2016年1月16日土曜日

悩める大国インド:そしてモンゴルと中国・ロシアの関係

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2016.1.13(水) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45751

インド国鉄、巨大な官僚機構を軌道に戻せるか
期待集めるプラブ鉄道相、
権限委譲を進めてスピードアップ


●(2016年1月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
【AFP記者コラム】インド名物、命がけの通勤・通学ラッシュ
インド・ニューデリー郊外の駅を発車した列車にしがみついた大勢の乗客〔AFPBB News〕

 スレシュ・プラブ氏は1年余り前にインド鉄道相に就いたとき、
1].130万人の従業員とそれ以上の年金受給者、
2].総延長が地球1周半に相当する線路、
3].そして2万1000本の列車
を擁する帝国を受け継いだ。

 プラブ氏とインドの双方にとって残念なことに、これほど並外れた規模
――インド国鉄より人員が多い数少ない組織の1つは、中国の人民解放軍――
には、悪名高い官僚主義が付いてくる。

 例えば、2等寝台車の洗面所のマグカップを鎖で壁に縛り付けておくべきかどうか決めるのに18カ月かかったし、携帯電話の充電所に関する決定はヒエラルキーのまさに頂点で下される必要がある。
 プラブ氏は組織に関する巨大なケーススタディーと呼べる状況にどっぷり浸かり、スピードを上げる必要性を認め、
 「これらが、我々が意思決定を加速しなければならない軟部組織だ」
と言う。
 多くの人が、彼が前進を遂げることを頼りにしている。
 「こうした官僚主義を取り除けるのは大臣だけだ」
と言うのはアナント・スワループ氏。
 鉄道相直轄の市民の不満担当エグゼクティブ・ディレクターという見事な肩書を持つ高官だ。

 インドが経済の秩序を立て直し、ナレンドラ・モディ首相の「メーク・イン・インディア(インドでものづくりを)」キャンペーンがただのレトリックではなく現実になるためには、インドはインフラを改善する必要がある。
 だが、鉄道以上に改善を必要としている分野はない。

◆産業発展のネックとなっている輸送インフラ

 インドの製造業が競争力を欠く最大の理由の1つは、輸送網の欠点にある。
 世界銀行のある調査は、インドの物流コストは同行が評価する本来あるべき水準より2倍ないし3倍高いと指摘している。
 8000本の貨物列車の運行速度は平均わずか時速25キロで、貨物鉄道が旅客鉄道を助成するよう意図されていることもあって、顧客は世界で最高部類に入る料金を支払わねばならない。
 「『メーク・イン・インディア』は成長率を加速させ、成長のあり方を変えることができる」
とプラブ氏は言う。
 「我々は効率性を高め、コストを削減しなければならない」

 鉄道の財務状況は悪い。
 売上高の55%が賃金と手当の形で従業員に回されており(5年前の36%から上昇)、最近のプロジェクトの62%は利益率がマイナスだったからだ。
 「過大な約束がなされ、約束の履行が足りない傾向があった」。
 モルガン・スタンレーのアナリスト、アクシェイ・ソニ氏は最近こう指摘し、プラブ氏の登場で変化が間もなく訪れる可能性があると主張した。
 「歴史上、一義的に政治的なバラマキのために利用されてきた低迷気味の鉄道省に、彼は新しい思考をもたらした」

◆異色の鉄道相の挑戦

 実際、大抵の場合、就任して最初の行動が自分の選挙区に豪華な駅を建設することだった歴代の鉄道相とは対照的に、プラブ氏は「私がどこの出身か、誰も分からないはずだ」と言う。

 プラブ氏の優先事項の1つは、意思決定を中央から分散させ、下の人間にもっと権限を与えることで、権力を委譲することだ。
 これはインド亜大陸では珍しいことだ。
 同氏のお気に入りのスローガンの1つは
 「ガバメント(政府)の縮小とガバナンス(統治)の強化」。
 同氏のボスである首相の口からもよく聞かれる言葉である。
 それでも、プラブ氏は困難な任務に直面している。
 最近の白書で、大臣は「かつて、インド国鉄は『imperium in imperio』、帝国内の帝国と形容されていた」と書いた。
 その時代以降、帝国はほぼ末期的に衰退している。

 今日の鉄道省の訪問者にとって、プラブ氏の机の薄型テレビとコンピューター画面を別にすると、時代が大きく進んだことを示す明白な兆候はほとんどない。
 机の背後の壁には、英国統治時代に遡る歴代大臣の名前が書かれた看板がかかっている。
 便宜を図ってもらおうとおべっかを使う人たちや支持者その他が絶え間なく列を作り、大臣と面会する順番を辛抱強く待っている。
 大半の政府高官と同じように、プラブ氏と彼のスタッフは通常、西洋風のスーツではなくインドの衣装を着ている。
 大勢の聴衆を相手に話すときには、さほど印象的ではないものの、小さなグループを相手にしたときには、大半の政府高官が慢心感を放つ国では珍しい情熱と切迫感を伝える。

 だが、プラブ氏の管轄について言えば、自己満足している余裕はほとんどない。
 鉄道システムは何十年も投資不足に苦しんでいる。
 1951年には、インド国鉄は中国の鉄道システムの2.3倍の規模があった。
 だが、それ以来、状況が逆転した。
 中国の鉄道は現在、わずか21%しか拡大していないインド国鉄の1.6倍の規模を持つ。

 プラブ氏は、何十年にも及ぶ放置を覆す野心的なプログラムを計画している。
 先の白書では、インド国鉄は「深い眠りから目覚めつつある巨人」だと書いた。
今年から2019年にかけて、1300億ドル以上支出する計画だ。
 鉄道省がそれ以前の5年間に費やした340億ドルを大幅に上回る額である。
 その資金の大半は、
1].鉄道網の拡張と、
2].既存路線の「混雑解消」
に均等に分配される。

◆投資計画のための資金調達にも創意工夫

 プラブ氏はこのプログラムの資金を賄うために、単に財務省の気前の良さを頼りにする気はない。
 同氏は珍しい債務構想に乗り出し、国営保険会社のインド生命保険公社から250億ドル調達した。
 これは期間が30年、利払いについて5年間の猶予が与えられた融資契約で、どんな銀行が提示するより、はるかに期間が長いものだ。
 プラブ氏は世銀からも別途300億ドルの融資についてコミットメントを得ている。
 鉄道の光熱費を削減するために、電力会社との間で協定に調印した。
 鉄道駅と駅周辺の開発権を民間部門に売却することも計画している。
 「興味がある人がいたら、私に直接接触してもらったらいい」
とプラブ氏は言う。

 長年、デリーから東西へ向かう貨物専用鉄道は
 「紙の上では存在したが、地上には存在しなかった」
とし、これを現実にするためには最大の鉄道インフラプロジェクトが必要になると言う。
 新しい機関車と設備のために発注された業務と、計画されている旅客輸送網の改善は、折しも民間部門が投資していないときに、製造業、サービス業の雇用をたくさん生み出せるだろう。
 仏アルストムと米ゼネラル・エレクトリック(GE)はともに、景気の悪いビハール州で機関車を建造する契約を獲得した。

 プラブ氏はまた、インド西部を通ってデリーとムンバイを結ぶ貨物専用鉄道の建設資金を賄うために、日本の支援団体、国際協力機構(JICA)との合意をまとめたほか、繁栄しているグラジャート州のアーメダバードとムンバイを結ぶ高速鉄道の建設を日本に委託した。
 プラブ氏が権限を移譲する一方で、外国人にとって、彼自身が主要なリスク要因になったことは皮肉だ。
 「彼の思考プロセスが制度化されるまで、スレシュ・プラブがその職にとどまることが不可欠だ」
とモルガン・スタンレーのソニ氏は言う。

 GEのジェフリー・イメルト会長は最近ニューデリーを訪問した際、インド鉄道網の近代化プログラムの入札に5回参加した経験があると述べた。
 「計画が本当に実行されると思ったのは、今回が初めてだ」

By Henny Sender
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サーチナニュース 2016-01-19 13:47
http://news.searchina.net/id/1600128?page=1

中国とモンゴルは「潜在的な敵」 
中国メディアがロシアでの見方を紹介

 中国メディアの参考消息網は17日、ロシアに「中国とモンゴルは潜在的な敵」との見方があると紹介した。

 記事によるとロシア紙「ウトロ・ルーシー」が2016年はロシアを取り巻く国際環境が極めて厳しくなると論ずる記事を掲載。
 ロシアの「潜在的な敵」として、
 フィンランド、
 中国、
 モンテネグロ、
 モンゴル、
 キルギスタン
の5ケ国を挙げたという。

 モンテネグロについては北大西洋条約機構(NATO)加盟が現実味を帯びてきたこと、
 フィンランドについては難民に絡んで国境の管理問題が浮上する可能性があるという。
 中国については、習近平主席が進める「一路一帯」政策の一部である、中国と中央アジア、ロシア、西欧を結びつける経済圏の構築が、ルーブル安で体力の弱ったロシアの特に中小企業にとって不利になる可能性があるという。

 さらに、中国がトルコに接近していることも、ロシアにとっては大きな問題という。
 トルコが、ロシア軍戦闘機を「越境」を理由に撃墜し、搭乗員2人が死亡したことで、ロシアとトルコの関係は一気に険悪化した。
 中国の「一路一帯」にとってトルコは極めて重要な国であるだけに、トルコ問題は中ロ関係を複雑化するという。

 モンゴルとロシアは環境問題で、対立が厳しくなる。
 モンゴルは自国内を流れる重要河川のセレンゲ川に水力発電所を建設しようとしている。
 セレンゲ川は国境を越えてバイカル湖に流れ込む。
 同川はバイカル湖の重要な水源のひとつだ。
 ロシアでは、モンゴル国内でのダム建設が自国の生態系に深刻な影響を与えるとして、建設の絶対阻止を主張する環境保護論者がいる。
 プーチン大統領も、同問題を解決すると約束した。

 しかし、モンゴルにとっては同発電所の建設は、自国の電力不足を解消し、中国への売電によりその他の道路や鉄道、橋などのインフラを建設するための重要な資金になる。
 モンゴル側にとって発電所建設は「死活問題」にもなるという。

 キルギスタンについては、4年前に両国が合意した、国境地帯のダム建設で、対立が表面化した。
 キルギスタン側はロシアが約束の7億ドルの資金を拠出しないと非難している。
 ロシア側は、国境地帯のダム建設は周辺の国際環境を悪化させ、最悪の場合には軍事的衝突も発生すると考えはじめたため、ダム建設に否定的になったとの見方がある。

 「ウトロ・ルーシー」は、これらの「潜在的な敵」とロシアの関係がこじれれば、「まったく予測できなかった衝突が発生する可能性もある」との見方を示したという。

**********

◆解説◆
 ロシア人は長年にわたり、モンゴルに対して抑圧的な姿勢を示した。
 モンゴルは13世紀にロシアに進出し、ジョチ・オルス((ジョチ・ウルス、キプチャク汗国)を築いた。
 ロシア民族も当時、スカンジナビア半島から進出してきた比較的「新参者」と言える勢力で、モンゴル人に服属し、後に徴税の請け負いを認められたことなどで実力を得て、モンゴル勢力を打倒した。

 モンゴル統治下でロシア人は政治や軍制を整えて発展の下地を作ったが、ロシア人は自らの民族の発展を「モンゴルのくびきからの解放による」という“建国神話”を作った。
 そのため、ロシア人のモンゴル人に対する感情の根底には「歴史的恨み」が形成されたという。

 ロシアは中国人に対しても、モンゴル人と同一視する感情があるとされる。
 ロシア人は中国人とモンゴル人に対して心のどこかに「潜在的な恐怖感」を持つ場合があると言いなおしてもよい。



レコードチャイナ 配信日時:2016年1月26日(火) 2時50分  
http://www.recordchina.co.jp/a127735.html

ロシア、中国の「潜在敵国」インドに最強潜水艦を輸出か
=中国ネット「中露は互いにとって最大の脅威」
「露印は恋人関係、中露は…」

 2016年1月25日、中国メディア・網易軍事は、ロシアが「あろうことか」中国の潜在敵国であるインドに最強の潜水艦を輸出する計画があると報じた。

 ロシアメディアの報道によると、ロシアとインドの間で今年交わされる見込みの軍事契約は、70億ドル(約8313億円)規模になるとみられる。
 これには、キロ級潜水艦2隻、Mi−17軍用輸送ヘリ48機、BMP歩兵戦闘車150両、11356級フリゲート艦3隻、S−400対空ミサイル5ユニットなどが含まれる。
 また、最新のヤーセン型原子力潜水艦を貸し出す計画もあるという。

 この報道について、中国のネット上には
 「ロシアを信じてはいけない。
 中国の国土を最も多く侵略したのはやつらだからな」
 「中国の宿敵はロシアと日本」
 「ロシア人も中国人も、本当の敵は日米ではないことをよく知っている。
 最大の脅威は互いなのだ」 
 「ロシアとインドは恋人関係。
 ロシアと中国は相手を利用しているだけ」
などの声が寄せられている。









【激甚化する時代の風貌】



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