『
2016.1.25(月) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45853
米国の新たな親友はフランスとオーストラリア
同盟関係の序列に変化
(2016年1月22日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
米国の親友にあたる国はどこなのだろうか。
10年前なら英国とイスラエルだったかもしれない。
だが、その後の出来事や登場人物は、どちらの国との関係にとっても有益なものではなかった。
英国は以前より内向きになっており、政治には、かつてトニー・ブレア元首相がイラク侵攻に与えた無条件の支持による傷がまだ残っている。
そして、現在のイスラエルと米国のトップは同じ部屋に入ることさえ我慢できないほど仲が悪いうえに、今日の中東の大問題にはイスラエルが重要な役目を担うものがほとんどない。
◆友好国の新たな序列
米国政府の1月第4週の日程からは、友好国の序列が新しくなったことがうかがえる。
19日には、バラク・オバマ大統領がホワイトハウスでオーストラリアのマルコム・ターンブル新首相の訪問を受ける一方で、アシュトン・カーター米国防長官が「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」についての会議とエコール・ミリテール(旧陸軍士官学校)での講演のために、フランスのパリに飛んでいた。
中国は軍事支出の規模で米国に追いつきつつあるかもしれないし、ロシアは米国の力に挑んで喜んでいるものの、どちらの国にも頼りにできる真の友人はいない。
一方、米国の影響力は、世界中で展開している同盟関係の網によって増幅されている。
その網の中には、柱になる国が常に1つか2つある。
何か状況が悪化したときに真っ先に声をかける国のことだ。
今、フランスとオーストラリアがそのようなパートナーになりつつある。
フランスは昨年12月にパリがテロ攻撃に見舞われる前から、ISISに対抗する米国主導の有志連合において、米国に次いで積極的な参加国だった。
テロ攻撃以降はその積極さがさらに強まっている。
12月にはカーター氏が、シリア領内のISISの拠点を空爆する主要基地の1つであるフランスの空母シャルル・ド・ゴールを訪問している。
ワシントンでは近年、ドイツの影響力が強まっている。
ユーロ危機やウクライナがらみの外交交渉で中心的な役割を担ったのがドイツだったからだ。
だが、軍事の問題においては、フランスが最初に声をかける国になりつつある。
カーター氏によれば、同氏が1年前にペンタゴン(国防総省)のトップになってから最も多く話をした国防大臣は、フランスのジャン・イヴ・ルドリアン氏だという。
フランスは
「米国にとって最も古い同盟国だ。
これ以上の同盟国は存在しない」
とも語っている。
◆フランスとの綿密な情報交換
急激に強化されている米仏関係は、新たに行われるようになった重要情報、特にISISに関する情報の交換に反映されている。
両国はパリのテロ攻撃の後、いくつかの点で米国、英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドの5カ国が使用している「ファイブ・アイズ」というシステムによく似た新しいメカニズムを構築した。
そして米国の独立戦争に参加したフランスの軍人にちなんで「ラファイエット・グループ」と呼ばれる委員会を立ち上げ、正しい情報が遅滞なく交換されるようにした。
「我々は文字通り文化を変えつつある。
フランスとより多くの情報を共有することを意識した決断を、あらゆるレベルで行えるようにするためだ」。
米防衛省のある高官はこう語る。
「2002年や2003年当時のそれに比べたら、現在の協力や議論のレベルは段違いに高い。
月とスッポンだ」
オーストラリアは以前から米国の重要なパートナーで、ISISに対抗する有志連合にも名を連ねている。
だが、この国が中核的な同盟国になりつつあるのは、オバマ政権の長期的優先事項であるアジアの地政学において役割が増大しているからだ。
◆お荷物の少ない同盟国オーストラリア
アジアでは依然、米国にとって最も重要な国は日本だ。
日本は米国がアジア地域に置いている軍事資産の大半の拠点だ。
だが、米国は困難に満ちた日中、日韓関係の悪影響を管理することに、かなり大きな労力も費やしている。
オーストラリアはそうしたお荷物が少ない同盟国で、中国を抑えるが挑発はしないという同様の計画を持っている。
アジアにおけるオーストラリアの軍事的プレゼンスは拡大しており、同国は目立たないように、地域の米国の友好国の間で協力関係を強化する手助けをしている。
新しい親友との間には、まだ摩擦もある。
フランスはシリアにおけるオバマ氏の用心深さについて不満をこぼす。
オーストラリアの懸念はそれとは反対で、米国が中国を窮地に追い込み、オーストラリアがその反動に巻き込まれることだ。
だが、難題が急増するなかで、米国はこれまで以上に同盟国を必要としている。
By Geoff Dyer
© The Financial Times Limited 2016. All Rights Reserved. Please do not cut and
paste FT articles and redistribute by email or post to the web.
』
『
2016.1.27(水) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45892
輸出ブームに沸くフランス防衛産業
牽引役はラファール戦闘機、外国からの受注が1年で倍増
(2016年1月26日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
●輸出ブームの牽引役となっているラファール戦闘機〔AFPBB News〕
フランソワ・オランド大統領は、低迷しているフランス経済の再生にはほとんど成功しなかったかもしれないが、大統領の社会党政権は、海外との取引を渇望するフランス防衛産業の有能なロビイストになっている。
政府によれば、フランスの防衛産業は昨年、国家の助力もあって外国から計160億ユーロという記録的な規模の受注を獲得した。
巡航ミサイル、戦闘機、戦艦がその主なところだ。
ダッソー・アビアシオン、DCNS、MBDA、サフラン、タレス、そしてそれらを支える多数の下請け企業は、この輸出から恩恵を享受している。
◆オランド政権下で受注急増、人員採用も再開
世界金融危機の後に西側諸国の政府が軍事費を削減したことから、フランスの防衛産業は厳しい状況に数年間置かれていたが、ここに来て人員の採用を再開している。
従業員数を2015年の水準より20%増やす計画で、下請け企業までカバーした政府の試算によれば、計画通りに進むと2018年までに防衛産業の雇用者数は20万人に増えるという。
2015年の外国からの受注額は、過去最高だった2014年の実績の2倍に相当する。
オランド氏が大統領に就任した2012年、外国からの受注額は47億ユーロだった。
受注で最も重要なのは、ダッソーが開発して28年になる戦闘機「ラファール」だ。
開発に400億ユーロ超の資金を要したものの、2015年まで輸出注文が1件もなかった機種である。
フランスは昨年、ラファール戦闘機の販売契約をエジプトおよびカタールと交わした。
両国はそれぞれ24機購入することに同意している。
「オランド政権下で、防衛産業の受注件数が大きく変化している。
最大の要因はジェット戦闘機の売り上げだ」。
IHSジェーンズのアナリスト、ベン・ムーアズ氏はこう指摘する。
「おかげで業界全体が恩恵を享受している」
エジプトおよびカタールと交わしたラファール戦闘機の契約には、MBDA製ミサイルの売却も含まれていた。
MBDAは、フランスのトゥールーズに本社を構える欧州の航空機製造会社エアバスなどが参加する企業連合だ。
MBDAの製品の少なくともいくつかは、ラファール戦闘機で使われる空対空ミサイル「MICA」だと考えられる。
エジプトも、DCNS製のFREMM(汎用)フリゲート艦1隻の購入に同意した。
オランド大統領は25日、ラファール戦闘機をインドに販売する取引の最終合意に向けて、インド訪問中に一定の前進があったことを明らかにした。
インドは既に36機の購入を決めて合意書にも署名しているが、金銭面でまだ詰めるべき項目が残っていると両国は話していた。
この取引は約50億ユーロの規模になる見通しだが、2012年に初めて提案された当時のそれを大幅に下回ることになる。
インドは当時、126機の購入を検討していると話していた。
インドのナレンドラ・モディ首相は昨年4月にフランスを訪れた際、36機の購入を発表したが、価格やそのほかの問題を巡って交渉が続いている。
このインドとの取引は、防衛産業の大部分にとって勝利となる。
フランスの防衛関連エレクトロニクス企業であるタレスと、航空機エンジンメーカーのサフランは、ラファール戦闘機輸出プログラムの主要サプライヤーであり、そのほかにも規模の比較的小さな企業が約500社関与しているからだ。
この取引は、形勢を大きく変える可能性も秘めている。
なぜなら、これによりダッソーはラファールの生産を月間1機から同3機に増やせるからだ。
◆社会党政権という有力ロビイスト、政治や中東情勢も追い風
フランス防衛産業の関係者らによると、輸出の成功は社会党政権の努力のおかげでもある。
特に称賛されているのは、複雑な取引を監督するジャン・イヴ・ルドリアン国防相だ。
DCNSの戦略担当ディレクター、アンドレアス・ローウェンスタイン氏によれば、フランスには実戦での実績があるシステムを備えた成熟した防衛産業があるが、それでも「ルドリアン氏が国際市場で絶大な信用を得ていることは疑いの余地がない」という。
アナリストの中には、フランスによる最近の武器輸出の成功は政治の助けによる部分もあるとの指摘がある。
例えば、昨年行われたイランと主要国との核協議にフランスが強硬姿勢で臨んだことは、アラブ諸国で好感されることに役立ったという。
中東情勢が不透明なことも寄与した可能性がある。
昨年の受注額160億ユーロのうち130億ユーロは中東からの注文なのだ。
例えばレバノンは昨年、MBDA対戦車ミサイル48基の引き渡しを受けた。
これは、中東でのイランの影響力を懸念するサウジアラビアが資金を出した、計30億ドルの契約の一部だ。
近年の防衛産業の受注増加は必ずしもすべてのフランス防衛企業の将来展望を変えるわけではないとアナリストらは言う。
例えば、ダッソーはビジネスジェット機「ファルコン」の需要減少に苦しめられている。
サフランの将来は、エアバスとボーイングが建造するジェット旅客機向けの新型エンジン「LEAP」の生産を増やす能力に左右される。
ジェット旅客機の受注が減速している証拠が積み上がるなか、フランス防衛産業の力強い輸出が持続し得ることを示す兆候もある。
フランス国防省は、2016年にさらに160億ユーロ相当の受注を勝ち取れると予想している。
今年はエアバス製のヘリコプター「カラカル」をポーランドとクウェートに売ることが見込まれる一方、アラブ首長国連邦(UAE)との間では、ラファール60機の購入に関して協議が行われている。
DCNSは、オーストラリアでの潜水艦生産を含め、幅広い契約を勝ち取ることに期待を寄せている。
By Michael Stothard in Paris
© The Financial Times Limited 2016. All Rights Reserved. Please do not cut and
paste FT articles and redistribute by email or post to the web.
』
『
サーチナニュース 2016-01-29 08:33
http://news.searchina.net/id/1601100?page=1
オーストラリアが南シナ海での「自由航行」を検討
「中国との経済関係」よりも「国際秩序の維持」が重要との考え
中国メディアの参考消息網は28日、外電を引用して
「オーストラリアは南シナ海に手出しをするつもりだ。
自由航行の艦派遣を検討」
と題する記事を掲載した。
オーストラリアのジュリー・ビショップ外相はこのほど、米国で行われた安全問題に関連する会議に出席し、中国が南シナ海で人工的に埋め立てた土地の周辺は領海と主張していることについて
「われわれは国際法からは、ありえないことと認識している」
と説明した。
また、フィリピンがオランダ・ハーグにある国際仲裁裁判所に中国を相手に領有権問題で訴訟を起こしていることについて、同裁判所は近日中に、人工島周囲の領海設定についての判断を改めて示すとして、
同裁判所の判断が永続的な国際習慣になる
と述べたという。
ビショップ外相は、中国が軍事費を大幅に増強しはじめていらい、
東南アジア全体の軍備購入費が3倍に
もなってしまったと憂慮。
「われわれは、アジアの軍拡競争の現場を見つつあると考える人もいる」
と述べた。
ビショップ外相はさらに、オーストラリアは南シナ海で領有権を主張していないが、米国と同様に飛行と航行の自由を支持すると述べた。
「盟友」との表現を避けた上で、米国と考え方が一致していると表明したことになる。
これまでにもオーストリア軍機が中国の「人工島」に接近したことはあったが、中国の主張する“領海上空”には進入しなかった。
参考消息網によると、オーストラリア政府は軍艦または軍用機を、中国の人工島から12海里以内に接近し、「自由航行」を実施することを検討しているという。
オーストラリア経済は、鉄鉱石など中国への輸出に依存している面が大きく、中国政府と対立すれば、同国経済は大打撃を受ける可能性がある。
しかし、マルコム・ターンブル首相が率いるオーストラリア政権は、
中国が南シナ海で他国を圧するような行動を取り続けていることは、
オーストラリア経済にとって最も重要な国際秩序に対する脅威と認識している
という。
』
_