通貨を売って、アジア通貨危機の引き金を引いたことでも知られる。
今回懸念されるのは、巨大になった中国経済と、その対外債務の大きさから、人民元売りによって簡単に世界金融恐慌が巻き起こる危険があることだ。
それを心得ているであろう中国側が反論してくるのは至極当然ともいえる。
ただ、中国当局が、資本流出と表裏一体である人民元不安を止めることは容易ではない。
外資が中国投資から手を引く動きも鮮明になりつつある。
中国商務省の統計によると、15年通年の世界全体から中国への直接投資の実行額は、前年比5.6%増の1262億7000万ドルとプラスを維持したが、日本からの対中投資額は25.2%減の32億1000万ドルと3年連続で減少した。
ただ、12月の世界全体からの直接投資は8.2%減122億3000万ドル(約1兆4000億円)とマイナスとなり、このうち日本からは34.5%減の1億6000万ドルと激減し、中国を見限る海外企業が相次いでいる格好だ。
かつては「世界の工場」と呼ばれ、多くの外資企業が生産拠点を中国に移したが、人件費の高騰や景気失速を受け、投資の失速をよんでいる。
昨年末の投資減について、中国商務省の沈丹陽報道官は1月20日の記者会見で「人民元市場の変動の影響もあった」と述べた。
人民元の先安観が強いことが、海外企業の中国投資を抑制する要因になっているのだ。
ブルームバーグによると、中国当局は昨年から資金流出に歯止めをかけようと、行政・窓口指導の強化に取り組んでいる。
その一環として、海外での銀行口座からの引出額に上限を設定。さらに、親類や友人の割り当て分を利用した複数取引で資金の海外移転を警戒するよう、金融機関に呼びかけている。
ただ、政府のこうした努力も市民の自国経済に対する悲観的な見方を変えるに至っていないようだ。
公的な規制では、中国国民1人の現金持ち出しは年5万ドルまでだが、地下銀行など、上限規制をすり抜ける手口はいくつもあり、事実上“ザル”になっているという。
ブルームバーグによると、JPモルガン・チェースのアナリストらはリポートで、中国の対外直接投資拡大や中国株・債権投資から撤退する外国人投資家などがいることを例に挙げ、「中国からの資金流出は実質的に無限」との見方を示している。
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2016.2.18(木) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/46101
(2016年2月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
人民元安に賭ける投資家、重要なのはタイミング
中国に極めて悲観的なヘッジファンド
映画「マネー・ショート:華麗なる大逆転」は、住宅バブルの資金供給に使われた債務証券の値下がりに賭けるヘッジファンド・マネジャーを中心に展開する物語だ。
その主人公が抱えるジレンマが、香港の同業者の心の琴線に触れている。
2008年の世界金融危機に至った実際の出来事をベースにしたこの映画に、中国の人民元が今後数カ月でどこまで下落するかを予測しているヘッジファンド・マネジャーたちが共感を覚えているのだ。
2月初めにゴールドマン・サックスが開いたマクロ・コンファレンスの会場の片隅で、顧客であるヘッジファンドの社員とゴールドマンのトレーダーたちが人民元相場について意見交換をしていた。
現在は1ドル=約6.57人民元だが、これが同8人民元に下がるまでどれぐらい時間がかかりそうか、というテーマだ。
また、多くのプライベート・エクイティ会社幹部が人民元のヘッジを始めている。
以前は、投資先の中国企業の人民元建て売上高をわざわざヘッジしたりはしなかったが、今日では高いコストを払ってでもやろうとしているのだ。
オルタナティブ投資の運用責任者はほぼ全員、中国の経済と株式市場の今後について容赦ないほどに弱気である。
人民元については、それに輪をかけて悲観的だ。
しかし彼らは、最高に優れたファンダメンタル分析を手にした投資家であっても、売買のタイミングを間違えれば破産しかねないということも承知している。
■中国人民銀行の意図は何か?
ゴールドマンのコンファレンスにおける会話の大半は、中国人民銀行の意図についてのものだった。
投資家の間では、輸出業者は比較的早い時期にオフショアのドル建ての売り上げを国内に持ち込まざるを得なくなるとの予想が非常に多い。
中国の貿易黒字は膨らみ続けているが、その一方で外貨準備高は減ってきており、
輸出業者は明らかにドルを外国で蓄えているからだ。
中国の銀行は法人顧客に対し、顧客が今年受け取るドルは前年よりも減る見通しだと伝えている。
金利がいよいよ高くなるドル建ての借り入れを返済するためのドルについても同様だという。
中国の外貨準備高は1月だけで995億ドル減少した。
2014年6月のピークから累計で7700億ドル減った計算だ。
昨年12月の実績と合わせれば、2カ月間で2074億ドルが流出したことになる。
「現在の外貨準備高は3兆2300億ドルだから、まだかなりの軍資金が残っているとはいえ、ここ数カ月間の外貨準備高の急激な減少ペースは、たとえ短期間でもとにかく持続不可能だ」。
IHSグローバル・インサイトのアジア太平洋地域担当チーフエコノミスト、ラジブ・ビスワス氏はそう語る。
資本流出を区分けするのは難しい。
一部は、まだ続いているキャリートレードの巻き戻しだし、一部は中国企業の対外債務の返済に回っている。
思慮深い多角化を、資本逃避と区別するのも難しい。
それから、新たに手に入れた「おもちゃ」を管理する能力の有無にかかわらず、中国の民間企業、国有企業が海外でますます大規模な買収を行っている論理的な根拠を、一体どう理解すればいいのだろうか。
資本投資を食い止めるために人民銀行にできることは、もっとたくさんある。1つは、大半の元売りが集中し、金利が上昇した結果、オンショア市場よりはるかに高くなっているオフショア市場を廃止することだ。国がひとたび通貨の自由化に動いたら、通貨統制を再び敷くのは難しいが、不可能ではない。
■日本にも大きな影響
中国などへの投資は、いよいよ最終的には中央銀行を先読みすることになりつつある。
それも通貨のポジションに関してだけではない。日本株を例にとってみよう。
ドル建ての投資家にとっては、日本株は素晴らしい成績を上げたかもしれないが、円をヘッジしていなければ、昨年のリターンはマイナスだった。
また、人民元の描く軌道は、中国の国境を大きく越えたところにまで影響を及ぼす。
人民元の弱さは、日銀がマイナス金利導入を決断した1つの要因だったと言える。
その過程で円が一時的に下落した。
この決断は、日本国内の輸出業者を支えるために通貨安を誘導する日本の政策を元安が脅かしていることから、日銀総裁が中国に資本規制を導入するよう提言した後に続いたものだ。
昔は、中央銀行は最後まで自国通貨の下落を望まない存在だった。
それが今では、通貨安の最大の応援団のように見える。また、貯蓄から生じる所得の減少に沿って生活水準が低下した人々にかかるコストなど気にしてもいない。
申年の今年、こと中央銀行に関しては、「言わざる」を貫くのが次第に難しくなっている。
By Henny Sender
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