2016年1月3日日曜日

腐敗撲滅運動に冤罪として当局に反抗する被告が現れた:共産党不可侵の崩壊が始まったのか?

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サーチナニュース 2016-01-03 16:33
http://news.searchina.net/id/1598669?page=1

腐敗撲滅、被告が抵抗「士は殺すべし。辱めるべからず」と控訴=中国メディア

 中国メディアの新京報によると、収賄などで無期懲役の一審判決を言い渡された南昌大学元学長の周文斌被告が、判決言い渡しの4日前に「士可殺、不可辱(士は殺すべし。辱めるべからず)」などと主張して控訴する考えでることが分かった。

 周被告は1960年生まれ。華東地質学院院長、南昌大学学長などを歴任した。
 南昌大学学長在任時に職務上の立場を利用して建設業者やその他の業者に便宜を図ることで、人民元2111万8000元(約3億8611万円円)、香港ドル30万ドル(約466万円)、米ドル1万ドル(約121万円)や商品券、高級腕時計を受け取り、さらに同大学の公金5875万元(10億7416万円)を自らの営利事業に流用していたとされる。

 周被告の案件は、同被告が不正に手に入れた金品を6人の女性に渡していたことでも注目を集めた。

 江西省南昌市中級人民法院(高裁)は12月29日、周被告に対して無期懲役の一審判決を言い渡した。

★.周被告は同判決を「荒唐無稽」と主張する控訴状を作成。
 理由として
1].「違法な手段で証拠集めをした」、
2].「(被告側が要求した)証人の大部分を退けた」、
3].「原告側に脅されて出廷した証人も、かえって被告に有利な証言をした」
などを挙げた。

 そして
 「士は殺すべし。辱めるべからず。
 私は良識ある大学教授として、判決には決して屈服しない。
 私は自らと家族、南昌大学の栄誉のために戦い抜く。
 中国の司法の公正な光が最後には江西の革命聖地を照し輝かすと固く信じている」
などと主張した。

 「革命聖地」の記述は、中国共産党が1931年から37年まで、江西省に初めての広域支配地である「中華ソビエト共和国」を樹立したことによる(「首都」は瑞金)。



サーチナニュース 2016-01-15 22:15
http://news.searchina.net/id/1599899?page=1

中国共産党が表明「腐敗は構造的なものではない」 
ネット大炎上「天下無敵の面の皮」などコメント続々

 中国共産党中央紀律委員会秘書長で報道官を兼任する呉玉良氏は15日に開催した報道発表会で、同委が推進している腐敗撲滅運動に絡めて、
  共産党の腐敗は「構造的なものでない」
と述べた。
 同発言が微博(ウェイボー、中国版ツイッター)で紹介されると、批判のコメントが殺到して「炎上状態」になった。
 「天下無敵の面の皮」などの書き込みがある。

 呉秘書長は、腐敗問題で摘発された党員が33万人以上になったことについて、党員全体が8700万人と説明し、「割合は低い」と主張。
 共産党の特質は
 「全霊で人民に奉仕することであり、われわれの制度、つまり社会主義制度では人民群衆こそが社会の主人だ」
などと主張。

 さらに「
 わが党は腐敗を絶対に容認しないが、問題を出した幹部は要するに少数であり、大部分はよい幹部だ。
 この算数の問題を理解せねばならない」
などと述べた。

 日本時間15日午後2時3分に、大手ポータルサイトの新浪網が同話題を「ヘッドラインニュース」として自らが運営する新浪微博の公式アカウントで投稿。
 すると午後5時15分までに5000を超えるコメントが寄せられた。

 「いいね」が最も多いのは
 「構造的腐敗ではない! 普遍的腐敗だ!」
だ。
 「構造的ではない。体制的だ」、
 「構造的ではない。根っこからの腐敗だ」
のコメントも多くの「いいね」を集めた。
 さらに、
 「最大の笑い話」、
 「天下無敵の面の皮」
といったコメントにも支持が集まった。

 また、
 「党員が全員官僚ではない」、
 「私は党員だが大学生だ。どうやって腐敗せよというのだ」
というコメントもある。
 呉秘書長は、党員数が膨大なために腐敗に手を染める者が多くなると論じたが、党員と言っても地位を得る者は少ないので、呉秘書官の「算数」は成立しないとの指摘だ。



JB Press 2016.1.21(木) 柯 隆
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45826

どんな若者も幹部になると腐敗する中国の役所
少額の賄賂がどんどん大きくなり、いつの間にか当たり前に

 27年前、私は私費留学生として名古屋へ留学した。
 中国では公務員だったため、月給は2000円程度だった。
 渡航費を節約するために、飛行機に乗らず、上海港から神戸港までフェリー「鑑真号」に乗った。

 日本に行くのは初めてだったので、できるだけ中国から身の回りの物を持っていくようにした。
 しかし、上海港で乗船しようと思ったら、係りの者から荷物が「超重」(ウェイトオーバー)だといわれ、300元(約6000円)の追加料金を求められた。
 私にとって300元は大金だった。

 少し離れた検査台を見ると、私よりも数倍もの量の荷物を持った女性が追加料金を払っていない。
 その瞬間、南京を出発したときに親友からもらった外国のタバコ「555」を2箱持っているのを思い出した。
 そこで、さりげなくタバコを検査係に差し出した。
 すると、彼はそのタバコを受け取って、「行きなさい」と言った。

 当時の中国では、腐敗といえばこの程度のものだった。
 タバコを取られるのは不愉快だが、仕方がなかった。

◆若者が志望する就職先の変遷

 1980年代半ばまで、中国の若者にとって就職先の花形は「国営企業」(1990年代の国営企業改革以降は「国有企業」と呼ばれるようになった)だった。
 国営企業に就職すると解雇される心配がなく、何よりも福利厚生が整っていたからである。

 その後、「改革・開放」が本格化するにつれ、外資系企業が大挙して中国に進出した。
 すると若者は外資系企業への就職を志望するようになった。
 一番の理由は給料が高いからである。
 国営企業と違って解雇される心配はあるが、給料の高さは魅力だった。

 1998年、朱鎔基元首相が国営企業の経営にメスを入れて抜本的な改革を行うと、ますます国有企業の人気は低下する。
 改革では中小国有企業を民間に払い下げ、大型国有企業は余剰人員を削減した。
 その結果、国有企業は雇用の安定性を一気に失ってしまったのである。

 2003年、朱鎔基首相(当時)が引退し、温家宝首相が就任した。
 2003年から2012年までの胡錦濤・温家宝政権の10年間、中国ではほぼすべての改革が先送りされたが、その中で国有企業はそれまでの改革の効果が表れ、巻き返しを図った。
 とくに2009年、温家宝首相がリーマン・ショックの影響を抑えるために4兆人民元(当時の為替レートで約56兆円に相当)の財政出動を行うと、資金が国有企業に流れ、一気に挽回する。
 国有企業は市場を独占し、民営企業を逆に買収した。

 中国政府は2005年7月から人民元の切り上げを始めていた。
 同時に北京や上海などの大都市で最低賃金が毎年10%ずつ引き上げられた。
 それをきっかけに、外資系企業の業績は低下し、リストラも行われるようになった。
 さらにリーマン・ショックが外資系企業に大きな打撃を与えた。

 こうして外資系企業の人気は低下し、中国の若者は大型国有企業への就職または公務員(含む国家公務員と地方公務員)になることを目指すようになった。
 理由は、もちろん安定した雇用が担保されていることにある。

◆幹部が腐敗していくプロセス

 公務員になろうとする若者の多くは、最初から腐敗しようとは思っていないはずだ。
 しかし、公務員になると、誰もが何らかの権限を握るようになる。

 中国では役所で手続きを行う際、「関係」(コネクション)が大きくものを言う。
 たとえば、公共事業を受注しようとした場合、公開入札に参加しても「関係」がなければまず落札できないだろう。
 「関係」、すなわち発注側のキーパーソンと知り合いであれば、落札できる可能性が高い。

 ただし「関係」はタダでは築けない。
 すべての関係は有償だと言ってよい。
 そこで、公務員になって役所に入った若者は、上司にお礼を言いに来る業者の姿を毎日目にすることになる。

 役所の中で階級が上がっていき幹部になると、業者がさまざまな便益を与えてくれるようになる。
 たとえば、鉄道の貨物輸送の許認可権限を持つ処長(日本の行政組織の課長に相当)になると、自分の荷物を一刻も早く発送したい業者から必ず賄賂が送られる。
 歴代処長がみんなもらっているのに、自分だけ断るわけにはいかない。
 最初はやむなく少額の賄賂をもらうことにとどめていても、徐々に金額が大きくなり、当たり前になっていく。
 繰り返しているうちに罪悪感の意識は薄れていく。

 賄賂を贈る業者も年々巧みになっている。
 たとえば、いきなりたくさんの札束を持っていくと、幹部は拒否反応を起こす可能性がある。
 そこで、無記名の「現金カード」(商品券のようなもの)を使うのだ。
 札束よりも1枚のカードのほうが、受け取る側の抵抗感は少ない。

 そうこうしているうちに、局長ぐらいになると業者との付き合いも深くなる。
 局長と業者との間である種の信頼関係ができてしまう。
 そうなると業者が局長に贈るのは数十万円とか数百万円の現金ではなく、その息子の留学費用をすべて肩代わりするといった、より大きな便益を提供するようになる。

 夜は業者の接待が連日続く。
 筆者が個人的に知っている高官は、ある日、私に
 「柯先生、今、金と権力は十分に持っているが、生活の質が下がった気がする」
ともらした。
 なぜなのと尋ねると、
 「家族と食事する機会が1年に数回しかない」
と言う。
 それは本当のことなのだろう。

 習近平政権になってから、厳しい腐敗撲滅運動が行われている。
 課長級以上の幹部で、まったく賄賂をもらったことがないという人はおそらくいないはずだ。
 反腐敗の収束が宣言されない限り、幹部たちは枕を高くして眠れないのではないか。
 しかし、反腐敗の収束を宣言すれば、再び腐敗が蔓延する。
 要するに、幹部が腐敗するのは個人のモラルの問題ではなく、現行制度の問題である。





【激甚化する時代の風貌】



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