2016年1月21日木曜日

中国製造業に必要なもの(3):外資撤退、資金流出、2020年説「中国は世界の工場ではなくなる」

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時事通信 2016/1/20 21:54
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20160120-00000108-jijnb_st-nb

日本の対中投資25%減=人件費上昇で3年連続

 【北京時事】中国商務省は20日、
 2015年の日本からの対中直接投資(FDI、実行額ベース)が前年比「25.2%減少」した
と発表した。
 円安や中国の人件費上昇を受け、3年連続で前年割れとなった。
 2014年は「38.8%減」だった。

 世界全体の対中投資は6.4%増。
 東南アジア諸国連合(ASEAN)からが22.1%増、
 欧州連合(EU)からが4.6%増となったが、
 米国からは2.0%減少した。 



サーチナニュース 2016-01-20 06:32
http://biz.searchina.net/id/1600182?page=1

相次ぐ外資撤退
・・・中国人は撤退を惜しむ必要などない!=中国報道

 2016年を迎え、中国発の世界同時株安が起き、世界各国で株価が急落するなど世界経済の先行きに対して不安が高まるなか、当の中国は中国経済の先行きについて「明るい」と見ているようだ。

 中国の製造業はこれまで、安価な人件費を強みとして受託製造の分野で大きく成長してきたと言える。
 自社のブランドを冠した製品を生産するのではなく、各国のメーカーのブランドを冠した製品を代理で製造するというものだ。
 だが、人件費の上昇によって、各国のメーカーが中国企業に生産を発注するメリットは薄れている。

 一方、中国メディアの中国商網は「中国製造業は徐々に受託製造を別れを告げる」としたうえで、中国製造業はいまだ優勢を失っていないと題し、世界の工場として役割を果たしている中国企業に変化が求められている事や、中国経済の明るい未来などを紹介している。

 記事はまず、中国では生産年齢人口が減少に転じ、人件費が上昇していることを指摘し、東南アジア各国の労働力の優位性が日に日に明確化してきていることを指摘。
 中国の人件費はすでにインドネシアの1.4倍、ベトナムの2倍、ミャンマーの3倍前後にまで上昇し、
かつての人件費の安さという強みが失われていることを伝えている。

 さらに、人件費の安さを背景に中国企業に製造を委託していた企業や、中国国内に工場を置いて生産を行っていたメーカーが中国から相次いで撤退していることを指摘しつつも、
 「中国人は外資の撤退を惜しむ必要はない」
と主張。

 なぜなら中国は永遠に「世界の工場」としての立場にあり続けるわけにはいかないからであり、そもそも中国の受託製造は製品組み立てだけを担当するケースもあり、薄利であるためだと論じた。

 また記事は、中国国務院が2015年8月にハイエンド製造業強化の国家戦略計画「中国製造2025」を発表したことを挙げ、
 「2025年には製造業強国となり、イノベーション主導、質の優先、環境保全促進、構造改革の新しい道筋を付ける」
という目標を達成することになると主張。
 また、中国には13億人の人口がおり、市場としての潜在能力も高いため、中国の製造業は受託製造から脱却すべき時を迎えているのだと指摘した。

 中国経済の報道について、近年は良くない内容の報道が目立つようになっている。
 中国発の経済危機が憂慮され、中国政府が過度の市場介入を行い各国から批難されるなど、先行きに不安を感じる情報が溢れている。
 果たして10年後の中国製造業は世界をリードする水準に成長できているのか、予測は困難を極める。



レコードチャイナ 配信日時:2016年1月20日(水) 22時50分
http://www.recordchina.co.jp/a127303.html

中国は2020年に「世界の工場」ではなくなる!―米誌

 2016年1月19日、環球時報は米誌フォーブスが
 「2020年に中国の廉価な労働力は終えんを迎える」
と指摘する記事を掲載したと報じた。

 記事は、
 「生産のグローバル化が進む中、アップル、ゼネラル・エレクトリックなど大企業は人件費が最も安い国を生産拠点として選んできた」
と指摘し、これまでは中国が最初の選択先になっていたと紹介。
 しかし、現在は状況が変わり、
 2010年以降、中国の製造業のコストは世界最速の年平均16%というペースで上昇
 この背景にあるのが急速な高齢化と生産効率の向上
だとしている。

★.高齢化に関しては1970年代に始まった「一人っ子政策」に言及し、
 「結果として社会の急速な高齢化を招き、労働人口の減少を引き起こした」
と論じる一方、マッキンゼー&カンパニーのデータを引用して
★.「労働人口は減ったが、2007年から12年にかけて中国の労働者の生産効率は年平均11%上昇した」
と紹介。

 中国と比較する形で
 「タイは7%、インドネシアは8%」
とのデータを並べ、
 「労働者の生産量が増えれば増えるほど賃金に対する要求も高くなる」
と生産効率と人件費上昇の関係について述べた上で、
 「2010年からの4年間で中国製造業に対する海外からの直接投資は20%減った」
と海外企業が中国以外での生産にシフトしている動きを数字で示した。

 記事によると、「2020年説」を示しているのは中国で活動する欧州企業が設立した団体の専門家で、同専門家は
 「2020年までに中国での生産コストは2〜3倍に拡大し、
 “世界の工場”という称号も消え去るだろう」
と予測。
 記事は中国に代わる新たな生産拠点の一つとして東南アジア市場を挙げ、
 「現在のコストと移転先のコストに十分な開きがなければ工場を移すメリットはない」
と指摘、
 一例として「中国の労働者が1ドル(約120円)を得る作業をタイの労働者ならその4割の賃金、インドネシアなら1割以下でこなす」
と紹介し、
 「中国に工場を持つ一部の海外企業は中国に工場を残しつつ
 別の国にも生産拠点をつくる『中国プラス1』戦略を採用している」
と説明している。



BBCニュース  2016.1.20 視聴時間 02:08
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45833

中国の成長率が25年ぶりの低水準 閉鎖された製鉄所で

中国の昨年の国内総生産(GDP)伸び率は物価変動の影響を除いた実質で6.9%と、25年ぶりの低水準となった。
年明けの株価下落が日米などの主要株式市場を動揺させ、景気減速が世界経済に与える影響に多くの目が集まるなかでの発表だった。
中国政府が経済を消費・サービス主導に転換しようとするなか、成長率の低下は大方の予想を裏切るものではなかったが、構造転換を急ぎ過ぎることへの警告も一部で出ている。
そもそも統計の数字が正確なのか、地方の状況をもとに疑念を呈する向きも依然としてある。
中国経済を覆う不透明感は成長率の低下以上に長期的な課題なのかもしれない。
需要の大幅減による鉄鋼不況で閉鎖された製鉄所と職を失った人たちをBBCのスティーブン・エバンズ記者が取材した。



サーチナニュース 2016-01-21 14:13
http://news.searchina.net/id/1600391?page=1

日本の対中投資の魅力薄れる?
先行き悲観視する日系企業も増加=中国

 中国メディアの中国日報は15日、日本貿易振興機構(JETRO)が行った「2015年度在アジア・オセアニア日系企業実態調査」の内容を紹介、中国進出日系企業の事業展開の方向性について伝えている。

 調査によれば、中国に進出している日系企業の今後1-2年の事業展開の方向性として
 「拡大」すると回答した企業は「38.1%」
だった。
 これについて、記事は「過去17年間の最低値」と指摘、
 14年度調査時「拡大」と回答したのは46.5%、
 13年度は54.2%、
 12年度は52.3%
だったため、ここ数年で明らかに減少傾向を示している

 記事は
 「売り上げの減少」、
 「コストの増加」、
 「成長性、潜在力の低さ」
などが今回の調査における中国進出日系企業の悲観的な見方の主要な要因であると紹介している。
 コストには調達コストや人件費が含まれるが、
 賃金上昇が悲観的な見方の一因になっている
ことが分かる。

 12年度から14年度調査時も「コスト増加」は中国進出日系企業の悲観的な見方の主要な要因の1つだった。
 さらに「経営上の問題点」についても、12年度から15年度調査すべてにおいて「従業員の賃金上昇」が1位だった。
 中国の賃金上昇が投資活動にマイナス影響を及ぼしていることは明らかだ。

 しかし記事は楽観的な見方をする企業と悲観的な見方をする企業とにそれぞれ明確な特徴があると指摘。
 例えば製造業に携わる日系企業は比較的悲観的な見方を示しており、その中で今後1-2年の事業展開の方向性として「拡大」と回答したのはわずか34.9%だったとする一方、
 非製造業に携わる日系企業は比較的楽観的な見方を示しており、そのうち49.3%が「拡大」と回答したことを紹介した。

 この調査結果は中国の産業構造が変化してきており、第3次産業が拡大していることを示すともいえる。
 だが、日本の対中投資が近年、減少傾向にあることからも分かるとおり、
 中国国内における事業環境が日本企業にとって魅力が薄れてきていることも事実と言えよう。


レコードチャイナ 配信日時:2016年1月22日(金) 8時10分
http://www.recordchina.co.jp/a127506.html

日本企業の対中投資が3年連続で縮小、
2015年は25%減

 2016年1月21日、環球網は
 「日本企業の対中投資が昨年は25.2%減少した」
 と伝える日本メディアの報道を紹介した。
 これに中国のネットユーザーがさまざまな意見を寄せている。

 中国商務部は20日、2015年の海外からの投資状況について説明し、
 「主要国・地域からの投資は、総体的には安定を維持している」
と指摘。
 東南アジア諸国連合(ASEAN)、欧州連合(EU)および中国が掲げる「一帯一路」に関連する国々からの投資はそれぞれ前年に比べ22.1%、4.6%、25.3%増え、
 米国からの投資は2%、日本からは25.2%減った
と発表した。

 環球網によると、日本メディアは
 「日本企業の対中投資の減少は3年連続」と紹介、
 人件費の上昇に言及したほか、
 中国経済の先行きに対して日本企業が慎重になっている
と伝えた。



時事通信 2016/1/23 08:29
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20160123-00000023-jijnb_st-nb

成長息切れ、好転見えず
=「鉄冷え」で経営破綻も
-市場の中国不安続く

 中国の2015年の経済成長率が25年ぶりの低い伸びにとどまった。
 世界経済のけん引役となってきた中国の成長は息切れを起こし、景気が反転する兆しは見えない。
 中国経済の屋台骨だった製造業では、経営破綻する企業も出始めた。
 世界の金融市場を揺るがしている中国経済の先行きは予断を許さない状況だ。

 ◇電気止められ操業停止

 「若い者はみんな、新しい職を探して出ていった」。
 河北省の農村部にある中堅鉄鋼メーカー、唐山松汀鋼鉄で40年働いたという白髪の女性は、ひっそりと静まり返った従業員宿舎の前で肩を落とした。
 突然の操業停止で7000~8000人いた従業員は事実上の解雇通告を受けたという。
 15年の中国の粗鋼生産量は前年比2.3%減と異例の前年割れ。
 唐山松汀は昨年11月、7カ月の賃金未払いの末に操業を停止した。
 従業員相手の飲食店も軒並み閉店し、「企業城下町」はゴーストタウン化。
 70代の男性は「息子も去り、高齢者だけ取り残された」と嘆く。

 中国メディアによると、同社は昨年1~9月に4億7400万元(約85億円)の赤字を計上。電気料金9700万元(約17億円)が未納となったため、電力供給を止められて操業できなくなった。
 元従業員は
 「会社側は倒産でないと言い張っているが、操業再開は全く見込めない」
と話した。

 ◇不動産不振で打撃

 かつて日本でも「産業のコメ」と呼ばれた鉄鋼業。
 その不況の闇は深い。
 鋼材はこれまでの5年間で半値以下になっており、特に過去1年の下落が激しい。
 需要を無視した過剰生産と不動産市場の不振が背景にある。
 中国の鉄鋼製品はマンションの柱などに使う建築材料向けが中心。
 不動産市場が好調になると中小メーカーが急激な増産に走り、不動産が不振に陥ると値崩れを起こす。
 日系大手の関係者は、その構造的問題が解決されない限り「状況は変わりようがない」と語る。

 ◇「負の遺産」

 現在の景気減速の背景にあるのは、2008年のリーマン・ショックを受けて打ち出した4兆元(約72兆円)の大型刺激策だ。
 世界各国は当時、中国の対策を称賛したが、今や、その「負の遺産」が中国経済の足を引っ張る。
 政府の号令で、やみくもな設備投資と住宅建設に突っ走った結果、過剰設備と住宅在庫に加え、「借金の山」が残った。
 世界の金融市場は新たな景気対策に期待するが、政府は08年当時のような思い切った措置に、慎重な姿勢を崩さない。
 習近平指導部は経済成長が徐々に減速する「新常態(ニューノーマル)」の局面を容認する姿勢。
 世界の株式市場は今後も「中国不安の売り」に悩まされそうだ。



サーチナニュース 2016-01-26 06:32
http://biz.searchina.net/id/1600727?page=1

チャイナリスク回避に歯止めがかからない!
減少する日本の対中投資

 中国で事業を展開している日本企業関係者の間でチャイナ・プラス・ワンという言葉を知らない人はおそらく皆無だろう。
 中国に一極集中で事業や投資を展開するのではなく、中国の各種リスクを避けるために投資先を分散させるべきであるとの考え方だ。

 近年、中国経済の減速とともに、日本の対中直接投資は減少傾向にある。
  中国商務部の沈丹陽報道官は20日、日本の2015年の対中直接投資は前年比25.2%減となったことを発表した。
 日本の対中直接投資の減少は何を意味するのだろうか。

 中国メディアの参考消息はこのほど、日本メディアの報道を引用し、日本の対中直接投資が減少したのは3年連続だとし、中国経済の減速および人件費の上昇によって日本企業の中国離れに歯止めがかからない状況だと報じた。

 記事は、日本の対中直接投資が減少し続けている理由として、
★.中国経済の減速のほか、
★.人件費の上昇、さらに
★.中国政府の政策の変化
という3つの要素があると紹介。
 日本だけでなく、米国と台湾からの対中直接投資が減少しており、これまで外資を積極的に導入することで経済成長につなげてきた中国の経済構造に変化が起きていることを紹介した。

 一方、沈丹陽報道官によれば、15年の中国への直接投資は前年比6.4%増だった。
 全体的に見れば対中直接投資は今なお増加しており、
★.対中直接投資を拡大している国・地域も存在する。それは東南アジア諸国およびEU諸国だ
 沈丹陽報道官は、中国政府が推進する「一帯一路」戦略とかかわりがある国・地域からの対中直接投資は増えていると述べている。
 対中直接投資をめぐって日本と対象的な行動を見せる東南アジア諸国やEU諸国だが、中国経済の鈍化が続くなか、どちらの判断が果たして正しいのだろうか。


ロイター  2016年 01月 25日 18:09 JST
http://jp.reuters.com/article/china-markets-outflows-idJPKCN0V3074?sp=true

焦点:中国からの資本流出、食い止めが困難な理由

[上海 25日 ロイター] -
 中国が政策対応の面で今最も頭を悩ませているのは、企業や個人が一斉に資金を海外に移動させている状況だ。

 国内不動産市況の冷え込みや株安も、海外への資金流出を助長している。
 そして流出額が積もり積もって相当大きくなれば、政策担当者にとっては国内の借り入れコストの引き下げ努力が無に帰するばかりか、生産的な投資に充当すべき資金不足の問題が再燃するリスクがある。
 一方で資産運用会社は、資金流出の流れを商機にして利益を稼いでいる。
 ある運用会社のトップは昨年12月終盤に開いた顧客向け説明会で、
★.中国経済が早晩上向くことがなく、海外投資に妙味がある
という理由をいくつか挙げた。
 それは高齢化の進行や人民元の対ドル相場下落が続いていることなどだ。
 このトップは、香港の富豪である李嘉誠氏が中国資産を圧縮して西欧で公益や通信などの資産を購入している動きも引き合いに出した。

■<合法化>

 中国が人民元高局面で随時進めてきた改革のおかげで、国内企業や個人投資家はかつてないほど合法的に海外に資金を移せるようになった。
 彼らは
★.不動産や外国株・債券などを買えるし、さらなる
★.ローンの担保にできる外国保険を購入したり、
★.外国企業を丸ごと買収する
ことさえ可能だ。
 投資先は欧州にとどまらず、上海の投資会社の証大は国内投資家の資金をアフリカの鉱山や不動産、天然ガスプロジェクトなどに振り向けることを計画している。

★.海外に投資する手段の1つは、
 国内のミューチュアルファンドに外国株の購入を認めている適格国内機関投資家(QDII)制度だ。
 ある国際投資銀行の富裕層資産運用担当者は
 「ヘッジの妥当性を認識している顧客がわたしのところにやってくる。
 QDIIは非常に高い人気があるので、ある証券会社はQDIIを利用するためだけの手数料を6%に設定しているが、それでも支払う人々がいる」
と話した。
 別の上海の資産運用関係者も、QDIIの借り入れコストは需給ひっ迫によって最近数週間で高騰していると認めた。

■<衰えない投資需要>

 政策担当者は、中国企業がバリューチェーンの上方に位置できるようになるために必要な研究開発投資をしないで、その代わりに幹部が海外の豪華マンションなどに資金を回してしまう事態を懸念している。
 ただ残念なことに、中国政府にとって海外への資金流出を食い止めるのは極めて難しい。
★.多くの投資手段は合法である上に、
 ある意味で中国の国益にかなうもの
だからだ。

 例えば当局は中国企業が海外企業をより買収しやすくして世界における同国の影響力を高めたり、外国の同業者取得による中国企業のバリューチェーン上位化を狙っているが、合併・買収(M&A)の形を取っている資金流出を抑制すると、戦略的な投資までも阻むことになりかねない。
 外国投資が中国国内に資金をとどめられてしまうとみなすようになれば、当局が推進する人民元の国際化計画も崩れ去るだろう。
 こうした中で複数の運用担当者によると、中国当局は打ち出せる対応策として、QDIIなどの投資枠を停止したり、銀行に資金流出の引き締めを迫るなどの措置を講じている。

 当局が今後、さらに資金流出防止の手を打ってくるかどうかはまだ分からない。
 しかし海外投資需要が衰えると予想する声はほとんど聞かれない。
 コメルツ銀行(シンガポール)のアナリスト、ハオ・ゾー氏は
 中国国内に存在する個人や企業の膨大な貯蓄資金は現時点で、
 国内投資からは妥当なリターンを得られないのは明らかだ。
 その結果、資金流出が長期化し得るあらゆる機会がある」
と指摘した。

(Samuel Shen、Pete Sweeney記者)



ダイヤモンドオンライン  2016年1月27日 陳言 [在北京ジャーナリスト]
http://diamond.jp/articles/-/85284

中国で外資企業が歓迎されていないと感じ始めた

 在中国米国商工会議所(AmCham China)とコンサルタント会社のベイン・アンド・カンパニー(Bain&Company)は1月20日、2016年度の中国ビジネス環境調査報告を発表した。
 それによると、中国の米国企業は規制と景気減速という二重苦に直面しているが、大多数の企業が新たな発展の可能性を模索するなかで、中国は依然として海外投資の重点対象国のトップ3に入っている。
 報告書によると、外国企業が中国で歓迎されていると感じる度合いは幾分下降傾向にあり、法整備の曖昧さからくる困惑も増え、一貫性に乏しい規制に関する解釈、およびライセンス資格の取得困難などがあるものの、調査に協力した企業の多くが中国市場の潜在力について楽観的であることが明らかになっている。
 今回の調査は、在中国米国商工会議所の会員企業約500社の協力を得て実施されたものである。

◆外資の収益は減少するも中国は依然として有力な投資先

 報告書によれば、調査に協力した企業の過半数が中国を主要な投資対象国と考えているが、昨年度の収益増大は景気減速の圧力が倍増するという困難な環境の中で確保されたものだった。
 回答企業の45%が、昨年度の収益状況が2014年並みかそれ以下だったとしている。
 また64%の企業は2015年度に利益を計上したが、過去5年間で最低水準だったと回答した。
 業界によって、業績はさまざまである。
 たとえば、サービス業全体の約3分の2の企業は利益を伸ばしたが、工業および資源産業の半数近くの企業では利益が減少している。

 中国の経済環境は厳しさを増しているが、依然として肯定的な要素も存在している。
 その他の発展途上国の市場と比べても、中国市場は米国企業の投資先として前列に位置しているからだ。
 60%の企業が中国市場を投資先のトップ3に置き、25%の企業は投資先の第1候補に選んでいる。
 しかし、中国市場にビジネス・チャンスは多くあるものの、回答した企業の4分の1は、過去3年間に生産能力の一部を中国以外に移転した、あるいは今後移転する計画がある、としている。

 2016年を展望するとき、46%の米国企業は従業員の増員を予定しているが、20%超の企業は削減を計画している。
 中国市場に注力する米国企業にとって、イノベーションは最重要課題となっている。
 90%を超える企業が、中国市場で業績を伸ばしていくためにはイノベーションが最も重要になる、と見ているようだ。

 回答企業の40%は、
 中国で得られる収入の半分以上が現地設計、現地開発、あるいは現地のニーズにあわせてつくったオーダーメイド製品によるものである
としている。
 研究開発型企業は、「デジタル化」がイノベーションの重点になると見ている。
 70%の企業は、デジタル化の進展が中国市場における拡販、マーケティング、小売り、および顧客管理にとって極めて重要になると考えている。

◆外資への開放重視を示す習政権の「3つの不変」

 中国商務省が同じく1月20日に発表したデータによると、昨年、中国の外資受け入れは増加を維持した。
 昨年、全国に設立された外資投資企業は2万6575社で、前年同期比11.8%増であった。

 また、実際に使用された外資は7813.5億元(約1262.7億ドル)で、同6.4%増であった(銀行、証券、保険分野は含まず)。
 しかし、固定資産投資の入金済み資金のうち、中国が利用した外資は29.6%と大幅に下落し、下落幅は1.5ポイントとなった。
 データを見ると、外資の対中投資の伸びは減速し、一部の国・地域の投資減速が顕著となった
 外資導入は中国の改革開放の大きな成果であり、
 中国の政策決定者、政府発の文書が外資歓迎の面でマイナスの態度を示したことは、これまでには一度もなかった。

 習近平国家主席は昨年、外資問題について、「3つの不変」を打ち出した。
 中国の外資利用の政策は「不変」、
 外資投資企業に対する合法的権益の保護政策は「不変」、
 各国企業の中国における投資振興により良いサービスを提供する政策は「不変」
の三つである。
 中国が開いた大きな門は永久に閉じられることはなく、中国は対外開放重視をさらに深めていく、と習主席は強調した。

 中国経済は絶えず下降圧力に直面し、投資の伸びは絶えず鈍化し、昨年の資本流出は加速した。
 こうした状況下で、中国が外資の支持を獲得することは極めて重要である。
 従って、国家指導者の姿勢は中国の長期政策の方向性と中国政府の本心の考えを代表している、と確信することができる。
 しかし、外資の対中投資に対する感覚には変化が生じ始めている。
 上述した在中米国商工会議所「中国ビジネス環境年次調査」では、3分の1以上の企業が昨年の営業収入は前年並みあるいはマイナスだったと回答し、この比率はここ5年来で最も高いものであったと書いた。

 ただ営業収益の下落は、中国に進出している外資企業の主も重要な問題ではない。
 外資企業が中国で直面する最大の試練として、しばしば指摘されるのは
 「監督・管理の解釈の不一致」と「法律の不明確」であり、
 これまではこのことに対する懸念がトップになることはなかった。
 回答企業の77%は、
 中国における外資歓迎の度合いは以前に比べて低下している、
と感じている。

◆中国政府の意図と外資企業の利害にギャップ

 外資企業の中国における経営環境の変化に対する反応は、彼らの実体験による感覚から来ているものであり、その大部分は真実のものだろう。
 それでは、外資の感覚と中国政府の外資に対して示している歓迎の態度との間には、どうしてギャップがあるのだろうか? 
 そうしたギャップは、以下の諸点から生じていると考えられる。

第一に、中国は経済の長年にわたる持続的発展に伴い、過去には資本不足、技術不足に直面していたが、現在は大きな変革が起き、資本の充足した市場に変化しただけでなく、相当部分の資本は「海外進出(走出去)」をも果たしたためである。
 技術が相対的にローエンドの市場では、一部の中国企業は外資企業のライバルになり始めた。
 総じて見れば、中国は外資を歓迎しなくなったのではなく、外資に対する需要に大きな変化が生じ、かつては外資が来てくれさえすればそれだけで良かったが、現在では選択できる立場になっている。
 産業分野、汚染・排ガス、エネルギー消費の水準向上、投資力の強化、税収増に対する貢献などが、外資吸収の際に検討すべき指標となっている。
 一言で言えば、中国は外資を選び始めたのだ。

第二に、コア領域で本国企業を育成しようという中国の意図が強まっているためである。
 影響力のある産業システムを構築し、競争力のある国内企業を育てることが、中国の対外開放の目標でもある。
 コア領域で、国内企業の発展を支持し、国内企業の競争力を向上させるために、発展に関する政策・資源利用の面で、多かれ少なかれ国内企業に「傾斜」している。
 例えば、ファーウェイ(華為技術 Huawei Technologies)、中興通訊(ZTE)などの電信設備メーカーは中国で勃興し、世界市場に参入した典型である。
 現在、国内ではハイエンド技術、サービス水準の高い中国企業は多いとは言えず、少ない、と言うのが普遍的な認識となっている。

第三に、「国家の安全保障」が外資発展の阻害要因の一つになっているためである。
 ここ数年、政策決定層の安全保障問題に対する関心が強まり、国内産業界、政府機関が「国家の安全保障」を理由に、国内企業を優先的に発展させ、外資の製品、サービスを置き換えようとしている。
 この過程は往々にして複雑で、政策的な影響力は一つの面にすぎず、外資に取って替わることができるか否かは中国企業の能力次第である。

 ここ1、2年の外資に対して「殺傷力」の大きかった事件といえば、「脱IOE」問題であった。アリババが構想した「脱IOE」の概念(本来の意味はアリババのITのフレーム構造からIBM小型機、Oracleデータバンク、EMCメモリー装置を除去し、自らがオープンソースソフトウェアを利用して開発したシステムに置き換えることだった)は、結果的には中国の金融業、国営企業界に旋風を巻き起こし、中国銀行業監督管理委員会に「脱IOE」の行動を取らせることになった。
 しかし、国内企業の関連分野における技術格差があまりに大きいため、「脱IOE」を拡大することはできなかった。

第四に、知的財産権保護に対する憂慮が外資投入と発展に影響を与えているためである。
 外資は中国の「海賊版」が外資の知的財産権を侵害することを極めて憂慮しており、イノベーション、モデルチェンジを目指す中国は、技術移転が可能で知的財産権を所持する外資企業を歓迎しているものの、知的財産権に対して「傲慢」過ぎる外資に対しては別の見方もある。
 全世界で独占的なビジネスを展開しているクアルコムは昨年初め、独占禁止法違反で国家発展改革委員会によって60.88億元(約9.7億ドル)の罰金を課せられ、技術移転に渋い外資に対して「歓迎できない見本としての測量ポール」を立てた。

 一方、技術移転、イノベーションに協力的な外資企業には、相対的に寛大な環境を提供している。
 従って、外資のこうした面における反応は、今後、中国における事業を発展させる環境の上で、大きな影響要因の一つとなろう。

 目下、中国と外資の関係は一種の「新常態」に入っており、中国は依然として外資を必要としているが、外資側は変化した中国に適合しなければならない。
 双方が相互に適応することによって初めて、さらに好ましい協力を推進することができるのである。


レコードチャイナ 配信日時:2016年1月30日(土) 14時0分
http://www.recordchina.co.jp/a127440.html

中国企業のM&A、15年は過去最高を更新―中国メディア

 2016年1月27日、人民網によると、コンサルティング会社・プライスウォーターハイスクーパース(PwC)は26日に北京で、最新の報告書
 「2015年中国企業合併買収市場の回顧と2016年の展望」
を発表した。

 それによると、経済のモデル転換が中国国内での戦略的合併買収(M&A)取引の力強い伸びを後押しし、中国企業の15年のM&A取引は件数が前年比37%増加し、金額も同84%増加して7340億ドル(約86兆7000億円)に達し、いずれも過去最高を更新した。
 1件あたりの取引額が10億ドル(約1180億円)を超えた取引は114件に上り、こちらも過去最高を更新した。

 同報告書によると、15年には科学技術と金融サービスが中国企業の海外M&Aの人気投資先となり、このように企業を駆り立てた主な要因には、科学技術産業の将来の高度成長に対する投資家の期待、科学技術産業で徐々に進められている再編、中国の科学技術金融・決済事業の急速な発展により生じた資金調達需要などがある。

 PwC中国北方エリア企業M&Aサービス部門の銭立強・代表パートナーは、
 「私たちは活発な中国国内の戦略的投資取引と海外でのM&Aに後押しされて、2016年には中国企業のM&A取引の伸びが20%を超えると考える。
 科学技術産業は引き続き業界の注目点になるだろう」
との見方を示した。

(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/武藤)


レコードチャイナ 配信日時:2016年2月8日(月) 22時50分  
http://www.recordchina.co.jp/a128661.html

日本企業は中国から続々撤退などしていない?
中国メディア報道に「日系企業の撤退を歓迎」
「かなりの中国人が失業するぞ」―中国ネット

 2016年2月7日、中国メディアの環球時報は、日本企業は中国から続々と撤退しているわけではないとする記事を掲載した。

 記事では、日本貿易振興機構(JETRO)が公表したデータによると、中国で日系企業が今後1〜2年で
★.事業を拡大する見通しと回答した企業が38.1%、
★.現状維持が51.3%
だと指摘。
 一方、
★.縮小が8.8%、
★.第三国へ移転・撤退が1.7%
で合わせて10.5%にすぎず、2014年と比べても3.0%増加しただけで、
 「日系企業が中国から続々と撤退しているというのは事実ではない」
と論じた。



レコードチャイナ 配信日時:2016年2月9日(火) 6時0分  
http://www.recordchina.co.jp/a128347.html

なぜ日本の対中投資は減少したのか?―中国紙

 2016年2月4日
 2015年には世界の対中国投資が前年比6.4%増加した。
 中国経済の吸引力は健在で、グローバル投資が相次いで中国に押し寄せる流れの中、
 日本の対中投資だけは「引き潮」ムードを示した。

 中国商務部(商務省)がこのほど発表したデータでは、
 15年の日本の対中投資額は同25.2%減少して32億1000万ドル(約3763億円)にとどまり、3年連続の減少となった。
 同部の沈丹陽(シェン・ダンヤン)報道官は今月3日の定例記者会見で、
 「日本は中国の重要な投資元国だ。
 15年末までに、日本が中国に設立した企業は累計5万社に迫り、
 実行ベース投資額は約1018億2000万ドル(約11兆3000億円)に達し、
 中国の国別外資導入額で3位だった」
といい、日本の投資の重要な位置づけを確認すると同時に、
 「ここ2年ほど、日本の対中投資は確かに減少傾向にあり、
 14年は同38.8%減少し、
 15年は同25.8%減少した。
 こうした現象をもたらした原因は主に次の4点だ
として、4点を具体的に説明した。
 国際商報が伝えた。

(1):近年、人民元は日本円に対して値上がりが続き、日本企業の対中投資コストが上昇し、製品輸出型の日系企業は競争力が低下した。 

(2):中国経済が「新常態」(ニューノーマル)に入り、経済ペースが鈍化し、中国の労働力コストや土地コストなどのコストが持続的に上昇し、少数の日本企業が中国での発展見通しに懸念を抱き、対中投資について様子見の態度を取っている。 

(3):日本の対中投資は早くから行われ、日本の大企業の多くが中国に企業を設立し、好調な経済的利益を得てきた。
 このような日本企業は今、在中国企業の経済効果の引き上げに注目し、投資規模の拡大ペースを一時的に落としている。 

(4):各国企業が対中投資を積極的に展開し、中国現地企業が成長を続けるのにともない、中国市場での競争が日に日に激しくなり、日本企業の一部は市場からの撤退を余儀なくされた。

 指摘すべき点は、複数の調査から、
 日本の企業の圧倒的多数は中国市場には巨大な潜在力があり、
 非常に重要であり、
 放棄することはあり得ないとの見方が浮かび上がってくる
ことだ。
 日本貿易振興機構(ジェトロ)が最近行った調査によれば、日本企業のうち対中投資拡大の意志があるところが最も多く、日本企業の中国エリア責任者も中国事業の拡大におしなべて積極的かつ楽観的な態度を示しているという。

(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/武藤)





【激甚化する時代の風貌】



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