2016年1月8日金曜日

『インターネット経済』の行方(1):インターネットが牽引する中国「新経済」の姿とは

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ダイヤモンドオンライン 陳言 [在北京ジャーナリスト] 2016年1月8日
http://diamond.jp/articles/-/84313

インターネットが牽引する中国「新経済」の姿とは

 2016年の中国経済を展望する場合、かなり悲観的に見ている人が多い。
 経済成長率は果たして7%を維持できるかどうか。
 年明けの株価暴落を見て、非常に厳しい一年になると予感する人は、決して少なくないだろう。

 20世紀末のアメリカITバブルを記憶している人は、その崩壊過程が目の前で鮮明に浮かんでいるかもしれない。
 中国はどうだろうか。
 2015年の中国インターネット関連の事情を見て16年の中国経済を展望する場合、その経済に対する役割がはっきりしなかったものが明確になり、そこに中国の変化が見て取れる年になると思われる。

◆中国経済を見る新しいポイント
労働と資本そして効率アップ

 2015年12月16日から18日まで浙江省烏鎮・枕水ホテルで第2回世界インターネット大会が開かれた。
 日本ではあまり大きく取り上げられなかったが、中国では年末の結構大きなイベントとしてマスコミは報道した。

 このネット会議には多くの国々の政治的な要人と国際機関の責任者、ネット企業の大物たちが一堂に会して議論した。
 GSMアソシエーションのジョン・ホフマン最高経営責任者(CEO)は、
 ネットを「人類の未来の発展」
と高く評価し、世界経済フォーラムのクラウス・シュワブ会長は、それを
 「第4次産業革命」
とまで讃え、
 「国家の利益」(チリ下院運輸通信委員会のグイド・シラルディ委員長)、
 「世界の人々の生活レベルの向上」(パキスタンのシャウカト・アジーズ元首相)
など言葉が、紹介しきれないほど飛び交った。

 ネットという「歴史上でも非常に独特の物」(第2回世界インターネット大会における米国電気電子学会のハワード・ミッシェル会長の言葉)は現在、政治面の力と産業面の力の共同推進のもと、新しい経済の鋳型を形成している。

 日本と中国の間で行き来している筆者にとって、インターネット関連の変化は、日本より中国のほうが明らかに激しいと感じる。
 ラジオ、テレビの普及によって情報が地方都市、農村まで届くようになったが、インターネットと結合した物流は、今度は教育などのソフトと商品などのハードを地方都市、農村にまで届くようにした。
 まだ小さな店ほどの形にもなっていない農村の売店は、タブレッドかスマホを使って全中国から商品を購入し、さらに免税品をも、越境Eコマースで手に入れている。

 経済を見る場合、
 「消費と投資、輸出入」という3要素が重要だと教科書から学び
 今もわれわれが経済の長期的な発展を予測する場合、その3要素に注目しているが、それよりも
 「労働」と「資本」そして「効率アップ」
という新しい要素で経済を見たほうがよほど正しい結果を得られる。

 目下、中国経済の下押し圧力で最大のものは、製造業の下降だ。
 世界の工場として、経済に占める製造業の規模が最大の国家として、中国は二重の圧力に直面している。
 それは
★.先進国の再工業化によって、ハイエンドの製造業が中国から日米欧に向かっていることと、
★.人件費の上昇によってローエンドの製造業が東南アジアや南米、アフリカに移転すること
である。

★.その唯一の対応策こそ、製造業とネットの結合なのである。
 それによって、スマートマニュファクチャリングと製造業のサービス化を発展させる。
 つまり、インターネットが「労働」と「資本」の新しい結びつきを生み出し、効率をアップさせる。

◆ネット経済の比率は7%以上へ
医療、観光、教育などでの影響


●医師の検索・予約ができる百度医生(バイドゥ医師)アプリ

 中国インターネット情報センター(CNNIC)の最新の統計によると、
 中国のGDPに占めるネット経済の比率は、2014年に「7%」
に達した。
 国民経済の支柱産業とされる基準はGDPの「8%以上」だ。
 2015年にネット産業がこの基準を超えるであろうことは言うまでもないが、2014年のレベルにとどまったとしても、もはやネットが中国経済の支柱産業だという見方は妥当であろう。

 世界のネット企業10強のうちの四つの椅子をすでにBAT(バイドゥ、アリババ、テンセントの3巨頭の略称)と「京東商城(JD.com)」が占めている。
 ネット企業の他業種への拡散と協力の例を、BATの事業から見ることができる。

 まず、医療と教育を見てみよう。
 バイドゥのビッグデータの検索では医療と教育に関連した検索が最も多い。
 これに基づいて「バイドゥ医師」(病院の予約などができるネット上のプラットホーム)は目下、全国287都市、計2624カ所の病院をカバーしている。
 このうち一級公立病院は500カ所、医師数は15万人を超えており、計180万人近くにサービスを提供している。

 教育分野では、最近バイドゥは教育事業部を設立し、教育機関に教育サービスの解決プランや核心的ユーザー育成システム、核心的ユーザー普及システムなどのサービスを提供している。
 一方、テンセントは前後して教育事業者の「跨考(異なる専門に跨る受験)教育」や教育アプリの「優答」に投資した。

 交通や不動産・ホテル、観光を見てみよう。
 アリババは投資ラウンドのシリーズDの相乗りサービス「Lyft」に2億5000万ドルを主導的立場で投資し、タクシーの配車関連には数千万ドルを投資した。

 実際、医療や教育、交通、不動産・ホテル、観光などいくつかの業種に限らず、消費者に関連するあらゆる業種のうち、BATが足を踏み入れていない場所を探すのは、もはや非常に難しくなっている。
 ネット企業の花形たちはいまや科学技術発展のフロンティアに足を踏み入れ始め、未来を定義づける技術の進歩を促している。
 グーグルとアップルは自動運転車に巨額を投じ、バイドゥも「バイドゥ自動車大脳」を核心的技術とする自動運転車の研究開発を発表した。

 バイドゥの時間測定によると、烏鎮のインターネット大会で習近平国家主席は、バイドゥの展示ホールに10分46秒間立ち止まり、少し前に走行テストを成功させた自動運転車を観察した。
 そして
 「技術の自主的な研究開発レベルはどうか」
 「スピードはどれだけ出せるのか」
 「コストはどうか」
 「いつ大規模な商用化を実現できるのか」
などと続けざまに質問した。

◆もはやビッグデータの時代
すでに中国文化の一部に

 「ネットが新経済により大きな役割を発揮することに、ネットリーダーたちは気付いている」
と雑誌『中国情報化』の執行社長、電子工業出版社研究院主席アナリストの熊偉氏は見る。
 中国最大のポータルサイトである「新浪」の曹国偉董事長は2015年3月、
 「『インターネット+(プラス)』は新経済の形態を代表している」
と述べた。
 彼はまた、ネットが伝統的な業界を変える「4段階論」を打ち出している。

第1段階はネット広告などのマーケティング利用で、
第2段階はチャンネルのネット化、つまりEコマースだ。
第3段階はシャオミー(小米)のスマートフォンのような製品のネット化。
第4段階は全面的なネット化で、金融、教育、旅行、健康、物流などを含めたネット・プラス伝統的業種
だと言う。

 このコラムではEコマースについて取り上げたことがあるが、ビッグデータを生かす例としては、こんな事例がある。
  「北京朝陽大悦城がバイドゥのビッグデータ技術を使い、消費者グループを細分化し、タイミングよく優待情報(携帯電話のショートメール)を出して共同購入活動を実施した。
 9月19日の開業記念日1日だけで売上額は2600万元に達し、ビッグデータの貢献率は10%を超えた」
とバイドゥの王副総裁はいう。
 「ビッグデータはいま商業に『新エネルギー』を付与している」
と、王副総裁は付け加える。
 インターネットを突破口にし、技術の進歩率を高めて経済成長を保ち、インターネットを「法」として新経済を形作ることは、政府と企業界のコンセンサスになっている。
 コンセンサスを社会に広げるための政府による表現には
 「新型国家」
 「ハイエンドなサービス業(スマート化、専門化、高効率化したサービス業)」
 「大衆の創業と万民のイノベーション」
といったものがある。
 「BATはすでに中国の主要なエネルギー付与グループになった」
と、産業界は表現している。

 「エネルギーの付与」はBATが新経済を形成し、社会的価値をもたらす具体的な行動だ。
 電子政務やスマートシティ、スマートマニュファクチャリングなど、その例は非常に多い。
 都市サービスはテンセントとアリババの戦場である。
 深?や佛山、武漢、上海などの住民はすでに「ウィーチャット(微信)」を使った病院予約や交通情報の問い合わせ、外国ビザの予約に慣れている。

 BATの放つ影響から見れば、インターネットがつくった新経済はすでに根を下ろしているといえる。
 まさにインターネット研究の専門家・姜奇平氏の分析のように、中国という長い歴史持つ存在は多元化・トポロジー化したピアツーピア(P2P)、ハイパーリンクのインターネットと同形で、相性がよい。
 もし彼の分析に間違いがなければ、インターネットがつくる中国の新経済は、必ず文化面においてより大きな支えを獲得し、未来はいっそう多くの栄養分をくみ取って、大きく成長するだろう。

 2016年の中国経済を見る場合、インターネット発展の勢いはますます強まっていくに違いない。
 政府が経済政策の面ではどんどん支援しているだけでなく、マイクロソフト、グーグル、アップル、シスコ、日立などの海外企業も、いままで以上に中国政府のインターネット政策に協力的になっている。
 インターネット・プラスは中国の経済発展にエネルギーを与えており、その成長はしばらく継続するだろう。



レコードチャイナ 配信日時:2016年1月24日(日) 14時20分
http://www.recordchina.co.jp/a127651.html

中国の15年のネット人口は6億8800万人、
普及率が5割超える―中国紙

 2016年1月23日、新京報によると、中国インターネット情報センター(CNNIC)が22日に公表した報告書で、中国のネットユーザーが6億8800万人に達していることがわかった。

 中国のネットユーザーは、2014年は6億4900万人だったが、昨年は6億8800万人に達し、ネット普及率は50.3%となった。
 このうち、
 農村部のユーザーは1億9500万人、
 都市部のユーザーは4億9300万人
となっているが、普及速度は農村部が都市部のおよそ2倍となっている。

 また、スマートフォンなど携帯電話でインターネットを利用する人は6億2000万人で、総ネットユーザー数に占める割合は2014年の85.8%から90.1%に上昇した。
 一方で、パソコンやタブレットの使用率は減少しているのが特徴だ。

 このほか、ネットユーザーの1週間のネット利用時間は26.2時間で、前年の26.1時間からほぼ横ばい。
 1日平均にすると「3.7時間」という結果になった。
 ウイルス感染やパスワード流出などの被害に遭った人は42.7%と前年から3.6ポイント減少した一方で、ネットショップなどで詐欺被害に遭った人は16.4%と前年から3.8ポイント増えた。



サーチナニュース 2016-01-24 07:43
http://news.searchina.net/id/1600582?page=1

ネットショッピング全盛の時代、
日本人が実態店舗で買い物する理由?=中国メディア

 中国メディア・新聞晨報は21日、中国で爆発的な成長を遂げているネットショッピングが、日本ではあまり流行しない理由について論じた文章を掲載した。

 記事は、ここ数年で中国のネットショッピング業界は飛躍的な発展を遂げ、「天文学的な数字の販売額」を記録すしていると紹介。
 その一方で、日本では中国ほどネットショッピングが一世を風靡しておらず、
 「みんな実体店舗で買い物をしたがる」
とした。

 その理由の1つとして、「もちろん、状況は変化しつつあるが」と断ったうえで、
 日本に専業主婦が数多くいることを挙げた。
 そして、
 「旦那が会社に、子どもが学校に行ったあとの時間、
 「悠々と街をぶらつき、ショッピングするのだ」
と解説した。

 一方で「それが根本的な原因であると考えてしまうのは、誤りだ」とし、
★.日本の消費者を実体店舗へと向かわせる決定的な理由は「
 世界一流」と称される、消費者にとって心地よい優れたサービスが存在するからである
と論じた。

 記事は、日本経済が1990年初頭に下り坂に入って以降、商店は客を集めるために「商品の品質に加えて、自らのサービスの質を絶えず高め」てきたと紹介。
 日本の店員1人1人が
 「お客さんがいるからこそ衣食に困らない。
 良質なサービスがあってこそお客さんは信頼してくれ、消費してくれる」
ことをはっきりと認識しているのだとした。

 記事が指摘している「主婦のショッピング」も「実体店舗のサービスの良さ」も、確かに日本で実体店舗での買い物が好まれる理由として確かに存在するだろう。
 このほかに、「実体」のないネットでの取引に対する抵抗感、さらには「物を買う」という行為に対する慎重さといった要素も考えられそうだ。







【激甚化する時代の風貌】



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