2016年1月12日火曜日

安倍政権に都合のいい行動をする中国の思惑(1):中国は安倍内閣のサポーターなのか?

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 中国海軍の行動は日本に対する圧力のように思えるが、
 冷静にみると日本の防衛力強化の動きに塩を送っている
ように見える。
 南西諸島に自衛隊の配備を決めたのは、中国軍軍船の太平洋への通行だし、
 今回の動きも尖閣近辺での軍船の特異な行動によっている。
 以前の日本なら国内から様々な反対意見やデモがあるが、昨今はそれがまるでない。
 東日本大震災以降、自衛隊は完全に国民のなかに取り込まれているし、
 南シナ海の中国の粗暴な動きは「次は日本」という危機感を生じさせており、そのためか
 政府に対する批判はほとんど見受けられない。
 それよりも、
 現政権の防衛力強化を積極的に認証
している風である。
 もしそのことを考えるなら、先般房総沖に出現した中国軍船の行動に対して日本はこれを口実に何かを行うであろう。
 通常は「作用反作用」は一対一であるが、
 日本は中国の作用を口実に「倍返し」で対応している
ようである。
 安倍政権にとって、中国海軍のこのところの動きは願ったりかなったりのもののように思える。
 何か、裏で中国は安倍政権を応援しているのではないかと勘ぐってしまうほどである。
 日本は自ら何かを積極的に行うことはない。
 常に受け身姿勢で刺激があった時にのみそれに反応する、といった姿勢をもっている。
 安倍政権は中国が与えてくれるキッカケを最大限有効に使っている、そんな風にみえる。


日本テレビ系(NNN) 1月12日(火)16時35分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20160112-00000047-nnn-pol

 尖閣周辺「中国軍艦の侵入」に海自が対処も

 中谷防衛相は12日、沖縄県の尖閣諸島の周辺などで中国の軍艦が日本の領海に侵入した場合には、海上自衛隊の艦船が対処にあたる可能性があるとの認識を示した。

 中谷防衛相「警察機関、海上保安庁等の対応が困難な場合が発生した場合におきましては、海上警備行動を下令して自衛隊が対応するということは一般論としての原則」

 尖閣諸島周辺では、中国の公船による領海侵入が繰り返されており、周辺の公海上での中国の軍艦による特異な航行も確認されている。

 このため政府は、去年5月の閣議決定で国際法上の「無害通航」に該当しない外国の軍艦などが領海侵入した場合には、海上自衛隊が退去要求などの対応にあたれることを決めた。その上で、中谷防衛相は引き続き情報収集と警戒監視に万全を期す考えを改めて示した。

 また、菅官房長官は去年11月に中国軍の軍艦が尖閣諸島周辺で反復航行をした際、中国側に対し事態を注視していることを示す「関心表明」を行ったことを明らかにした。



レコードチャイナ 配信日時:2016年1月13日(水) 16時30分
http://www.recordchina.co.jp/a126899.html

日本「中国軍艦が尖閣侵入なら海自派遣し退去促す」、
中国「国家の領土主権を守る決心は揺るぎない」―中国メディア

 2016年1月12日、中国国営新華社通信によると、中国外交部の洪磊(ホン・レイ)報道官は同日の定例会見で、中国の軍艦が尖閣諸島付近の海域12カイリ内に侵入した場合、日本は自衛隊の艦船を派遣して中国側に退去を促すと日本メディアで報じられたことについて、
 「釣魚島(日本名:尖閣諸島)問題における中国の立場は一貫して明確なものだ。
 国家の領土主権を守る決心に揺るぎはない」
と述べた。

 洪報道官はまた
 「釣魚島とその付属の島しょは、古くから中国固有の領土であるが、中国側も東シナ海の緊張状態がエスカレートするのを見たくない。
 対話と協議を通じて問題を解決していきたい」
とも述べた。



サーチナニュース 2016-01-14 07:33
http://news.searchina.net/id/1599646?page=1

日本が軍事大国への道を突き進んでいる!
中韓が警戒する理由

 人は自分が価値あると認めるものには惜しみなくお金をつぎ込むものだが、中国メディアの環球網はこのほど、韓国メディアの報道を引用しつつ日本の防衛費の「巨大さ」に注目し、日本が軍事大国への道を突き進んでいると主張した。

 米国務省が2015年12月31日に発表した「2015年世界軍事支出・兵器移転(WMEAT)」によれば、調査対象の170カ国のうち日本の武器輸入額は第1位だった。
 この金額は2002年から12年の武器輸入額の累計を比較したもので、日本は2位の英国と3位の韓国の金額の合計にほぼ等しい1661億ドル(約19兆5005億円)に達した。

 このように惜しみのない態度で武器を輸入し続ける日本の姿が、「軍事大国への道を突進している」と他国に映るのは当然のことかも知れない。
 さらに近年は防衛費も増えつづけており、16年度予算は初めて5兆円を突破した。
 記事は安倍政権は「欲しいままに日本を軍事大国化させている」と主張した。

 中国や韓国メディアが「日本が軍事大国化を目指している」と主張するのは、日本の防衛費の増額だけが要因ではない。
 今年度予算で日本はイージス艦、6機のF-35A、17機のSH-60などを導入する予定だが、「これらは日本の領域外での使用を想定したものである」と主張している。

 中国や韓国は、日本が専守防衛の概念をいつか完全に捨て去るのではないかと懸念を高めている様子が見て取れる。
 増え続ける防衛費は、軍事大国化を「決意」した日本の姿を示すものとして他国に映っているのかも知れない。



サーチナニュース 2016-01-14 09:07
http://news.searchina.net/id/1599653?page=1

尖閣諸島に自衛隊が出動 
中国専門家「日本にそんな度胸ない。口だけだ

 中国メディアの環球網は13日
  「日本が自衛隊を釣魚島に派遣と威嚇 専門家:そんな度胸はない」
と題する記事を配信した。
 釣魚島は尖閣諸島の中国側通称。

 中谷元防衛相は12日の記者会見で、中国軍艦が尖閣諸島周辺領海に侵入した場合について、
 「警察、海上保安庁などの対応が困難な場合、海上警備行動で自衛隊が対応することは原則としてある」
と述べた。
 自衛隊艦船が海上警備行動として、退去要求などを行う方針を示した発言だ。
 中国メディアは同発言に敏感に反応し、多くの記事が発表された。

 環球網は13日、中谷防衛相の発言に対する中国人専門家3人の意見を特集した。
 海軍軍事学術研究所世界海軍研究室のケイ広梅主任は、中国が公船を連続して尖閣諸島近海に送っていることを持って、同諸島はすでに
 「日中が共同でパトロール」している状態と主張。
 日本は中国の公船派遣をすでに黙認しているが、受け入れたくないとの気持ちが高まり、中国を再び追い出そうとしていると論じた。(「ケイ」は「刑」のりっとうをおおざとに代える)

 ケイ主任は、中谷防衛相の発言は中国側の態度を試すものであり、
 中国が激烈に反応せねば、日本は本当に自衛隊艦船を派遣する可能性が高い
との考えを示した。

 さらに、自衛隊が尖閣諸島に出動すれば、中国も海軍を派遣することになり、軍事衝突が発生した場合は日本の責任と決めつけた。

 上海国際問題研究院アジア太平洋研究センターの廉徳瑰副主任は、中国は尖閣諸島近くに公船を派遣し続けているが、日本の主張する陸地から12海里までの領海内に入ることは少なく、たまに入っても30分程度と主張。
 中国側の動きは象徴的なものだが、それでも尖閣諸島については日中が「共同管理」していることを示すものとの考えを示した。

 廉副主任は、日本では自衛隊出動について発生しつつある状況に応じて段階を経ねばならないという法律上の制約があると指摘。
 事前に出動を決めておくことはできないとの論じた上で、自衛隊艦の出動については
 「言ってみただけ」、
 「実際にそんな度胸はない」
となどの考えを示した。

 記事は、その他の対日問題専門家にも話を聞いたとして、中国の軍艦は尖閣諸島の陸地から12海里以内に入ったことはないと紹介。
 従って「自衛隊艦船の派遣は、空話」ではあるが、安倍首相の政治手法として
 「小さなことを大きくクローズアップしてから、前進して突破を図る」
特徴があると指摘。

 記事は、専門家らが、現在は尖閣諸島について日中は「暗黙の了解」にもとづいて相互に
 「上陸しない。調査しない。建設しない」
ことにしていると指摘したと伝えた。

 専門家らは、日本側が自衛隊艦を派遣した場合には、
 「中国も対抗措置を取らねばならない」
が、日本側に動きがなければ、中国側も軍艦を日本の主張する領海内に入れることはないと論じたという。



レコードチャイナ 配信日時:2016年1月15日(金) 20時10分
http://www.recordchina.co.jp/a126370.html

尖閣周辺で日中の軍艦対峙!
「日本の挑発には日本車壊す」と中国人、
日本人は「やれば」

 2016年1月15日、尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺で、日中両国の軍艦が対峙(たいじ)―。
 中国の掲示板サイトにこのほど、こんな物騒な事態を想定し、対応策を問うスレッドが立った。
 12年の反日暴動の記憶が新しい中国のネットユーザーからは「日本車を破壊する」との声が続出。
 日本のネットユーザーは「やれば」などと冷笑している。

 「日本の強烈な挑発に中国はどう対応すべきか?」
と題するスレッドのスレ主は、 日本メディアの報道を引用。
 日本政府は、中国軍艦が尖閣諸島の領海(周囲約22キロ)へ侵入した場合、
 海上警備行動を発令して自衛隊の艦船を派遣し、中国軍艦に速やかな退去を促す方針
だと伝え、
 「これで日中は軍と軍が向かい合う局面になった」
と論じた。

 これに対し、中国のネットユーザーからは
 「日本人に対して怒って中国人の車を破壊する」
 「やっぱり日本車を破壊し、日本製品を破壊するしかないだろ」
 「中国人が買った日本車を破壊する以外にできることなんてない」
 「中国の熱血青年は早く日本車を破壊しに行かないと!」
などの書き込みが相次いだ。

 中には
 「日本の挑発に中国の若者は何ができるか?
 それはしっかり働いて家や車の奴隷となり、きちんとローンを支払うことだけだ」
 「旧正月を前にみんな自分の給料を確保するために忙しいのだから、こんなことにかまっている暇はない」
などのコメントもあった。

 一方、日本のネットユーザーは
 「どっちが挑発してんのやら」
と前置き。
 その上で
 「やればいいよ。
 中国政府が再度反日暴動を黙認すれば世界から孤立するだけ」
 「爆買いを止めるというコメントがなくてよかった。
 いま爆買いを止められたら日本経済が崩壊してしまう」
 「中国が嫌いだからといって 中華料理店を攻撃する日本人はいない 。
 そういうことだ 」
 「日本に旅行に来るのをやめて爆買いもやめればいいんじゃね?」
などとも反応している。



現代ビジネス  2016年01月15日(金) 長谷川 幸洋
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47386

中国バブル崩壊の予兆!
これで「衆参ダブル選」の可能性がますます高まった

◆野党も「ダブル選モード」に

 「夏は衆参ダブルの同日選」という観測が広がっている。
 自民党内で隠然たる影響力を持つ二階俊博総務会長が1月9日、地元・和歌山市で
 「政権幹部が同時選挙をしたいと思っているのは間違いない」
と述べるに至って、観測はさらに強まった形だ。
 なぜ同日選なのか。

 二階氏は13日にも都内の講演で
 「同日選の最中に災害が起こった場合、どうするか。
 不意を突かれたら大変だ」
とバランスをとる一方で
 「衆院解散がまったくないとは言い切れない」
と同日選の可能性を指摘した。
 地元発言のほうが歯切れがいいのは当然だろう。

 二階氏に限らず、谷垣禎一幹事長や稲田朋美政調会長、佐藤勉国会対策委員長など自民党幹部はそろって同日選の可能性に言及している。
 年が明けたとたんに、自民党内は早くも「選挙モード」に突入した感じだ。

 こうなると、野党も臨戦態勢に入らざるをえない。
 たとえば、民主党の細野豪志政調会長はテレビ番組で
 「衆院解散はあると思う。
 そこを考えたときに、政策の一致を前提に新党は必要だ」
と解散を前提に考え始めた。

 昨年12月4日公開コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/46714)で書いたように、私は半年前にマスコミで初めて同日選の可能性を指摘した。
 昨年7月12日放送の『そこまで言って委員会NP』で「来年は同日選だ」と話したら、同席していた飯島勲内閣官房参与が「私も同じ見立てです」と同意したのを思い出す。
 飯島氏を除いて当時、いわゆる「政治評論家」たちは「また長谷川があんなことを言っている」という感じの冷ややかな受け止め方が大半だった。
 私自身は「なんで分からないの?」と内心、プロたちの感度の鈍さに半ば呆れていた。

◆同日選はほぼ確実とみていい

 プロがなぜ間違うかについては、先のコラムや前回の解散総選挙(これも私の見立てが的中した)を総括した2014年11月14日公開コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/41078)で書いたから、ここでは繰り返さない。
 はじめ半信半疑だった評論家たちも「流れに乗らざるをえない」とみたのか、いまごろになってようやく同日選の可能性を口にするようになってきた(それでも1月2日放送のテレビ番組(https://www.youtube.com/watch?v=WbIdIJqYxCg&feature=youtu.be)では、私と同席したコメンテーターが「同日選はない」と否定していたが…)。

 「同日選になるかどうか」は金融関係者の間でも関心が高い。
 すぐ後で述べるように、同日選予想は消費税増税の行方と密接に絡んでいるからだ。
 ある外資系投資銀行の幹部は「同日選の話を聞きたい」と数年ぶりに電話をかけてきた(これは時間がなく、お断りした)。

 いずれにせよ、同日選はもうほとんど確実とみていい。
 なぜなら、安倍晋三首相は繰り返し否定しているが、
 夏に同日選に持ち込めば、安倍政権が圧勝するのは間違いない
からだ。
 それには、大きく3つの理由がある。

1].まず、野党がバラバラだ。
 野党は戦う前から負けている。
 共産党は「国民連合政府」構想を唱えていたが、民主党が乗ってこないと分かって、志位和夫委員長は「現時点では難しい」と白旗を揚げてしまった。

 共産党が唱えたのは「戦争法を廃止するために野党が一致団結して国民連合政府を」という主張だった。
 そもそも安全保障関連法を「戦争法」などとレッテル張りした基本認識がトンチンカンなのだが、それを差し引いても「すでに成立した法律を廃止するためだけに政権を目指す」という政治センス自体がどうかしている。

 戦争をしようとしているのは、だれなのか。
 安倍政権か北朝鮮、それとも中国か。
 北朝鮮の相も変わらぬ戦争意欲(!?)は先日の核実験でも証明された。
 中国が尖閣諸島に領土的野心を抱いているのも、あきらかだ(先の番組では司会者が「中国は日本本土には攻めてこないでしょう」と発言したので仰天した。
 尖閣諸島が奪われても九州が奪われなければいい、という発想なのか)。

 「政権を担う」というのは、夢の世界の話ではない。
 生身の人間が働いて稼ぎ、子どもを学校に送り、親の面倒をみて、平和に食べていくのを支えていく。
 そういう話だ。安保関連法さえ廃止できれば、それでいいというような政党には、とうてい政権を任せられない。

◆多くの国民が迷っていること

 共産党は昨年夏、デモ隊の前で野党党首らとスクラムを組めたので「いまや革命近し」と舞い上がってしまったのではないか。
 シュプレヒコールで頭に血が上った共産党を「真夏の夜の夢」から覚めた民主党が拒否したのは当然である。

 安倍晋三首相がここへきて憲法改正に言及しているのは、野党分断を確実にする狙いがある。
 憲法改正を争点に掲げれば、党内に改憲派を抱える民主党は足元がふらついてしまう。
 もともと改憲派である維新の党との合流話も難しくなるに違いない。

 衆院解散・総選挙となれば、なおさらだ。
 参院選で野党統一候補を擁立する目論見が熊本選挙区を除いて、うまく進んでいないのに、衆院議員が1人しか当選できない小選挙区で戦うとなったら、野党共闘はまず成立しない。

 だからといって、安倍政権が衆参両院で3分の2の議席を確保したら、本当に憲法改正に踏み出すかといえば、そこは昨年12月25日公開コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/47090)で指摘したように、安倍首相は慎重だろう。

 なぜかといえば、憲法改正は国会議員が決めるのではなく、国民投票で国民が決める話であるからだ。
 世論調査で改正賛成派が反対派をわずかに上回ることがあっても、だいたい回答者の3〜4割が「どちらとも言えない、よく分からない」と答えている。

 つまり国民の多くが判断に迷っているのだ。
 この中間層が本当の鍵を握っている。
 中間層が反対に回れば、改正はできないのだ。
 だからこそ二階総務会長や高村正彦副総裁は3分の2の議席を確保したとしても、改正の国会発議には慎重な姿勢を示している。
 私は安倍首相も同じ判断、とみる。

◆中国バブルの崩壊=リーマン並みの衝撃

2].次に、内閣支持率が高い。
 慰安婦問題の解決で韓国と合意したと思ったら、直後に北朝鮮が4度目の核実験をした。
 さすがの朴槿恵大統領も北の暴走を止めるために「中国の役割が重要だ」と中国に対して注文をつけた。

 慰安婦問題に一応のメドをつけたからこそ、韓国は中国と距離を置いて、日米とスクラムを組んで北朝鮮をけん制する路線に復帰できた。
 安倍外交の重要な成果である。
 しかも、肝心な安保法制の見直しは終えている。
 失業と倒産が減っていることもあり、これでは支持率が落ちる理由がない。

3].3つ目は消費税問題だ。
 安倍首相は12日の衆院予算委員会で
 「リーマンショック級の出来事がない限り、予定通り引き上げていく」
と答弁した。
 中国バブルの崩壊こそがリーマン・ショック並みの衝撃になるだろう。

 年初来の株安が、中国の日本経済に対する悪影響を象徴している。
 1月10日放送の『そこまで言って委員会NP』で同席した中国人実業家の宋文州氏は
 「中国経済はこれから3年ダメ。で
 も体制が崩壊しない限り、2018年から復活する」
と言っていた。

 中国パスポートを持つ(したがって中国の悪口は口が裂けても言えない)宋氏でさえも
 「私は昨年春に中国株をぜんぶ売り払った」
と言っていた。
 しかも、18年からの復活は「体制が崩壊しない限り」という前提付きなのだ。

 中国当局が言動を厳しくチェックしているに違いない宋氏のような人物の口からも「体制崩壊の可能性」が飛び出した点に、私はもっとも注目する。
 それくらい中国の現状は危うい証拠ではないか。

 安倍政権のもっとも重要な公約はデフレ脱却(=消費者物価上昇率2%の達成)だ。
 だが日銀によれば、デフレはことし年末まで(おそらく来年まで)克服できない。

 こんな情勢では、とても増税はできないだろう。
 そうなると、増税先送りの是非を問うことがダブル選の大義名分の1つになる。

◆引くも地獄、進むも地獄

 野党は増税にどういう姿勢で臨むのか。
 共産党は増税反対だが、民主党の姿勢ははっきりしない。
 野田佳彦政権で決めた増税だから、いまさら引っ込められないというなら、安倍政権には好都合だ。
 増税先送りを掲げてダブル選に突入するだろう。

 逆に、野党が増税先送りを言い出すと、安倍政権が先送りしたところで(野党の言う通りなのだから)批判できなくなる。
 つまり民主党にしてみると、増税を唱えるにせよ先送りを唱えるにせよ、まずい展開になる。
 「引くも地獄、進むも地獄」なのだ。

 最後に一言。左翼陣営には「安倍政権は反知性主義」といったキャンペーンがあるようだ。
 私は「野党こそが反知性主義」であると思う。
 野党は総じて経済学の基本に基づいた経済政策を知らず、国際関係論の基本に基づいた外交・安全保障論を知らないからだ。

 大学院レベルとまでは言わないが、せめて大学高学年レベルくらいの経済学や国際関係論は勉強したらどうか。
 そうでなければ世界で相手にされない。
 「集団的自衛権を容認する日本が徴兵制になる」
などというトンデモ論を唱えているようでは、もちろん政権復帰は程遠い。



現代ビジネス  『週刊現代』2016年1月16・23日号より 古賀茂明
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47375

安倍政権のシャレにならない「アメとムチ」 
7月の選挙後には悪夢のような「現実」が待っている!

 謹賀新年。
 今年はどんな年になるだろうか。

 考えをめぐらすうちに、思いついたのが「先憂後楽」という言葉だ。
 元々は、民が憂える前にまず為政者が心配し、民が幸せになって楽しんでいるのを見て初めて為政者が喜ぶという政治のあり方を示すことわざだった。
 今は「苦あれば楽あり」に近い意味で使われることも多い。

 この1年はこのことわざとは全く逆になる可能性が高い。

 昨秋から年末にかけて続いた、怒濤のような「バラマキ」政策の決定。
 '15年度補正予算、'16年度本予算と税制改正などにちりばめられた「アメ」の数々。
 低所得の年金受給者へは1人3万円の現金給付。
 財源無視で軽減税率を加工食品まで広げて1兆円。
 企業には法人税実効税率を30%を切る水準に下げる。
 農家には、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)対策で補助金を大盤振る舞いだ。

 官僚の給料もボーナスも上がる。
 補正と本予算合わせて100兆円という気の遠くなるような金額である。

 補正予算が実際に使われるのは春頃から。
 本予算は6月頃から本格的に執行される。
 全ては、7月の参議院選挙、そして、同日または秋にも行われるという衆議院選挙のため。
 絶妙のタイミングだ。
 直前には、日銀の想定外の大規模緩和、あるいはその他の政策も含め株価対策が実施されるのも確実だろう。

 一方、あれだけ急いで無理やり通した安保法関連の動きは、南スーダンのPKO部隊への駆けつけ警護などの新たな任務追加、南シナ海の米軍による警戒監視活動への協力などを含め封印される。

 「野党は、すぐにも戦争が始まると言っていましたが、あれは嘘。
 心配は無用です」
と政府に言われ、国民は、
 「大騒ぎしすぎたな。これで安心した」
と胸を撫でおろす。
 また、憲法改正の話も抑制される。ヘルメットをかぶって戦車に乗った安倍晋三総理が、今は猫の着ぐるみをかぶって、「猫かぶり」という図だ。

 しかし、参議院と衆議院の選挙が終われば、怒濤のような「ムチの政策」が始まるはずだ。
 軽減税率の財源のために年末の予算・税制で、70歳以上の高齢者の医療費負担引き上げ、配偶者控除廃止などが決まり、年金の支給開始年齢引き上げ、さらには、消費税15%への引き上げの議論も始まるだろう。
 株価対策も打ち止め。
 市場に失望感が出れば、株が下がる可能性は高い。

 一方、安保関連では、選挙後に南スーダン、南シナ海での活動が一気に実施される。
 中東の対IS戦争にも有志国連合の一員として、何らかの自衛隊関与の道を開き、日本中、いつどこでテロが起きてもおかしくない状況が生まれる。
 街中には警察官が溢れる光景を目にするかもしれない。
 衆・参両院で3分の2を確保すれば、憲法改正の議論も一気に本格化する。

 そこまで行けば、国民は夢から覚めるが、時すでに遅し。
 3年後まで選挙はなく、安倍総理のやりたい放題。将来のことを考えると夜も眠れない。
 声を上げても民意は無視される。
 まさに憂いの日々である。

この一年を一言で表せば、「先楽後憂」。
 正月早々縁起でもないが、悲しいかな、それが現実だ。
 この予想がはずれることを心から祈りたい。


 台湾選挙の結果を見ると、
 やはり中国が強く出ると、明らかにその反発が対応国に発生する
ようである。
 台湾ですらこの結果なら、中国をほとんど怖れていない日本ではさらに大きく出る
だろう。
 中国が恫喝を繰り返せば繰り返すほど、安倍政権を支持する人々が多くなり、結果として中国の行動が安倍内閣をウラで支援することになってしまう。




【激甚化する時代の風貌】



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